前回は黒人文化を通じて、米国社会を描く「Black-ish」をご紹介しましたが、9月30日開始の「Selfie」は、主役がジョン・チョウだからこそ、特記の価値があります。デジタル時代の男女関係の機微を面白おかしく描く、時を得たロマコメは「マイ・フェア・レディー」21世紀版と言えます。
イライザ・ドゥーリー(カレン・ギラン)は、フォロワー26万人余りのソーシャルメディア界のスーパースター。醜いアヒルの子が、努力の結果スターの座にのし上がりましたが、人間としては品格も常識もない、浅はかを絵に描いたような現代っ子です。つき合い始めた彼氏が既婚者と知り、所構わず演じた失態が、会社の同僚の手で、一気にネット上拡散されてしまったから大変!地に堕ちた天使に救いの手をさし伸べてくれるファンがいると確信していたイライザですが、結局、フォロワーもファンもバーチャルでしかない上、隙あらば陥れてやろうと待ち構えていたのだと気付きます。バーチャル世界でスターダムを満喫していたイライザには、現実社会で普通の生活をする知恵も能力も備わっていません。
ソーシャルメディア界のスーパースター、イライザを演じるギラン。米国英語はテレビを観て覚えたが、「デジタル/ソーシャルメディア語は、聞いたこともない言葉だらけ!毎日が勉強よ」と明かした。 WENN.com
イライザが、イメチェンに無理矢理師事したのは、職場のマーケティングの天才ヘンリー(ジョン・チョウ)です。会社の製品のイメージ挽回キャンペーンで大成功を収めたヘンリーですが、’デジタルの申し子’のイメチェンなど、無理!無駄!と拒否しつつも、何故かイライザ旋風に巻き込まれて行きます。
ヘンリー役を演じるチョウ。ツイッター等で時代の流れには乗っているものの、「何もかもリアルタイムは、疲れる」とヘンリーの観点に賛同。更に、作家ジョナサン・フランゼンの言葉を引用して、ソーシャルメディアの狂気の沙汰を指摘した。 WENN.com
しかし、'マーケティングの天才'ヘンリー自身も完璧とは言えません。杓子定規な仕事の鬼ヘンリーも決して社交的とは言えず、とかく籠りがち。オタク性を察した上司の策略は、女性同伴を条件に娘の結婚式に引っぱり出すことでした。出席を強要されたヘンリーが思い付いたのは、社交術の訓練と称して、イライザに化粧、髪型、服装まで事細かに指示して、披露宴に連れて行ける清楚な女性に仕立て上げることでした。しかし、付け焼き刃は即座に剥げて....デジタル依存症イライザはともすれば、バーチャル界に逃げ込む悪い癖があります。
【動画】「Selfie」トレーラー
クリエイターのエミリー・キャプネックは「携帯やタブレット等テクノロジーが男女関係にどのような影響を与えているかを描きたいと思った」と明かしました。更に、デジタル時代のロマコメを創作している過程で、淑女教育や師弟関係という切り口は「21世紀の『マイ・フェア・レディー』だと気付いた」と言います。
スコットランド人女優ギランはお国言葉を使わず、米国英語でイライザ役に挑戦していますが、「カレンのスコットランド語って、何となく嘘っぽいし、ムラがあるのよ」とコメントするキャプラン。「それにスコットランド人が同僚から村八分にされたら、人種差別になってしまって、全然違う話になるでしょ?」とも説明しました。
特記すべきは、韓国系アメリカ人俳優チョウが、ヘンリー役に抜擢されたことです。家族コメディーの主役にアジア系が配役された前例はありますが、ロマコメの主役は前代未聞!なのです。
ギラン(左)とチョウ。チョウは「ドラマに出ているとコメディーに、コメディー登板が決まったら、ドラマに出たくなる、分裂症的性格なんだ」と笑うが、特にロマコメの男性役に起用されたことに関してのコメントはない。そこが一番大切なポイントなのに! WENN.com
「キャラの進化が本作のテーマ」とキャプランは言いますが、よくよく考えてみると、キャラの設定にかなり矛盾があります。自己中で中味ゼロのナルシストに、製薬会社の営業(MR職ではないかと思います)など務まるのでしょうか?社交性のないマーケティングの天才など、あり得るのでしょうか?ソーシャルメディアの功罪は、ヘンリーが痛い所を突いていて、’デジタル移民’世代には納得が行き、大いに笑えますが、キャラの設定には大いに難あり!です。
ロマコメの主役に初めてアジア系俳優が起用されたことが、進歩なのです。但し、「Selfie」が何シーズンも続くためには、キャラの矛盾やネタ切れを早急に解決する必要があると分析しました。
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ロマコメの主役にジョン・チョウ!「Selfie」は特記の価値あり
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今秋の異色作「Jane the Virgin」が受ける理由
TCAでは、昨年からプレスツアー後に、期待の新ドラマや新コメディーを会員が投票し、公開するようになりました。9月17日のブログに書いたように、今秋のドラマ、新作共「Gotham」が1位の座を占めましたが、蓋を開けて見ると、FOXが期待したほどの視聴率は獲得できませんでした。
7月18日に配られた番宣プロモ品は、ジェーンが蓋に印刷された缶入りキャンドル。ジェーンが手にしているのが、妊娠検査スティック!とは、大いに笑える。
TCA会員が選んだ昨年のニューフェースは「スリーピー・ホロウ」のトム・マイソンでしたが、今年は大多数の会員が、異色作「Jane the Virgin」のジーナ・ロドリゲスを選びました。プレミアは10月3日ですが、9月22日にCW局が3話追加制作を発表するという鼻息の荒さです。前評判が良かったから気を良くしての決定だとは思いますが、CWは視聴率とは無縁の世界で放送しているような、説明のつかない決断をする局なので、当然と言えば当然ですが....果たして、吉と出るか、凶と出るかと言う所でしょうか?
