Quantcast
Channel: ハリウッドなう by Meg
Viewing all articles
Browse latest Browse all 213

2012年大統領選勝敗が決まる前に

$
0
0
いよいよ、今晩、オバマが再選を果たすか、歴史の逆戻りを提案するロムニーが勝つのかが決まります。今回は2008年ほどの盛り上がりも、気合いも感じられません。接戦なので、結果が出るまで、10日かかるかも?と今朝、ニュースで報道されていました。えーっ!?政界内幕暴露ドラマ、いやいやながら妻の義務で引っ張り込まれた政界入り、女傑に振り回される腑抜け大統領を視聴している方が、ずっと面白かった過去4年です。 きっかけは2009年に始まった「グッド・ワイフ」でした。番組のクリエイターであるロバートとミシェル・キングがプレスツアーで語った制作の動機が余りにも時を得ていてたからです。21世紀に入って、頻繁に報じられた政治家のスキャンダルからヒントを得たというキング夫妻。特に、ミシェルが記者会見が終わった後、「夫婦の間でどんな会話が交わされたのだろう?と想像してフローリック夫妻が生まれた」と言います。アリシアは、何事もなかったかのように、元の鞘におさまるのか?「冗談じゃないわ!」と我が道を行くのか?人生の岐路に立った女の再出発と成長振りが、それは見事に描かれています。 JuliannaMargulies01my.jpg 「グッド・ワイフ」アリシア役 ジュリアナ・マルグリーズ。「英雄でもない、犠牲者でもない、私とは全く違う女」とアリシアを定義する。 Bob Charlotte / PR Photos CBS好みの一話完結型にするために、‘良妻賢母’アリシアの職場を法律事務所に設定、夫ピーターは政界復帰から、イリノイ州知事候補、果ては大統領という野望まで臭わせて、現在シーズン4が進行中です。ピーターの選挙運動や遊説に加担せず、思春期の息子と娘をメディアから守り抜こうとしますが、常にスキャンダルが追いかけてきて、政界に引きずり込もうとする....アリシアの葛藤は尽きません。政治家一家のドラマが根底に流れていることが、「グッド・ワイフ」をジャンルを越えた秀作にしています。 ChrisNoth01my.jpg 「グッド・ワイフ」ピーター役 クリス・ノース。未だに母親に振り回されるマザコンのカリスマ政治家として描かれている。 richard shotwell / PR Photos 「グッド・ワイフ」が引き金となったのか、今秋の期待作「Nashville」も同様の設定になっています。主人公レイナはピークを過ぎたカントリーの女王で、留守宅を守ってきた夫テディーがナッシュビル市長に立候補します。レイナの必死の抵抗も虚しく、財界のドンとして君臨する父親ラマーとの確執やバンドリーダーとの過去などが明るみに出てしまいます。 ConnieBritton01my.jpg 「Nashville」レイナ役 コニー・ブリットン。女性の権利が見直された今回の大統領選だが、カントリーのメッカはまだ21世紀に到達していない? Izumi Hasegawa / PR Photos アリシア同様、政界には全く興味がないにも関わらず、レイナも良妻賢母の義務と、女王の地位を支える為に自分の夢を犠牲にしてきた夫への罪悪感に苛まれて仕方なく支援...と言うことです。政界に足を突っ込むと、公私が世間に曝され、ガラス張りの家に住んでいる様な状態になります。政界に自分の意のままに動かせる人材が欲しいラマーは、たかが(失礼!)市長候補なのに、自分の息がかかった弁護士に、テディー、レイナ共々、過去を根掘り葉掘り聞かせるシーンが書き込まれています。100%清廉潔白な人間など存在しないのに....秘密を握ればこっちのもの!が財界のドンの信条です。 秘密は必ず露見する!がテーマの「Scandal」(現在、シーズン2進行中)は、スキャンダル揉み消しの精鋭達を描くドラマです。元大統領付報道官オリヴィアが、危機管理会社を開業して間もなく、大統領の不倫揉み消しに駆り出され、元の木阿弥という展開がシーズン1でした。 KerryWashington01my.jpg 「Scandal」オリヴィア役 ケリー・ワシントン。クライアントのスキャンダルは見事に解決するのに、いざ自分のこととなるとからっきし意気地なしのオリヴィア。 Emiley Schweich / PR Photos 危機管理コンサルタントが、事件を解決したり、揉み消したりの一話完結型作りにはなっていますが、根底を流れるのは、オリヴィアの「紺屋の白袴」的生き方です。オリヴィアは、ホワイトハウスと縁を切ろうとしますが、そうは問屋が卸しません。大統領の周辺にいる側近や取り巻きが、実は国を動かしているという恐〜い展開が満載の上、アリシアやレイナと異なり、ヒラリー・クリントン張りの大統領夫人メリーの政治的野心がシーズン2ではクローズアップされていて、目が離せません。‘心ここにあらず’の大統領を操っているのは? ヒラリー・クリントンの生きざまをそのままドラマにしたような「Political Animals」は、今夏6話で完結したUSA局の限定シリーズです。 