2017~18年シーズンの秋の新作は、情け無いほど面白くありません。例年の如く、一応パイロット版は全て観たのですが、注目に値する作品が皆無に近い暗~いシーズンとなりました。
それでもめげずに、数話観たところ、うーん、なかなかの出来じゃないか!と感心したのが、NBCの愛国心バリバリの「The Brave」と「スタートレック」と見紛うFoxのSFモノ「The Orville」のドラマ二本です。
パイロットは、まあまあの出来でしたが、「The Brave」は主役のマイク・ヴォーゲルに惹かれて、しばらく我慢の子で観続けようと思っていました。「パンナム」に出演が決まった時に一度お目にかかったのですが、何と言ってもちょい役ながら映画「ヘルプ」でヴォーゲルの演じたキャラが好きで、地上波局の軍隊モノ新作の中から、俳優で選んでしまいました。
左からマックG役ノア・ミルズ、ジャズ役ナターシャ・カラム、プリーチ役デミトリアス・グロス、諜報員アル・ライサニ役ハディ・タバール、特攻隊隊長のダルトン大尉役ヴォーゲル。(c) Jeff Riedel/NBC
内容は中東にお忍びで待機している特攻隊5人が、米国国防情報局(DIA)の指令で全世界の危機やテロに対処するアクション・ドラマです。ハラハラ、ドキドキの末、救出や脱出を果たすもので、毎回スリル満点です。ヴォーゲルがお目当てで観ようと臨んだプレスツアーのパネルインタビューですが、マックG役のノア・ミルズは画面で見るよりも、実物の方が遥かに魅力的でした。ミルズもヴォーゲル同様、モデル出身の好感度抜群の俳優です。視聴率が芳しくないので、先行きが心配です。
ヴォーゲル(左)とミルズ。モデル出身の役者が2人揃うのは珍しい?ミルズは、「まだまだ新米なので、学ぶことが一杯です」と抱負を述べた。(c) Lewis Jacobs/NBC
CBSの「SEAL Team」は主役にデヴィッド・ボレアナズ(「BONES 骨は語る」)が起用されていることが判明した時点で、興味が半減しました。そして、何よりも興醒めだったのは、パネルインタビューでも、CBSオールスター・パーティーの席上でも、制作陣が「軍隊モノ」であることを執拗に否定したことです。何故認めないのかは未だに謎のままですが、家庭生活に重点を置くと主張するプロデューサーのサラ・ティンバーマン(「マスターズ・オブ・セックス」)に、「パイロットを観た限り、『ザ・ユニット 米軍極秘部隊』に似ていると思いました」とコメントしたところ、顔色が変わり、側に立っていたプロデューサーとヒソヒソ話をする始末。「ユニット」が好きだったから指摘したのですが、どうもご機嫌を損ねたようで、後味の悪い会話になりました。そこまで、否定するには、何か訳があるに違いありません。
デヴィッド・ボレアナズは、ネイビーシールズ・ブラボーチームのヘイズ隊長に起用された。「BONES」後のシリーズ復帰作となる。WENN.com
一方、CW局のカラーにそぐわないもう一本の軍隊モノ「Valor」は、戦闘ヘリコプター操縦士として初めて女性が起用されたことに重点を置いたドラマです。こちらは、プロデューサーも俳優もあっさりと軍隊モノであることを認め、CBSとは対照的で爽やかでした。残念ながら、CW視聴者には受けが悪く、シーズン2は期待できそうにありません。
番宣ランチが開催されたホテル中庭には、主役を演じるクリスティーナ・オチョア(左)とマット・バーの大型ポスターが展示された。(c) Meg Mimura
CBSオールアクセスのオリジナル第二弾として始まった「スタートレック ディスカバリー」は、余りの暗さに一話で見限りましたが、SFモノが大いに苦手な私でさえ、Foxの新作「The Orville」には、すっかりハマってしまいました。シーズン2が既に確約されている事実を見る限り、局自体が視聴率に満足しているものと思われます。
夏のプレスツアーの最中にパイロットを含めた全三話をオンラインで視聴できるようになっていたのですが、私の好きなジャンルではないので、視聴せずにパネルインタビューに臨みました。プロモはコメディーとして押していましが、第三話はとても奥が深いドラマなので、「コメディーとして宣伝しない方が良いのでは?」とある評論家から提案があり、これは一見の価値あり?と観て、すっかりファンになってしまいました。
映像がそれはそれは美しく、50インチのハイデフで観るために制作されたような宇宙探検ドラマに仕上がっています。又、ダークマターなどの概念が映像として表現され、私のようなSF苦手人間でも十分に理解できる点も気に入っています。そして、何よりも夢も希望もない昨今、制作主演のセス・マクファーレンの発言通り「希望のあるドラマ」としてキラリと光っており、毎週楽しみに観ています。現代社会、特にトランプ政権下を暗に批判するような筋書きも多々あり、いつの時代も、どんな世の中でも、人間は然程変わらないんだなぁと思い知らされます。つまり、進歩が無いと言うことなのですが....