「ジェーン役を待っていた!」と熱く語るロドリゲスは、ユダヤ+プエルトリコのハーフ。「有色人種を代表して、この人種はこの職業/役所という固定観念を破り、少女達に夢と希望を与えたい」と抱負を述べて、株が上がった。「アグリー・ベティー」のアメリカ・フェレーラを彷彿させるが、ロドリゲスの庶民的な人柄は吸引力抜群。 WENN.com
「Jane the Virgin」は、一言で説明するなら「アグリー・ベティ」と「ギルモア・ガールズ」を掛け合わせたような、ベネズエラのテレノベラ「Juana la Virgen」米国版です。マイアミを舞台に働き者で信心深い、ラテン系三世23歳のジェーン(ロドリゲス)の生き方を描きます。
「アグリー・ベティ」と同様、「あり得ない!」が次々と身に降り掛かり、人生経験の浅いジェーンが障害に如何に反応し、悩み、対処するかが描かれます。ジェーンの「あり得ない!」の発端は、結婚するまでは純潔を守り抜くと祖母アルバ(イヴォンヌ・コル)に誓い、彼氏マイケル(ブレット・ダイヤー)も了解していたのに、産婦人科の定期検診で人工授精されて、バージン/未婚の母になってしまったことです。更に、嘗てジェーンが恋い焦がれていたホテル王の御曹司ラファエル(ジャスティン・バルドーニ)が’一粒種’を儲ける最後の頼みの綱だったと聞いてしまったから、心が揺らぎます。
ダイヤー(左)が演じるマイケルは刑事だが、暗い過去が.....。一方、バルドーニ演じるラファエルは、ジェーンも嘗て熱を上げた元遊び人で、強欲なペトラが裏で糸を引いている。 WENN.com
祖母は聖母マリアのような無原罪懐胎だと大喜びし、母ジオマラ(アンドレア・ナヴェド)は16歳で生んだジェーンに、未婚の母のイバラの道体験を語りますが、最終的にはジェーンに選択肢を示すことが義務だと信じています。「ギルモア・ガールズ」の友達親娘要素です。「あり得ない!」発覚前にマイケルがプロポーズしましたが、ラファエルの子供がお腹にいることが二人の門出を阻みます。果たして、ジェーンの決断は如何に?
【動画】「Jane the Virgin」トレーラー
「何じゃこりゃ!?」としか表現しようのないパイロットですが、クリエイターのジェニー・スナイダー・アーマンは「テレノベラへの恋文よ!」と説明します。嫉妬、疑惑が渦巻くドロドロさ、欲望ギラギラ、怒りバチバチ、吹き出しそうになる程大袈裟な身振り、手振り、口振りがテレノベラの世界ですが、米視聴者に嫌われないよう、かなり水増しされています。それでも、パイロットを観て「大丈夫かな?」と思ったのは、私だけではありません。
ところが、7月18日本作のパネルインタビューで、インディー系映画出身のロドリゲスがLifetime局の「Devious Maids」(マーク・チェリー、エヴァ・ロンゴリア制作)をパスして、ジェーン役を選んだのは、独立独歩の逞しいジェーンに惚れ込む前の事情や信条を熱く語って、評論家の心を鷲掴みにしたのです。
「サンダンスの後、ABC局お抱え俳優の契約を結んだら、『Devious Maids』のメイド役しかなくて、ラテン系の女優がもらえる役所には限界があるな〜って....アメリカ人が書くストーリーに登場するラテン系の役って、決まり切ってるじゃない?シカゴの英語社会で育った私は、お決まりのラテン系アメリカ人の役に抵抗を感じるの。悪事を働いて生きているんじゃないから、『Devious Maids』の役が悪いって言ってる訳じゃないのよ。私の家族にも、お手伝いさんをして一家を支えてきた人間は大勢いるわ。だけど、その固定観念を破って、次の世代に、違う職業、生き方を映像で示すのが私の仕事だと思うの。哀しいことだけど、未だにラテン系は、お手伝いさん、庭師、未婚の母の箱に分類されてるじゃない?」と、ハリウッドの現状を説明するロドリゲスでした。
因に、「Devious Maids」のビデオインタビューをした際、「FBI失踪者を追え」でデルガド捜査官を演じたロズリン・サンチェスに「FBI捜査官を演じた後、ビバリーヒルズの豪邸のお手伝いさん役ですか?」と私は尋ねてしまいました。「役は役だから」的、納得の行かない答えが返ってきた記憶があります。やはり、ラテン系にもハリウッドは厳しい世界なんだろうな....と思うと同時に、私が女優なら脇役でも良いから逞しい、前向きな女の役を敢えて選ぶな〜などと、勝手な憶測をしました。
その直後に、PBSのラテン系民族の米国浸透を記録したドキュメンタリーに出演したエイミー・ガルシアと話す機会があり、「Devious Maids」について尋ねてみました。「Trauma」で逞しい救急救命士を演じていたガルシアは、「私は敢えて強い女やキャリアウーマン役を選んできたから、今更メイドの役なんて、考えられないわ」と笑っていました。役を選ぶ信念と気力を感じました。
従来ハリウッドが求める主役像は、1)白人、2)サイズ0、3)若い女性と決まっていました。銀幕や画面に「同類」が見当たらない=有色人種が辿り着く職場がないと解釈して今に至ったロドリゲスは、「私が夢を叶えれば、希望をお裾分けすることができるわ。肌の色や文化は違っても、『ジーナと私は同類。他にも仲間はわんさといる!頑張らなくちゃ!』と少女達がついて来てくれたら儲け物!って思うの。だから、これまで女性を前進させる役しか演じなかったし、テレビの初仕事は、繰り返し語られてきたストーリーに加担する役じゃなくて、固定観念を打ち破る役じゃないとお手本になれないもの。『ほら、私の「同類」が医者、教師、脚本家、弁護士をやってる!私にだってできるわ!』って思ってもらわなきゃ!」と真摯に語りました。
「Jane the Virgin」のキャスト。左から、祖母アルバ役のコル、ジェーンの父親ロヘリオ役のハイメ・カミル、ロドリゲス、ダイヤー、バルドーニ、ペトラ役のヤエル・グロブグラス。 WENN.com
有色人種の十字軍の戦士ロドリゲス!頑張れ!と密かに応援している人は大勢いると思います。それが視聴率に繋がるかどうか?何しろ、裏番組が「ザ・ヴォイス」「スリーピー・ホロウ」と「Scorpion」なのです。ロドリゲスが「お手本」になりたいと願っている少女世代が、オンラインでも、DVRでも何でも良いから、観てくれますように。
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地上波局2014年秋の新番組成績表
9月21日から追々始まった地上波5局の新番組24本の中間報告です。今年は、パイロットだけ放送して打ち切りという極端な例はなく、打ち切り第1号は、10月末まで発表がありませんでした。4〜6話と進行中でしたが、打ち切り後は尻切れとんぼではなく、V.O.D.やHuluで結末を視聴できるようになりました。
■ ABC
ドラマ
◇「Forever」シーズン1(22話)は一先ず安泰
「スリーピー・ホロウ」医療版のような不死身の検察官のドラマ。私は、今年初の打ち切りと予想していたのですが…どこがどう受けたのでしょうか?