昨日、シーズン2は継続されないと発表がありましたが、シガニー・ウィーバーがテレビ番組に初主演することで、今夏の話題になりました。クリエイターの一人がグレッグ・バーランティなので、私の必見作品でした。バーランティが関与した、革新派の大学教授が育てる兄弟が、いかに政界に足を踏み入れて行くかを描いた「Jack & Bobby」(2004〜5年)が大好きだったからです。今回はどんな政界ドラマなのか、楽しみにしていましたが、「Jack & Bobby」のような夢と希望に満ちたものではなく残念です。 SigourneyWeaver01my.jpg 「Political Animals」エレイン役 シガニー・ウィーバー。ヒラリーから文句が出なかったの?と聞きたくなるほどのエレイン。 Glenn Harris / PR Photos 夫の不倫に愛想を尽かして離婚に踏み切ったこと、二人の息子がいる設定を除くと、正にヒラリーの自叙伝です。ウィーバー演じる元ファースト・レディーのエレインは、大統領に指名されず、国務長官として奔走しますが、どうしても大統領になる野心を捨てきれません。政治家一家のドラマではありますが、政界でのし上がるためのあらゆる策略や駆け引きが描かれた、内幕暴露モノと言って良いでしょう。こういうドラマを観て、政治家になろう!なりたい!と思う人がいるのでしょうか? 米国にまだ希望の光が差していた頃に制作された「ザ・ホワイトハウス」(1999〜2006年)や、ヒラリーが初の女大統領になるための根回し作品?と勘ぐられた「マダム・プレジデント〜星条旗をまとった女神」(2005〜6年)以降、政界内幕暴露モノは陰を潜めていました。しかし、2008年の大統領選が従来の常識を塗り替えてしまうほど、エンターテインメント化した選挙だったため、選挙運動の舞台裏(特にサラ・ペイリンの指名)を赤裸々に描いた「ゲーム・チェンジ」が制作されました。9月に数々のエミー賞を獲得した秀作でした。このテレビ映画放送1カ月後、HBOは女副大統領セリーナと仕事のできない側近が巻き起こす騒動を描いた「Veep」を開始しています。セリーナ役のジュリア・ルイス・ドレイファスは、コメディー部門の主演女優を受賞しました。 JuliaLouisDreyfus01my.jpg 「Veep」セリーナ役 ジュリア・ルイス・ドレイファス。「私が副大統領なんて、コメディーじゃなくて、ホラーだと思わない?」と笑うドレイファス。 Albert L. Ortega / PR Photos 「ゲーム・チェンジ」の主演女優賞を獲得したジュリアン・ムーアは、「サラ・ペイリンご本人には、こき下ろされたから、ATASに認めていただいて最高!」と述べ、HBOの勇気を讃えました。同作で監督賞を受賞したジェイ・ローチが、政治談義は誰でもするものの、「政界を描く作品を作るのは、至難の業!それを敢えて、見事にやってのけるがHBOです。」と感謝の意を表したことが印象的でした。「受信料さえ入ってくれば、誰ひとり作品を観ていなくても成り立つ」と妬まれるプレミア・ケーブル局HBOの実力を見たり! JulianneMoore01my.jpg 「ゲーム・チェンジ」サラ・ペイリン役 ジュリアン・ムーア。ムーアの演技力を再度実証したペイリン役、特に話法はコーチをつけて特訓を受けた。 Sylvain Gaboury / PR Photos プレミア・ケーブル局Starzも、本年のゴールデン・グローブ賞最優秀作品賞にノミネートされた「Boss」というオリジナル作品に力を入れています。禁酒時代からギャングの街として悪名高いシカゴで、不治の退行性神経障害を隠し通すことにエネルギーを注ぎ、飽くまでも市長職にしがみつくトム・ケイン市長の物語です。シカゴを牛耳るためには、汚職など朝飯前!裏切り者は消す!勢いの、マフィアまがいの市長。アンチヒーローもここまで来ると、観るに耐えず、余り好きな作品ではありませんが、政界内幕暴露モノの1本であることは確かです。妻メレディスは前市長の娘=政治家二代目で、トムとの政略結婚は明らかですが、本人の野望もしっかり描かれています。私は、「Scandal」のメリー同様、実はメレディスの方が一枚上手と読んでいます。問題は、善良な市民の不在です。強欲で傲慢な人間しか登場せず、弱味など見せようものなら即弾き出される凶暴な社会として描かれています。政界に飛び込むなんて、とんでもない!と思うのは私だけでしょうか? ConnieNielsen01my.jpg 「Boss」メレディス役 コニー・ニールセン。外見は上品でしとやかだが、夫の陰に隠れて、腹黒さを発揮する女傑だ。 J. Bailey / PR Photos 今回の選挙が余りにも面白くなかったので、今後、政界内幕暴露モノが減少するのでしょうか?「Nashville」のように背景としてだけ、登場するようになるのでしょうか?但し、「グッド・ワイフ」シーズン4ではイリノイ州知事選が控えているので、益々政界に引き込まれて、面白くなることは間違いありません。楽しみです!

Viewing all articles
Browse latest Browse all 213

Trending Articles