自作自演のセス・マクファーレンは、オーヴィル号のマーサー艦長を演じる。三話以降、コメディー傾向(主にダジャレ)を放棄したのが成功の鍵?WENN.com
今秋のコメディーの話題作「Young Sheldon」は、パイロットを9月25日に放送して、人気を確認してから、11月2日より二話以降を放送するという珍しい方法でデビューしました。「ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則」のシェルドン・クーパー(ジム・パーソンズ)の生い立ちを描くコメディーです。「ビッグバン★セオリー」でシェルドンの口から聞いた子供時代を映像化したもので、9歳の神童シェルドンを演じるイアン・アーミテージ君がとても愛くるしい上、幼いシェルドンが素直で無邪気な点が大いに気に入りました。ここ数年、シェルドンが意地悪になり、人を蔑む言葉が聞くに耐えないようになっていたからです。パネルインタビューで、パーソンズがまるでアーミテージを我が子のように暖かく見守る微笑ましい姿が印象的でした。
ジム・パーソンズは、「ビッグバン★セオリー」が始まってすぐにインタビューして、独占記事を書いた思い入れの深い俳優。腰の低さは変わっておらず、「久しぶりですね!元気にしてました?」と声をかけてくれた。「僕自身は、もっと粗削りな自信のない9歳だった」とアーミテージ君を称賛。 WENN.com
神童シェルドンに抜擢されたアーミテージは、読書が趣味。テレビはほとんど観ないので、登板が決まってから、「ビッグバン★セオリー」を数話観て撮影に入ったと余裕綽々。怖いもの知らずなのか、本当に自信があるのか? WENN.com
第二話は、神童でなくても、学校で除け者扱いをされた経験のある視聴者にはジーンと来る逸話でした。パーソンズのナレーションも、視聴率獲得に寄与していることは間違いありません。難を言えば、シェルドンの母メアリー・クーパーの若かりし頃に配役されたゾーイ・ペリーと、ばあば役アニー・ポッツです。ペリーは、「スキャンダル6」で冷酷で無惨な役を演じている最中に、本作のオーディションを受けたと言いますが、私はあの怖い怖いサマンサのイメージを未だに拭い去ることができず、何度観ても慣れません。イメージがダブって、いつ切れるのだろう?とハラハラします。
狂信的なメアリーの30代に抜擢されたゾーイ・ペリーは、本家本元メアリーを演じて来たローリー・メトカーフとジェフ・ペリー(「スキャンダル」のサイラス・ビーン役)の実の娘という曰く付きだ。 WENN.com
ばあばは、私のイメージと正反対のポッツが配役されて、小説を読んだ時に、頭に描いていたキャラ像と映画化された時のイメージのギャップに驚くのと同じく、もっと古風なテキサスのおばあちゃんを想像していたんだけど....と思いました。それでも、ポッツはしばらくすればしっくり来るかも知れません。シェルドンにポーカーフェイスを教え込むなど、なかなか強かなばあばだからです。
モダンなばあば役を演じるアニー・ポッツ。ポッツの代表作「浮気なおしゃれミディ」 の頃から、ファンだったので起用されたのは嬉しいが、私のイメージとは月とスッポン!WENN.com
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