◇「How to Get Away with Murder」シーズン1は、15話制作。11月末までに9話を放送してシーズン1前半を終了、後半6話は来年1月末までお預け!
毎週木曜日はションダ・ライムズ日で、午後8時「グレイズ・アナトミー」9時「スキャンダル」10時に「How to Get Away with Murder」(「HTGAWM」と省略)とプライムタイムを独占しています。
だらだらと続いているだけの「グレイズ」、先シーズン後半あたりから輝きを失ってしまった「スキャンダル」の後に、「HTGAWM」が颯爽と登場して魅了してくれるものと期待していたのですが….正直な所、嘗ての「スキャンダル」ほど吸い込まれるほどの迫力のないメロドラマで、がっかりです。「ダメージ」の足下にも及びません。私なりに分析したみたところ、
1)善良なキャラが独りもいない
2)未だにキャラの名前が覚えられないほど、キャラに魅力がない
3)ヴィオラ・デイヴィス演じるアナリースは「ダメージ」のパティー・ヒューズほど冷血漢ではなく、仰天するほど「怒」と「哀」をあらわにする
の3点が災いしています。「HTGAWM」も「スキャンダル」も「ダメージ」路線ではなく、卑劣人間のオンパレード「マッドメン」路線に乗ってしまい、残念としか言いようがありません。
「How to Get Away with Murder」で、テレビ初主演を果たしたヴィオラ・デイヴィス。感情の波を生々しく演じ、冷血漢ではないことをあらわにし過ぎて興醒め。過ぎたるは及ばざるが如し? WENN.com
コメディー
◇「Black-ish」シーズン1は24話確約
2話以降、ネタ切れ感があり、最近はV.O.D.で視聴する気にもなりません。人種をどう自覚するか?というアイデアから生まれた異色コメディーは、叩き上げ世代vs.裕福に育った世代の葛藤にすり替わってしまい、単なる家族コメディーに成り下がってしまいました。アンソニー・アンダーソンとトレイシー・エリス・ロスの演技が、極端に大袈裟で観るに耐えないことも大きな要因です。
◇「Cristela」シーズン1は22話確約
アイデアから生まれた「Black-ish」とは異なり、コメディアンのクリステラ・アロンソが脚本を書いているだけあって、キャラベースの笑いが詰まったコメディーです。ダラスを舞台にメキシコ系アメリカ人クリステラが弁護士を目指し、職場でも家庭でも悪戦苦闘する姿を描きます。クリステラ自身の体験を基に書かれているだけに、取って付けたようなわざとらしさが無く、安心して観られる作品です。弁護士を目指している割には、ブルーカラー色の濃いところが少々気になります。
◇「Manhattan Love Story」今年初の打ち切り作品。未放送の7話はHuluでストリーミング、あるいはV.O.D.で視聴可能
ロマコメがいかに難しいかを再度証明した感があります。配役にも難があったと思いますが、未放送分を観て、ABCの決断は正しいと思いました。とにかく、主役キャラに魅力がないので、これ以上続ける意味がありません。
◇「Selfie」今年、4本目の打ち切り作品。V.O.D.では未放送分3話のみ視聴可能だが、Huluストリーミングでは、おまけ11〜13話が視聴できる
デジタル時代の「マイ・フェア・レディー」は概念としては面白いし、カレン・ギランが浅はかを絵に描いたような現代っ子を愛くるしく好演しましたが、早々にネタ切れ感がありました。本作のクリエイターは、「テクノロジーが男女関係にどのような影響を与えているか?を描きたかった」と発表しましたが、概念からコメディーをひねり出すと、すぐに息切れするという2本目の例(1本目は同局の「Suburgatory」で、まだ継続されていますが、視聴率は激減)を生み出してしまいました。
ジョン・チョウは、ロマコメ史上初のアジア系アメリカ人を好演しましたが、マーケティングの天才と空気の読めない仕事の鬼オタクの相反する気質をどう演じたものか、混乱しているように見受けました。
但し、未放送分3話=つまりシーズン1の終盤に、生徒イライザと先生ヘンリーの心の触れ合いが描かれていて、イライザがいかに成長するのか、先を観たかったな〜と残念に思いました。Huluで残り3話を観るしかありません。
これからやっと始まる二人の関係を目撃できないのは、心残りです。ABCにもう少し我慢して欲しかったな〜と思います。
カレン・ギラン(左」は、「Selfie」で実力を実証したので、すぐに次作が決まるに違いない。一方、相反する性格がしっくり来なかったヘンリー役のジョン・チョウは、「スリーピー・ホロウ」の後半に復帰か? WENN.com
■ CBS
ドラマ
◇「Madam Secretary」シーズン1は22話確約。11月30日に第11話が放送され、シーズン1前半終了、後半は来年1月4日再開
後続番組の「グッドワイフ」と同様、視聴者は50代以上です。今シーズン「グッドワイフ」が、法曹界から政界に焦点を置き換えて、過去のシーズンほど面白くなくなったので、「Madam Secretary」の視聴率をそのまま横滑りさせて欲しいものです。
政界ドラマとは言え、「スキャンダル」と違って、過半数のキャラが善良な人間として描かれていて、物足りないという人もいるかもしれません。マッコード国務長官(ティア・レオーニ)は職場では四面楚歌、家庭では夫婦円満ながら娘や息子に振り回される母親です。
◇「NCIS: New Orleans」シーズン1は22話確約
場所を変えても、この手のドラマは似たり寄ったり!もう少し魅力ある俳優が配役されていれば、試してみようかと言う気にもなるのですが….
