4月13日の「ブレイキング・バッド」を皮切りに始まった、2013年度のエミー賞根回しイベントは、6月13日の「ニュースルーム」のパネルディスカッションを以て完了しました。
今年のイベントのぴか一は、5月16日に開催された「スキャンダル 託された秘密」です。シーズン2のフィナーレ回を本読みすると招待状に明記されていましたが、同夜午後10時からの生放送を意識して、他のイベントより30分遅い、午後8時に始まりました。つまり、参加者は「スキャンダル」の熱狂的ファンですから、皆DVR録画予約をして、イベントに足を運んだことになります。
この日は、朝からいくつか仕事をこなし、夕方我が家に戻った頃には、もうすっかり疲れきっていました。会場まで30分足らずですが、良い席を確保するには、開場1時間ほど前から並ぶ必要があるため、出かける準備をする頃には、「あー、面倒!もう辞めようかな〜〜」と思いました。
しかし、15イベントの中で、私がハマっている作品はわずか。しかも、数少ない地上波局の作品を見逃す手はないと思い直し、重い腰をあげて会場に向かいました。もし、あの時’出不精の怠け虫‘に負けていたら、貴重な体験を逃すところでした。
最終話本読みに登場したのは、ハリソン役のコロンバス・ショートのみ不参加のキャスト17名。ステージに所狭しと椅子が並べられ、エクゼクティブ・プロデューサーのベッツイー・ビヤーズがト書きと端役の台詞を担当して始まりました。リハーサルと違って、もう何度も口にした台詞だけに、モノトーンの長台詞が猛烈な勢いで飛び交い、ト書きを理解し、頭の中に映像を描いているうちに、どんどん話が進行!脚本を読むより、耳で聞いて理解/想像することが、いかに難しいかを体験しました。
前列左からビヤーズ、ベラミー・ヤング、ジェフ・ペリー、トニー・ゴールドウィン、ケリー・ワシントン、ギレルモ・ディアズ。
後列左からトム・アマンデス、マット・レッシャー、ジョージ・ニューバーン、ジョシュア・マリーナ、スコット・フォーリー、ジョー・モートン。
これでもか!と言わんばかりにどんでん返しが続き、最後のひと言がオリヴィア(ケリー・ワシントン)の口をついて出た瞬間、満場総立ちに!なりました。日本では、8月からシーズン2が始まるようですが、シーズン1は7話しかなかった「スキャンダル」がどのような展開を見せるか、乞うご期待!と言うしかありません。
パネルディスカッションでは、私が一番聞きたかった台詞のペースについて質問が出て、クリエイターのションダ・ライムズは、通常のドラマ脚本より10〜15頁は多いことを認めましたが、何故モノトーンの長台詞を独特のペースにしたのかについては説明がありませんでした。一番早口で捲し立てられるのは?との質問に、クィン役のケイティー・ロウズが名乗りを挙げました。
番組の起源は、実在の危機管理コンサルタント、ジュディー・スミスの体験ですが、スミスと会って1年、ライムズの頭の中で渦巻いていたのは、ハリソンの「スーツを着た剣闘士」スピーチと、犬を散歩させているアマンダ(ライザ・ウィ−ル)にアプローチするオリヴィアだったそうです。
キャラの中で、最も人気を博したハック(ギレルモ・ディアズ)の役柄について「計り知れないほど複雑怪奇で、謎だらけのキャラが土台の作品。ディアズを観察しているうちに、剥いても剥いても芯に行き着かないタマネギ的キャラが生まれた」とコメントしました。やはり、役者自体が持ち合わせている特色を引き出すことが大切なんですね?
ファンとの写真撮影に気軽に応じるディアズ。「スキャンダル」一番の人気者なので、順番を待つファンの長い列ができた。
レセプションで、久し振りにスコット・フォーリーと言葉を交わすことができました。「グレイズ・アナトミー 恋の解剖学」シーズン7〜8の15話にヘンリー・バートンとして出演したフォーリー。健康保険料の高騰について行けず、保険更新できない人が続出していた時のことでした。入退院を繰り返して保険を維持できなくなったヘンリーがテディ・アルトマン医師(キム・レイヴァー)に、保険目的の偽装結婚で救ってもらい、視聴者の心をしっかりと掴みました。私自身、ヘンリーに共感できる立場だったので、心を打たれる好演だったと述べたところ、「僕もあの役がとても気に入っていた」と話してくれました。余談ですが、現在放送中のコメディー「The Goodwin Games」で、フォーリーはナルシシストながら、決して憎めない外科医キャラを演じています。あの役をさらっと演じられる役者は他に何人いるでしょうか?
「グレイズ・アナトミー 恋の解剖学」スコット・フォーリー(左)、キム・レイヴァーの保険目当ての結婚は、日本では考えられない米国の悲惨な現状を物語る。 Andrew Evans, David Gabber / PRPhotos.com
翌日、録画しておいたフィナーレ回を観ましたが、本読みでは意味不明?のシーンや台詞が映像化されると、一目瞭然。とは言っても、繰り返し観ても飽きないから不思議です。貴重な体験をした根回しイベントでしたが、果たしてエミー賞に繋がるでしょうか?
今年1月にグラント大統領と写真撮影してもらったので、この日は、副大統領サリー・ラングストン(バートン)と。
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