地上波局の2016~17年シーズンが終了し、ケーブル局では夏シーズンが始まりました。とは言え、ケーブル局が発表する新作も今年は余り期待できるものがなく、毎晩録画を楽しむか、DVDを満喫する時期に突入しました。
9月末の新シーズン開始まで、地上波局は軽いノリの夏番組で埋めるのが恒例ですが、5月16日に登場した「Downward Dog」(ABC)が意外にも新鮮です。
【動画】Downward Dog (ABC) "We're in This Together" Promo HD
喋る犬はキャラとして過去にも存在しましたが、「Downward Dog」は一味違います。どこがどう違うのかと言うと....マーティン(ネッド)と言う名の雑種犬が、動物愛護センターから救い出してくれた女神ナン(アリソン・トールマン)の世界で如何に生きて行くかを描くロマコメになっている点です。マーティンは「ナンは絶世の美女。こんな美人、見たことがない」と崇めますが、1日の大半をどこでどう過ごしているのか、どんな夢を抱いているのかなどは知る由もありません。勘違いの最たるものは、ナンの夫として人間の立場から夫婦関係を心理分析することです。最も一日中、番犬として内に篭っている訳ですから、他に考えることがないと言えば、ないのですが....ナンが仕事や負け組彼氏ジェイソン(ルーカス・ネフ)にかまけて、放ったらかしにすると、鬱憤晴らしに靴や家具を噛んで不満を表現したり、近所の猫ペパーとは犬猿の仲など、当然ながら犬らしさも持ち合わせています。
時々、姿を現わすジェイソンは、ナンとマーティンの夫婦(?)関係に水を差す宿敵ではあるものの、散歩に連れ出し、遊んでくれるので、そうそう邪険には扱えません。但し、ナンは仕事に打ち込んで何らかの生きがいを見つけようとする向上心の高いアラサー女性ですが、ジェイソンは特に夢も希望も出世欲も無く、結婚には極めて物足りない相手なのです。 飼い主ナンとの関係を心理分析する、感じやす~い、男の何十倍も繊細な変な犬マーティンの冒険と言った方が良いかもしれません。「人間として言わせてもらうなら....」とコメントする反面、「犬だから仕方ないでしょ」と言い訳することもあり、イマイチ良く解っていないんだと笑えます。但し、寂しい人間への思いやりは格別で、ホロリとするほど優しい友達犬なのです。 クラーク&ボウ衣料の広告部門で働くナンは、男尊女卑を絵に描いたような上司ケヴィン(バリー・ロスバート)の反対・妨害行為にも関わらず、マーティンが自分を崇める目線を元に「誰でも絶世の美女!」をスローガンに店頭ディスプレーを企画します。仕事仲間ジェン(カービー・ハウェル・バプティスト)の後押しもあって、全国展開できそうな所まで漕ぎ付けますが.... 元々、サム・ホッジスが同名のウエブシリーズとして展開していたものを、マイケル・キレンと組んでABCでテレビ化に成功した新作です。成功の秘訣は、シカゴの動物愛護センターから引き取った新星ネッドの起用です。表情が豊かで、特に後ろめたそうな上目遣いが特技です。更に、マーティンの独特な喋り方が効いています。声優も務めるホッジス自体から確認を取ることはできませんでしたが、文末や区末を下げて言い切るのではなく、判断や同意を視聴者に委ねるかのように、上昇調イントネーションを使うValleyspeakができる犬なのです。説明が難しいので、トレーラーのマーティンの台詞のイントネーションに注目してください。3~4語毎に、意味も無く飛び出す「like」と「for sure」がキーワードです。 【動画】DOWNWARD DOG Official Trailer (HD) Allison Tolman Comedy 今夏は、6話限定と呆気なく終わってしまいますが、正式のシリーズに格上げして欲しいものです。This is the best photo in the universe. We are fashion models. We are social media royalty. We don't even have to try. #downwarddog #siri… pic.twitter.com/rAkaV5AjBf
— Allison Tolman (@Allison_Tolman) 2017年6月1日