新年早々5日から始まった2017年冬のプレスツアーは、1月18日に終了しました。
トランプの就任式を目前に、扇動政治が始まったらメディアやテレビ番組にどのような影響があるか?トランプの祟りを恐れて、腫れ物に触るような「中庸」をドラマに取り入れるのか?特に政界を描くドラマ「スキャンダル」「ホームランド」などでは、トランプをどのように扱うのか?など、今回のプレスツアーではトランプ独裁政治対策を練るかのような質問が後を絶ちませんでした。
私は、トランプ当選後1週間ほど落ち込み、再選デモに巻き込まれるのを恐れて、我が家から一歩も外に出ず、喪に服しました。そして、1週間後にはオバマ大統領の当選という歴史的な出来事を体験し、2008年から8年間尊敬できる大統領による行政の恩恵を受けたことに感謝し、政治には何の興味もない元の人間に戻ることにしました。漸く諦めがついて、参加したプレスツアーで目撃したのは、何とかしたいけれどなす手が無い、やるせ無い人間の集団です。ハリウッドがここまでトランプを毛嫌いし、この国の将来を案じているかを身を以て体験し、心穏やかに臨んだにも関わらず、どんどん落ち込んでしまう2週間でした。
TRUMPED | 'Impossible Rise' Tease | SHOWTIME Documentary
昨年は平穏な毎日を送るために、ニュースや選挙情報は全てシャットアウトし、16年3月7日「現在進行中の新作『Billions』と『The Circus』が面白い!」でご紹介したShowtime局の「The Circus: Inside the greatest show on earth」で、1週間の纏めを観て選挙の行方を達観していました。残念ながら最も悲惨な結果となってしまいましたが、「The Circus」の総集編とも言えるヒラリー対トランプの一騎打ちからトランプ当選までのダイジェスト版「Trumped: Inside the greatest political upset of all time」で、狂気の沙汰が再生され、再び惨事を目撃することになりました。昨夏「The Circus」のパネルインタビューに参加したマーク・ハイレマン(「ゲーム・チェンジ」の作者)と政治アドバイザーのマーク・マッキノンが、自信たっぷりにトランプの落選を予想したことが思い出されます。ドキュメンタリーの最後に、「白人男性によるオバマ政権への逆襲が今回の選挙だった」と締め括ているのが興味深い点です。
旧体制対前代未聞の未知の体制だと解釈する人もいれば、多様化した米国社会で白人男性軍による最後の逆襲だと解説する人もいます。「The Circus」のハイレマン、ジョン・ハルパリン、マッキノンの政治プロチームが、トランプ当選を予測できなかったのは、選挙運動台風の目で周囲を見回していたからでしょうか?近過ぎたからでしょうか?それが証拠に、CNNで全米各地から多様な文化/人種の観点をレポートするW・カマウ・ベル(コメディアン)は、「United Shades of America」(16年のエミー賞ドキュメンタリー部門最優秀作品にノミネート)の撮影で全米を駆け回っただけに、「庶民の声を直に聞いたから、トランプの当選に愕然とはしなかった」と語りました。
Comedian W. Kamau Bell arranges a special meeting with th...
それにしても、偉大だった米国は、どこまで落ち込んで行くのでしょうか?一触即発状態の米国ではありますが、幸いカリフォルニア州(特にLAとサンフランシスコ)にいる限り、トランプバッシングして袋叩きにされる危険度は低いように見受けます。トランプ就任後の不法移民対策に真っ向から反対しているのがLAPDで、不法移民が支えている経済を無視した連邦政府の言うことなんか鵜呑みにしてたまるか!の態度です。故に、カリフォルニア州が独立すると言う話まで出ているほどです。
とは言え、暗い17年冬のプレスツアーは、最終日に明るいニュースで幕を閉じました。16年、唯一のヒット作「This is Us」のパネルインタビューの席で、2シーズン(36話)の更新が発表され、拍手喝采を浴びました。クリエイターのダン・フォーゲルマンにお祝いを述べたところ、「いつも応援して頂いて、ありがとうございます」と逆に感謝されてしまいました。「5シーズンは安泰ですよね?」と尋ねたのは、単に私の憶測だったのですが、どうも図星だったような笑顔が答えでした。この手の込み入った語り口は、最大5シーズンしか維持できないだろうな~と以前から思っていました。
This Is Us 1x14 Promo #2 "I Call Marriage" (HD)
NBCは、昨年の大統領選挙の前(9月26日)に、「ふたりは友達 ウィル&グレイス」のキャスト4人が集まって、一票を投じなければとんでもない輩が米国を牛耳るぞ!的公示ビデオ「VoteHoney」を発表しました。ヒラリー派のウィルとグレイス、トランプ派のカレンが、迷っているジャックに投票を迫るという設定です。
***OMG!*** NEW “Will & Grace” scene about 2016 Election.
以前から、NBCのヒットコメディー(98年9月~06年5月)を再開する?と言う噂は流れていましたが、「VoteHoney」が視聴者の受けを確認したかのように、17年秋に10話で再デビューを果たすと発表がありました。「VoteHoney」が、再デビューのサンプルとして制作されたとしたら、キャスト及び制作陣の全員復帰は嬉しいニュースです。待ってました!!!元々、「ウィル&グレイス」のファンだった私は、毎週金曜日(6話)と土曜日(14話)の「ウィル&グレイス」マラソン放送(We局)にすっかりハマっていて、再デビューを心待ちにしていました。落ち込んでいる時に最適の特効薬コメディーで、何度観ても飽きないシリーズだからです。ゲイ文化の先駆けだったことは確かで、21世紀に同じものを放送できるのだろうか?と言う懸念はありますが、10年間にすっかり様変わりしてしまった米国社会が、どう受け止めるのか楽しみです。
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