地上波5局の新番組20本は、今年も9月21日から追々始まりました。昨年同様、パイロットのみ放送して打ち切りという極端な例はありません。地上波局は、漸く放送後1ヶ月の期間に配信形態の異なる視聴方法で、何人の目に触れたかの総計が出るまでは、じっと我慢の子でいるしかないと悟ったようです。とは言え、翌日の視聴率は嫌でも耳に入って来るので、期待の割に視聴率が取れず、お先真っ暗なの?と心配になります。10月18日現在、打ち切り第1号の発表はありません。
■ ABC
ドラマ
◇「Blood & Oil」
裏番組が「グッドワイフ」や「ウォーキング・デッド」など何シーズンも続いているヒット作であることも大いに影響しているとは思いますが、とにかく出だしから視聴率がとれません。チェイス・クロフォードが「ゴシップガール」の優男(優少年?)のイメージを脱却しようと必死に逞しい男を演じていますが、続きを観たい!と思わせないのは、欲深い人間集団に共感できない視聴者が多いからではないでしょうか?今年初の打ち切り候補第一位です。
ビリー役でイメチェンを狙うチェイス・クロフォードだが、我利我利亡者に囲まれて、どう見ても線が細い。WENN.com
◇「Quantico」
特に斬新なアイデアではないだけに、果たしてプリヤンカー・チョープラーの魅力だけでシリーズが成立するのか?と心配していましたが、午後9時枠の「Blood & Oil」の視聴率が低迷しているお陰で、午後10時枠の本作が何倍も輝いて見えます。シーズン1確約の発表がありました。
美貌だけでなく、頭脳も体力も要求されるアレックス役は、プリヤンカー・チョープラーにとってはもってこいの役だ。テレビシリーズの撮影スピードに慣れただろうか?WENN.com
◇「Wicked City」
1980年代のLAを舞台に連続殺人鬼男女コンビを描く犯罪捜査ドラマ。こちらも「ゴシップガール」出身のエド・ウェストウィックが、何を思ったか連続殺人鬼を演じます。映画「俺たちに明日はない」で描かれた強盗殺人犯ボニー&クライドを、連続殺人鬼ケント&ベティーに模様替え(?)。ディズニーABCの社風にそぐわないエログロから、何か学び取ることがあるのでしょうか?
連続殺人鬼ケントを演じるエド・ウェストウィック。「ゴシップガール」で演じたプレーポーイに殺人要素を加えただけ?WENN.com
継続ドラマ
毎週木曜日はションダ・ライムズ日で、午後8時「グレイズ・アナトミー」9時「スキャンダル」10時に「殺人を無罪にする方法」(以下「殺人」と省略)とプライムタイムを独占しています。
継続する意味がない「グレイズ」、優柔不断なオリビアに苛立ち、メリー側に乗り換えた視聴者もいるのではないか?と思う「スキャンダル」。「殺人」は、主演のヴィオラ・デイヴィスが黒人女優として初めてエミー賞を手にしたこともあって、アナリースの奇行が益々悪化しており、敏腕弁護士/大学教授の品格などどこ吹く風!アナリースは「ダメージ」のパティー・ヒューズではなく、「グッドワイフ」のカリンダ・シャルマを彷彿させる、勝つためには手段を選ばない破廉恥キャラに成り下がってしまいました。ライムズ好みのメロドラマに豹変してしまったのは、残念です。
アナリースを演じて、エミー賞ドラマ部門の最優秀女優賞を受賞したヴィオラ・デイヴィス。パティー・ヒューズ級の敏腕弁護士ではあるが、カリンダ・シャルマ張りの狡猾さは興醒めだ。WENN.com
コメディー
◇「The Muppets」
4話放送。カーミットが制作するミス・ピギーのトーク番組の舞台裏をユーモアたっぷりに描いていますが、内輪ユーモアがどこまで通じているのでしょうか?プレミア以来、毎回視聴率が下降しています。
◇「Dr. Ken」
3話放送。医師から俳優に転業したコメディアンのケン・チョンの体験を元に自作自演するコメディー。昨年絶賛された「Black-ish」(黒人文化)と「Fresh Off the Boat」(台湾)に続く◇「Dr. Ken」(韓国)は、人種の多様性を前面に押し出すABCならではの作品です。
自叙伝を自作自演するケン・チョン。この手の人種別コメディーは、人種毎に植え付けられた固定観念を却って助長するのではないか?WENN.com