◇「Scorpion」シーズン1は22話確約
若者層に受けたのでしょうか?犯罪ドラマ局の名に恥じない内容ではありますが….
◇「Stalker」シーズン1は22話確約
ストーカー心理が面白い/楽しい/為になると観ている視聴者がいるという証拠ですが、視聴率を見る限り、ヒットとも駄作とも言えないまあまあの成績。シーズン2は多分ないものと思われます。
コメディー
◇「The McCarthys」3話放送。視聴率低迷に関わらず、3話更新。
ションダ・ライムズ日の裏番組だから、この視聴率なのでしょうか?個人的には、観るに耐えないコメディーだからだと思います。とにかく、笑えません。
■ CW
ドラマ
◇「The Flash」シーズン1は23話確約
同局にとっては、「アロウ」に続くヒット作です。「アロウ」とのクロスオーバー回もあり、好調です。
コメディー
◇「Jane the Virgin」シーズン1は22話確約
CWが放送開始前に、追加制作を発表して肩入れした甲斐あって、ゴールデングローブ賞コメディー・シリーズ部門賞作品賞にノミネートされました。更に、主人公ジェーンを演じるジーナ・ロドリゲスが女優賞にあがっていることは、実に喜ばしいことです。
視聴率が低迷していても、ロドリゲスの人柄が受けてノミネートに繋がったに違いありません。「ブルース家は大騒ぎ」のように、評論家だけに受けているのかも知れません。
「Jane the Virgin」ジーナ・ロドリゲス。大袈裟な演技で悪名高いテレノベラの主人公ジェーン役だが、さらっとした自然な演技が新鮮!エミー賞は候補にもあがらないと思うので、ゴールデングローブを獲得して欲しい期待のニューフェースだ。 WENN.com
■ FOX
ドラマ
◇「Gotham」シーズン1は22話確約
今秋、FOXで唯一高視聴率を獲得している作品。シーズン2継続は間違いないでしょう。逆に、2013年のヒット作「スリーピー・ホロウ」は内容の濃さに反比例して、視聴率は減少しています。ファンはどこへ行ってしまったのでしょう?
◇「Red Band Society」視聴率は低迷のまま、10話放送後、3話更新
お涙頂戴ドラマは、現代人にはしんどいのでしょうか?人生の教訓が若者には鬱陶しい?シーズン更新はほとんど見込みありません。
◇「Gracepoint」限定シリーズ13話で終了
「ボーンズ 骨は語る」の後続番組にも関わらず、視聴者の関心を引く事ができませんでした。英国版オリジナル「Broadchurch」と、主人公が同じという配役に問題があるのではないでしょうか?
12月16日、13話で完了、更新はしないと発表がありました。夏のプレスツアーで、限定シリーズ=視聴率次第で継続可能シリーズとあるプロデューサーが種明かししたことが思い出されます。
コメディー
◇「Mulaney」シーズン1の契約本数16話を、13話に削減
放送日を誰もが忌み嫌う金曜日夜に替えられたことが、既に継続しないという局側の真意を物語っています。現在、残りの逸話を消化中。
■ NBC
ドラマ
◇「Constantine」13話確約で、放送開始は10月24日
「グリム」とペア放送にして、NBCは大いに期待していたようですが、視聴率がとれず、シーズン1の契約通り13話を消化して終了すると発表がありました。シーズン更新はほとんど見込みありません。
◇「State of Affairs」13話確約で、11月17日放送開始
12月15日に第5話が放送されましたが、本作もシーズン1の契約通り13話を消化して終了するのではないでしょうか?「ホームランド」地上波局晩を目指しているのは解りますが、迫力が….姑になる筈だったペイトン大統領とチャーリー(キャサリン・ハイグル)の関係がストーリー展開の邪魔をしているように思います。更に、9月に放送開始した「Madam Secretary」で、政界ドラマはもう沢山!と判断した視聴者も多いと思われます。
◇「The Mysteries of Laura」シーズン1は22話確約。来年1月7日に11話目が再開
デブラ・メッシングがとにかく輝いていて、「ウィル&グレイス」や「スターター・ワイフ」ファンには嬉しいシリーズ復帰です。猫の手も借りたいほど忙しいシングルマザーは、少々旧いとは思いますが、事件捜査も伝統的な聞き込みに依存している作品なので、違和感はありません。残り11話が楽しみですが、シーズン2更新なるか?という所です。視聴者の年齢が高いことを理由に打ち切られた番組は山とありますから….
