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Channel: ハリウッドなう by Meg
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バブル弾けず2016~17年シーズンに突入。新作の傾向は?

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昨夏のプレスツアーで、FX局のジョン・ランドグラフCEOは、同局のリサーチを基に、「脚本のあるドラマ、コメディー、限定シリーズの米国内での放送総数は、420本でピークに達し、バブルが弾けたと診ている」と発表しました。何しろテレビ業界の現実や内情を包み隠さず提示する我らがランドグラフCEOの予想なので、この発言以降、視聴者が付いて行けないほどの供給過剰状態「ピークTV」「黄金時代」に漸く歯止めが掛かるに違いないと信じていました。 しかし、去る8月9日のFX局プレゼン日の初っ端で、ランドグラフCEOは「2015、あるいは16年にビークに達し、本数は減少するだろうと発表しましたが、予想が外れました。バブルは18~19年まで、膨らみ続けるような勢いです。」と非を認めました。2015年末の時点で、米国内で放送された大人向け(=子供番組は含まない)の脚本のある作品(ドラマ、コメディー、限定シリーズ)総数は419本、16年末には430~50本、17年は500本台に乗る勢いだと言うのです。 fx01.jpg Courtesy of FX Networks Research このバブル現象に最も貢献しているのは、ストリーミングと言う新しい配信形態です。2013年にオリジナル作品4本が初めて登場、毎年着実に増加を続け、2016年7月までにAmazon、Hulu、Netflixから計49本のオリジナル作品が発表されています。最も鼻息の荒いNetflix社に至っては、今年は世界を舞台に60億ドルを編成につぎ込み、HBOに追いつけ追い越せ!を実行しており、TCAプレスツアー初日の7月27日、同社テッド・サランドスCCOが「来年もオリジナル作品への投資は増加する」と発表しました。 fx02.jpg Courtesy of FX Networks Research オリジナル作品の内訳は、上のグラフをご覧頂ければ明らかですが、総計510本に到達することが予想されます。 地上波局(ABC, CBS, CW, Fox, NBC, PBS)       150本 プレミア・ケーブル局(HBO, Showtime, Starz, 他)     50本 ケーブル局(AMC, FX, NBCUケーブル, 他)        180本 ストリーミング(Amazon、Hulu、Netflix、他)      130本 「下手な鉄砲も数打てば当たる!」は今に始まったことではありませんが、今年のエミー賞のノミネーションを見れば、NetflixはHBOに数歩近付いた感があります。但し、高視聴率=エミー・ノミネーションの図式は成り立ちませんから、Netflix社は長期的視点でエミーお墨付きの’質’の高い持ち作品を増やして行く戦略なのでしょう。 さて、約3週間後に2016~17年シーズンに突入するにあたって、新作の傾向を分析してみました。昨年と余り代わり映えはせず、相も変わらずリメイクのオンパレードです。毎年、花火のように夜空を飾っては単発で消え失せるリメイクの数々ですが、語り口や切り口、主人公キャラの人種や性別に21世紀の世相を反映しても、配役が成功の鍵を握っていることが又々証明されました。「うーん、この役者じゃ、観る気がしないよな~」と唸った作品が圧倒的に多い年です。 その最たる例が、楽しみにしていた「冒険野郎マクガイバー」(1985~92年)のリメイクです。主人公マクガイバーの能力を三等分したのは良しとしても、リチャード・ディーン・アンダーソンに代わるのがルーカス・ティルですか?!視聴者の年齢層が高いことが最大の悩みであるCBSが、若者に受けようと躍起になっているのは解りますが....ティルのマクガイバーより、’負け組’ブライアン(ジェイク・マクドーマン)が活躍した「リミットレス」を復活して頂いた方が良いと思うのですが、いかがなもんでしょうか? MacGyver (2016) NEW Official Trailer (HD) - CBS CBSの配役ミスは、斬新奇抜なアイデアのドラマ「Pure Genius」でも顕著です。ダーモット・マローニーを、女医にするか、黒人/ラテン/アジア系とすげ替えれば、人種差別問題は少々緩和されませんか? PURE GENIUS - Official Trailer - CBS New Shows 2016 作品自体はかなり古いものの、「仕事が終わって、故郷でのんびりしていたところ、お声がかかった」と言うクレイン・クロフォードが登板して、「続きが観たい!」度がアップしたのが、Fox「リーサル・ウェボン」のテレビシリーズ化です。 Official Trailer | LETHAL WEAPON 人種差別撤廃は第68回エミー賞が挽回した感がありますが、アカデミー賞よりは’マシ’の程度で、プレスツアーでは今年も最大の争点でした。 1)8月1日にCTAM (Cable & Telecommunications Association for Marketing) が企画開催した「Diversity Panel」 パネル参加者はEl Rey Network, Starz, TV One, WGN America局のプロデューサー、演出家、タレントなど計8人でしたが、ほとんどが黒人とラテン系で、アジア系はゼロの悲惨をきわめました。 DiversityPanel.jpg パネルの7割がたは黒人で、パネリストが関与している「Survivors Remorse」や「Underground」は’黒人の、黒人による、黒人のためのドラマ’だ。昨年のエミー賞同様、どこが人種差別撤廃なの?と食ってかかりたくなる。 (c) REX/Shutterstock 2)8月4日、「Black-ish」(ABC)のパネルインタビュー 黒人視聴者が番組視聴者数に占める割合を尋ねられ、怒り心頭に発したクリエイター/プロデューサーのケニア・バリス。番組開始時に、ビバリーヒルズに居を構える裕福な黒人家族のコメディーなので、「黒人にどう受け止められるかが心配」と発言した張本人です。人種差別を語るのはもう沢山!は解りますが、改革運動の指導者を買って出たのは、どこのどなたでしたっけ?ぷりぷり怒って拗ねまくった結果、セッション終了直前に「23%」と漏らしたのは、何だったのでしょうか? KenyaBarris01.jpg 極め付けは、8月6日、TCA最優秀コメディー賞を受賞したにも関わらず、バリス以下キャスト全員がボイコット。白人のプロデューサーが受賞スピーチをしたが、私は番組自体をボイコットすることに決めた。 (c) WENN.com 3)8月10日のCBS幹部の質疑応答セッションでは、新作の主人公が全て白人男性だと詰問されましたが、言い訳に事欠いて「私自身、ゲイですから....」。はー? 昔から作品内の人種の多様性には気を使っているCBSですが、主人公キャラは白人男性のまま、助演キャラに女性、異人種、LGBTQなどを配役する旧式な方法で対処してきました。この日も、今シーズン新たに追加したキャラの人種、性別、LGBTQの一覧表が提示されました。黒人家族(「Black-ish」)、中国系家族(「Fresh Off the Boat」)、韓国系家族(「Dr. Ken」)と人種グルーブ別にコメディーを展開するABCとは正反対です。 数々のハプニングがありましたが、最も差別されているアジア人の一員として、白けっぱなしのプレスツアーでした。 ここ数年、中国やインド人俳優が多数配役された結果、「❍❍色濃い」と表現してきましたが、今秋は「黒人の、黒人による、黒人のためのテレビ」としか言いようがありません。それでも、「まだまだ差別は撤廃されず、苦労は続く」とお涙頂戴の発言を何回聞いたでしょう。白人以外を十把一絡げにしたグループのリーダー格的黒人の皆々様、それは「蜘蛛の糸」ではありませんか?と指摘したくなりました。異人種が1本のドラマの中に共存する私の理想は、所詮、絵に描いた餅のようです。

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