■ CBS
ドラマ
◇「Limitless」
4話放送。1日も早く22話を確約して欲しい2015年シーズンの最も楽しい新作です。先週、他局でオリジナル映画「リミットレス」を観て、テレビ化する際に暗い影の部分が巧みに取り除かれたことが分かりました。時々、登場するブラッドリー・クーパーの胡散臭いエディー・モーラ上院議員が、’暗影’を持ち込みますが、ジェイク・マクドーマン(「Manhattan Love Story」)のブライアン・フィンチが負け組と勝ち組を好演して吹き飛ばしてくれます。マクドーマンの実力が活かされて、とにかく楽しい作品に仕上がっており、プレミア日の視聴率を維持する偉業を成し遂げています。
ブライアン役を好演しているジェイク・マクドーマン。「Manhattan Love Story」で共演したアナリー・ティプトンが、元彼女ショウナ役で第三話に登場した。WENN.com
◇「Code Black」
3話放送。9月30日のプレミア日でさえ視聴率が取れず、青息吐息です。ハーデン級の名優でも、「エキストラでさえ本物の看護師を配役!」と宣伝しても、この何の特徴もない医療ドラマを救うことはできないでしょう。
CBSは、何度も医療ドラマに挑戦してきましたが、毎回失敗に終わっています。犯罪捜査局と化したCBSの定着ドラマに匹敵するほどの医療ドラマがないと言うよりは、視聴率のハードルが高すぎる割には、局側の辛抱が足りないからだと思います。
◇「Supergirl」
プレミアは10月26日。CBSのドル箱コメディー「ビッグバン★セオリー ギークなボクら恋愛法則」の後続番組であり、前評判がかなり高かったこと、パイロットが面白かったことなどを考えると、かなりの視聴率が取れるものと期待されています。
ワーナーの撮影所ツアーをした時に、5サウンドステージを使って、テレビ史上最大規模の制作をしていると聞きました。初期投資を考えると、シーズン1は何があっても安泰と予想されます。
継続ドラマ
「グッドワイフ」は、10月4日からシーズン7が始まっています。毎年、アリシアの成長過程を辿って行くのが本作の意図ですが、今年は第一話を送って来るでもなし、夏のプレスツアーに制作陣が姿を現す訳でもなく、情報不足でシーズン7が始まってしまいました。今シーズンで完了?と言う噂が流れていますが、クリエイターコンビ(ロバート&ミシェル・キング夫妻)が夏にNYに移転した上、来年夏に政界コメディー「BrainDead」を発表するため、嘗てほど「グッドワイフ」に力を注いでいないように見受けます。
日本では、シーズン4以降放送されていないので、2シーズンが抜けてしまいますが、シーズン6がアリシアの政界デビュー(?)なら、今シーズンはアリシアの独立独歩を夫ピーターの大統領選出馬を背景に描きます。本シリーズが始まった時から、キング夫妻は「アリシアの終着点は明白」と宣言してきました。私は、終着点をアリシアの大統領就任だと読んだので、就任した時点で本作が完了するものと信じています。
シーズン7は、例年の如くアリシアの背景/環境が大きく変化しました。カリンダ、フィンは姿を消し、古巣の法律事務所に戻れなくなってしまったので、ダイアンやケーリーなどとも接点が減少しています。長女グレイスがアリシアのアシスタント兼相談役に昇進したことは喜ばしいことです。今シーズンのアリシアの相手役は、ジェフリー・ディーン・モーガンが演じるジェイソンで、カリンダの後釜に座った胡散臭い私立探偵です。
コメディー
◇「Angel From Hell」
11月5日にデビューする予定だった、ジェーン・リンチ主演のコメディは、来春に延期されました。唯の酔っ払い?それとも守護天使か?どちらとも取れる、ちょっと意味深なコメディーですが、いつまで疑惑を維持できるのか?と心配しています。
ジェーン・リンチが天使?酔っ払い?を演じるコメディー。11月初旬にプレミアが予定されていたが、急遽来春に延期された。理由は不明。WENN.com
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