「The Mysteries of Laura」で、ローラを好演するデブラ・メッシング。テクノロジーや超能力に頼らず、昔ながらの聞き込みと推理で事件を解決する伝統的な語り口が良い。 WENN.com
コメディー
◇「A to Z」13話で制作打ち切り
◇「Bad Judge」13話で制作打ち切り
上記2本は、来年早々に4話放送して完了します。ロマコメ(「A to Z」)って、本当に難しいものなんですね。
◇「Marry Me」5話更新で、シーズン1は18話確約
毎回、視聴率がどんどん下がっているにも関わらず、更新ですか?残り10話は来年放送予定。
来春の新番組が毎日続々と配達されてきます。1月のプレスツアーを控えて、パイロットを年末年始に視聴しますが、面白そうな作品があればご報告します。
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「レバレッジ」ファンに吉報!TNT「The Librarians」の世界
12月7日に始まったTNTの新作「The Librarians」は、同局が2004年から3本制作したテレビ映画「ライブラリアン」のスピンオフ/テレビシリーズ化です。映画「ライブラリアン」はノア・ワイリーが、臆病で奥手の本の虫フリン・カーセンを演じるアクションアドベンチャーでした。安定を求めて就職したメトロポリタン公立図書館の司書....と思いきや、実は、数人で死守してきた、図書館秘蔵の骨董品やお宝を守る仕事だったのです。本にかじりついて生活できると夢見ていたフリンは、まるでインディアナ・ジョーンズのオタク版のような冒険の旅に出る羽目になります。
TNTのお気に入り俳優ノア・ワイリー。「フォーリングスカイズ」と入れ替わりに、古巣「ライブラリアン」のシリーズ化に出演、制作にも関与している。 WENN.com
今回、テレビ映画「ライブラリアン」をシリーズ化(シーズン1は10話)しようと持ちかけたのは、他でもない「レバレッジ」のクリエイター、ディーン・デブリンでした。故に、「レバレッジ」の制作陣やロケ地などが、本作でもそっくりそのまま使われています。
シリーズは、フリンが世界中を駆け巡っている間に、関与できない事件を新しいキャラ5人に任せるという設定です。オクラホマの田舎者ながら、知能指数は190、美術史オタクのジェイク役に「レバレッジ」の‘腕力’エリオット役クリスチャン・ケインが起用されています。無邪気で純粋、美術史オタクながら、今の所、ほとんど蘊蓄を傾けない可愛い役柄です。「レバレッジ」が終了して、寂しい思いをしていた方に、是非観ていただきたいシリーズです。
‘腕力’エリオットから打って変わって、知性派ジェイクに180度転換したクリスチャン・ケイン。格闘シーンでは、思わず手が出るのではないか?とはらはらしているのは私だけ?今度、話す機会があれば、聞いてみようっと! WENN.com
コンピュータの役目を果たすカサンドラ(リンディ・ブース)は、記憶を取り戻そうとすると、聴覚と知覚の幻覚症状を体験すると、説明されてもよく解らない脳腫瘍の副作用らしき’力’を持っています。「アルファズ」のレイチェルとゲイリーを足したような....つまり、何だかよく解らないけれど、答えが出て来るので、コンピュータの役目と片付けました。
カサンドラ役を演じるリンディ・ブース。パイロットでは、脳腫瘍を治療したくて、敵側に寝返ったので、同僚からは100%信用されていない。 WENN.com
盗みの達人エゼキエル(ジョン・キム)は、テクノロジーに長けている上、犯罪捜査ミステリーが大好きな青年(少年に見えますが)です。但し、イギリス英語で早口でしゃべるので、こちらもほとんど理解できません。
そして、映画「ライブラリアン」3作と同様に、この頭でっかちで腕力のないオタク3人を守るのが、強く逞しいイヴ・ベアード大尉(レベッカ・ローミン)で、元陸軍テロ対策専門の捜査官です。魔法や秘蔵など、不可解なことは理解しようともせず、とにかく3人を守ることが使命と理解しています。とにかく、強い!
イヴを演じるレベッカ・ローミン。フリンと恋仲になるような来週の予告トレーラーが流れたが、夢だったと言うこともあり得る。 WENN.com
魔法やテクノロジーを駆使して、4人の謎解きに加担するのがジェンキンス(ジョン・ラロケット)。4人が使命を果たさなければいけない、目的地を魔法のドアの向こうに呼び寄せる力を持っています。
ジョン・ラロケットが演じるジェンキンスも、今のところまだ謎の人物。過去は追々明かされるに違いない。 WENN.com
未知の世界を信じない現実的なイヴと、夫々自分の世界にどっぷり浸っているライブラリアン見習いの会話が面白いし、また映画より更にコメディー要素が増えていて、漫画を観ている感じです。また、楽しい番組を生み出してくれた「レバレッジ」チームに感謝、感謝!
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有終の美を飾った「ホワイトカラー」
「終わりよければ全て良し」とは言うものの、シリーズの結末ほど難しいものはありません。特に、秀作だと、どうしてもそれなりの終わり方を期待してしまうのが人情と言うものですが、私の記憶に残る限り、唸るほどの「完」は稀です。「えーっ!!何、それ?!」と、忠実なファンの期待を裏切る、安直な結末が蔓延している昨今、どうしても不安が募ってしまいます。
「ホワイトカラー」シーズン5は、今年1月30日に崖っぷちで終わり、2015年まで再開されない筈でした。ニューヨークで撮影しているため、制作費が毎シーズン高騰、シーズン5の崖っぷちのまま画面から姿を消してしまうのでは?と言う噂もあったほどです。しかし、今年9月、USA局がシーズン6は6話でシリーズを完結すると発表しました。
賢い4歳児ニール・キャフリー役マット・ボマー(左)とダサイが律儀で融通の利かない大人ピーター・バーク役ティム・ディケイ。「敵ながらあっぱれ!」とお互いへの尊敬の念が底を流れる異業種(?)のプロ間に生まれた友情を描いた楽しいシリーズだった。 WENN.com
11月6日のシーズン6プレミアに先駆けて、モジー役のウィリー・ガーソンに電話インタビューしました。「まだシーズン6と7があると思っていたので、6話で完結と決まって、考える間もなく、とにかく撮り終えたって感じ!」と本音を語りました。やはり、まだ2シーズンは継続する筈だったのです。
最終話を撮り終えた後のインタビューだったので、有終の美を飾るシリーズが極めて稀と指摘したところ、「6話しかないことが却って良かった。密度の高い最終シーズンになったと思う」と、ガーソンは「ホワイトカラー」式完結に大いに満足している様子でした。
モジー役ウィリー・ガーソンは、「LA在住なのに、何故かNYに住んでいると思われる」と笑う。一般に知られていないガーソンの秘密は、1)LAでレストラン2軒を経営するほどの食通=料理番組が大好き、2)見た目と違って体育系、3)パイロットの免許を持っている、4)ポーカーが大好き、5)リアリティー番組にハマっていること。 WENN.com
数年前、クリエイターのジェフ・イースティンにインタビューした際、「モジーが元々のアイデアから最も豹変したキャラ」と明かしたことが印象的でした。ニールの右腕と言っても過言ではないほど、本シリーズには不可欠な存在となったモジーも、最初は暗闇でうごめく得体の知れない根暗の情報屋として描かれていたと言うのです。ニールとモジーのやり取り、モジーとエリザベスの摩訶不思議な関係が、本作のハイライトだったと私は思います。
12月18日、遂にフィナーレ回が放送されました。ネタバレを避けるために、シリーズが如何に完結したかについては言及しませんが、イースティンの「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」ビジョンが貫かれ、男のロマンに満ち満ちた、ほろっとする「完」でした。
マット・ボマーが本作開始時に「知的な大人対賢い4歳児の決戦」とシリーズを定義したことを思えば、4歳児も大人になったものです。ニールの成長振りが明らかな、心に残る「完」でした。あっぱれ!こんなシリーズはもう二度と出て来ないでしょう。
ニールの成長振りを「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」風に演じ、ボマー自身の株も上がったに違いない。今後の活躍が楽しみな俳優だ。 WENN.com
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Bravo局初のオリジナル作「Girlfriends’ Guide to Divorce」はドラメディー
リアリティー番組で悪名高いBravo局が、オリジナル作品に初挑戦。本欄9月10日の「21世紀の結婚を考察する『Satisfaction』『The Affair』」で言及した「Girlfriends' Guide to Divorce」が、12月2日から放送されています。
左からフィービー役ボウ・ギャレット、アビー役リサ・エデルシュタイン、ジェイク役ポール・アデルスタイン、ライラ役ジャニーン・ガラファロー、シーズン1は13話制作予定。 Andrew Eccles/Bravo
作家アビー(リサ・エデルシュタイン)は、「Girlfriends' Guide to ….」シリーズ本で結婚や子育てを通じて女性啓蒙に務めるカリスマ主婦。新刊のサイン会で、ひた隠しにしていた夫ジェイク(ポール・アデルスタイン)との不仲を口にして、カリスマ主婦作家の地位から急落してしまいます。
話し相手は、子供の学校で知り合った‘離婚体験あり’ママ2人。エンタメ業界の弁護士ライラ(ジャニーン・ガラファロー)は、二人の息子を巡って元シェフの夫と「ローズ家の戦争」並の壮絶な争いの真っ最中。元モデルのフィービー(ボー・ギャレット)は、十二分に出る慰謝料で、暇を持て余している有閑マダム。アビーは、ライラとフィービーの離婚策略に乗って、とんでもない方向に走り出します。アラフォー女の再出発は、自分探しの旅、新たな冒険の始まりでもあります。
サイン会の応援に駆けつけたフィービー(左)、神経ぴりぴりのアビー(中央)にライラ(右)は鎮静剤を渡す。緊張がほぐれ過ぎて、アビーは夫との不仲をさらけ出しキャリアも家庭も絶体絶命の危機に。 Sergei Bachlakov/Bravo
同局の他の番組から、「スターター・ワイフ」風のおちゃらけコメディーを想像していた私は、内容の深刻さに驚きました。プレミア日を控えた11月21日、クリエイターのマルティ・ノクソンとアビー役のエデルシュタインにインタビューする機会があったので、ノクソンに尋ねました。「映画『ラブ・アクチュアリー』が大好きなので、シリアスとユーモアを巧みに調合したつもり。逸話によっても、重いものと軽いものとがあるし…」と答えました。エデルシュタインは、「ジョーク、ジョークで綴るシチュエーション・コメディーとは違って、悲劇の中から生まれるユーモアと言えば良いかしら?」と付け加えました。
離婚体験者にはジーンと来るのが、第2話の最後のシーン。もう二度と元の幸せな家族には戻れないと自覚したアビーとジェイクが、子供のために曲がりなりにも家族を‘演じ’ます。ライターチーム唯一の離婚体験者ノクソンは、「私の体験をあのシーンに盛り込んだので、気持ちが伝わったのは何より嬉しいわ!」と述べました。
ノクソンが自らの体験を注ぎ込んだ第2話最終シーン。左からジェイク、長女リリー、結婚に終止符を打ったものの幸せな家族を演じ続けるアビー、長男チャーリー。 Carole Segal/Bravo
アデルスタイン起用について尋ねました。「プライベート・プラクティス」以来の付き合いだと言うノクソンは、「元亭主ってとかく悪者扱いされるだけで、中味空っぽの軽薄人間として描かれがちだけど、アビーとジェイクは同い年で幼友達と言う設定。だから、アビーの背景になってしまったジェイクではなく、お互いに向き合った時に、こんな人間になったんだ!と再発見するほど、深みのある男なの。だから、役者としても、人間としても尊敬するポールを起用したの」と述べました.
アデルスタインが書き下ろした第4話は、夫婦として生きて行くことが如何に難しいか?を描いて放送作家としての実力を証明しました。今後の展開が楽しみな、学ぶことも多いシリーズです。バツイチが今更、離婚の策略を学んでも仕方ないので、既婚者、あるいはこれから結婚する方が、離婚しない方法を学ぶべきなのかも知れませんね?
フィービー(左)のお膳立てで、敏腕離婚弁護士デリア(ネカー・ザデガン)と顔を合わせるアビー。デリアは、離婚体験者の知恵を体現する。 Carole Segal/Bravo
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「ボーンズ」クリエイターの新作「Backstrom」は奥が深い!
1月7日から20日までの2週間、TCAプレスツアーが開催されました。冬のプレスツアーでは、春の新番組が紹介されますが、ほとんどの作品が3月から4月にかけての放送のため、入手した情報は保存しておくことになります。
TCAプレスツアーや春の新番組は次回から随時レポートしますが、初回はFoxの新作で1月22日から放送されている「Backstrom」をご紹介したいと思います。スエーデンのレイフ・G・W・パーソン著書「The Backstrom」シリーズ本を元に、「ボーンズー骨は語るー」のクリエイター、ハート・ハンソンが創作した犯罪捜査ドラマです。原作は公私とも駄目男として描いていますが、ハンソンは「完全な駄目男では、救いようがないし、視聴者が付いてこない。ドラマのエンジンになるキャラは、何かに長ける分、社交性に欠ける『変人』が一番!」と語りました。
【動画】新作ドラマ「Backstrom」トレーラー
ポートランド市警察特別犯罪部を率いるバックストロム警部補(レイン・ウィルソン)は、刑事コロンボのように、なり振り構わず仕事一筋ですが、ルール違反や罵詈雑言は日常茶飯事。ハウス医師(「HOUSE」)のように自暴自棄で、暴飲暴食、不摂生がたたり一触即発の毎日です。人種差別的発言をしたと交通整理に格下げされた屈辱や容疑者を射殺した罪の意識を胸に秘め、職場復帰を承認する医師が「話し相手」を処方するほどの一匹狼です。
「50近い冴えないおっさんとしては、この役を逃す手はない!と焦ったよ」と、ウィルソンはバックストロムを射止めた経緯を語った。更に、「部下と一緒にバックストロムの心中を探って欲しい」と、ハンソンの作品の深い味わいを指摘。 WENN.com
取り巻きは、バックストロムを持て余す“お嬢ちゃん”刑事グレイヴリー(ジェネヴィエーヴ・エンジェルソン)、パートで牧師を務めるアーモンド刑事(デニス・ヘイスバート)、鑑識官でバックストロムの唯一の味方ニーダーマイヤー巡査部長(クリストファー・ポラハ)、腕力と追跡力を買われたモト警官(ペイジ・ケネディー)、サポートスタッフのナディア(ベアトリス・ローゼン)の5人です。バックストロムの自宅のデコレーターと称して住み着いたグレゴリー(トーマス・デッカー)も、ユニークな’コネ’を利用して捜査に協力します。
カトリック信者の父とバプテストの母に育てられたヘイスバートは、アーモンド刑事/牧師を「美味しい、ユニークな役!」と指摘する。更に、近々6度目のイラク/アフガニスタン慰問に出かけるヘイスバートは、「これまでと同様、今回のキャラにも、軍人としての過去を盛り込んだ」と述べた。 WENN.com
パイロットを送って来なかったので、前評判だけでパネルインタビューに臨みましたが、
1)ハンソンが創作したこと
2)取り巻きに良い役者が揃っていること
3)「HOUSE」刑事版のような複雑な主人公
の3点が気に入りました。
パネルインタビューでの発言だけ聞いて、どれ程嫌な奴なんだろう?と覚悟してパイロットを観ましたが、バックストロムをコントロールしようと必死になる“お嬢ちゃん”刑事グレイヴリーの方がずっと癇に障りました。そして、2話、3話と観るうちに、バックストロムの人間嫌い、自暴自棄、暴飲暴食、不摂生の理由が少しずつ判明し、傷ついた人間の哀しさが巧妙に描かれた久々の人間ドラマにホロリとしました。
“お嬢ちゃん”刑事グレイヴリーに抜擢されたエンジェルソンは、「頭に来る破廉恥な上司だけど、仕事はできるから、許せちゃう!」とバックストロムに言及した。俳優学校を出て、2年も経たないうちに、「House of Lies」で破廉恥なビジネスコンサルタントに揉まれ、今回は破廉恥な警部補に直面するエンジェルソンだ。 WENN.com
ポラハは、以前CW局の「Life Unexpected」に出演していた時に、インタビューをしたことがあります。その後、同局の「Ringer」で何度か顔を合わせていますが、芯から誠実で謙虚な人なので、どの作品に出ても必ず応援します。人となりに触れて、是非大成功を収めて欲しい!と陰ながら応援している役者の一人なのです。バックストロムとのやりとりが面白いし、ニーダーマイヤーの心理分析が的を得ていて、それが言いたかった!と痒い所に手が届く点も大いに気に入っています。
ニーダーマイヤー巡査部長役のポラハも、「ハートの脚本に惚れた!」と語った。鑑識オタクではあるが、バックストロムを刑事として尊敬すると同時に、職場仲間にバックストロムを理解してもらおうと心理分析する、スポークスマン的存在を好演している。 WENN.com
但し、激戦区の木曜日、1月22日のパイロットはある程度視聴率がとれましたが、2週目には「スキャンダル」後半が再開され、3週目には「ブラックリスト」が同時間枠に殴り込みをかけたため、苦戦しています。観るものが1本もない時間帯や曜日だってあるのに...Foxさんお願いしますよ!CBSからの拾い物とは言え、もう少し気を入れて編成、宣伝してください。昨今珍しい奥の深い人間ドラマ、13話で終わらせてしまうのは勿体無いと思いませんか?
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ミニシリーズ「The Slap」は面白い?
NBCが1月のプレスツアーで発表した春の新ドラマは「Allegiance」(米国に住むロシア人スパイ物語)「Odyssey」(国際的な陰謀に巻き込まれて行く兵士、企業弁護士、政治活動家のアクションドラマ)の2本ですが、いずれも今更?という印象を受けました。唯一、私の興味をそそったのが、2月12日から放送されている「The Slap」です。
「The Slap」は、オーストラリアで制作された同名のテレビ・シリーズとクリストス・チョルカスの小説「スラップ」(2008年)を元に、劇作家ジョン・ロビン・ベイツが書き下ろした8話で綴るミニシリーズです。まだ2話しか観ていないので、絶賛はできませんが、語り口やスタイルが維持されれば、ユニークなドラマになりそうです。今の所、評論は「昨今珍しい考えさせるドラマ」派と、「ナレーションも、キャラも何もかも鬱陶しい」派の真っ二つに分かれています。
【動画】「The Slap」トレーラー
NY市公務員ヘクター(ピーター・サースガード)の40歳の誕生日パーティー。妻アイーシャ(タンディ・ニュートン)が友達夫婦や仕事仲間20人余りを招いてパーティーを開きますが、ヘクターの両親(ギリシャ人)は何かにつけて茶々を入れてきます。従兄弟ヘンリー(ザカリー・クイント)が、裏庭でバットを振り回している危険極まりないヒューゴ(5歳)に手を上げて、パーティーは解散となります。ヘンリーの怒りが巻き起こした渦に、取り巻きが引き込まれて行き、友達の輪に思わぬ亀裂が入ります。第2話は、’戦士’として育てられたヘンリーが、繊細で気弱な長男に勝ち組になるコツを教える姿や、父子の相性を描きます。人種や世代による結婚、夫婦、子育てに対する考え方や価値観の違いを考察する、大人の鑑賞に堪えるドラマです。
ヘクター(サースガード・左)は、昇進できずに腐っており、心ここに在らずでパーティーに参加。アイーシャ(ニュートン)は、ヘクターの両親と折り合いが悪く、日々の生活に追われて、夫が17歳の子守コニーに惹かれていることさえ気づかない。 WENN.com
ヒューゴの親ゲーリー(トーマス・サドスキー)とロージー(メリッサ・ジョージ)は、自由を謳歌するヒッピーで、独りっ子は甘やかし放題、躾など野蛮人のすることと信じてやみません。裁判沙汰にならないように、アヌーク(ユマ・サーマン)に薦められ、ヘクターと共に謝罪にやって来たヘンリーですが、ロージーの罵倒に耐え切れずに大爆発して、事態は益々悪化してしまいます。
(左から)ヘンリー(クイント)は、血の気の多いギリシャ系アメリカ人。ゲーリー(サドスキー)と妻ロージー(ジョージ)は、最近ブロンクスに越してくる芸術家グループを代表。アヌーク(サーマン)は、若いツバメと遊んでいるテレビ番組プロデューサーで、アイーシャの友達。 WENN.com
原作もオーストラリアのテレビシリーズも全く別物として考えれば、「ブロンクスという町を舞台にしているからこそ面白い」と、サースガードが1月16日にパネルインタビューの席で指摘しました。ニューヨークのブロンクス区は、全米一の人種のるつぼなので、異なった価値観を持った人達が隣り合って生活しているからです。
他人の子に手を上げることは以ての外ですが、「70年代には、親がお尻を叩いてお仕置きをするなんて、日常茶飯事だったわ。時代が変われば、子育ても変わると言うことね」とコメントしたのはサーマンでした。一方、オーストラリア版でも同じ役を演じたジョージは、「NBCからお声がかかって、キャストの顔ぶれにウキウキしたわ。でも、同じ役を繰り返し演じていると言う感覚ではありません」と述べました。
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今度は「HOUSE」クリエイターの新作「Battle Creek」
2月16日に、プレツアーの第一回目として、既に放送が始まったハート・ハンソン(「ボーンズ」)の「Backstrom」をご紹介しましたが、今日は「HOUSE」を世に送り出したデビッド・ショアの新作「Battle Creek」をご紹介します。ハンソンとショアは、Foxで午後8時~10時枠を占拠したことがあり、2人共カナダ出身であることから、「Foxのカナダ曜日」と呼ばれたほどの、人気クリエイターです。
【動画】ドラマ「Battle Creek」トレーラー
ハンソンの「Backstrom」は、CBSが買ったにも関わらず、昨秋の新番組のラインアップに挙がらず、結局Foxが放送することになりました。奇しくも、ショアの新作「Battle Creek」は、3月1日よりCBSで開始されました。もしかしたら、犯罪局CBSが「Backstrom」と「Battle Creek」を天秤に掛け、「Backstrom」が押し出されたのでは?と勘繰ってしまうほど、類似した犯罪捜査ドラメディーなのです。
「Battle Creek」は12年ほど前に、「ブレイキング・バッド」クリエイターのヴィンス・ギリガンが性格、価値観、仕事ぶりなど、何もかも両極の2人を犯罪捜査の相棒にしたらどうなるか?と考えて、創作したドラメディーです。かれこれ、10年ほど前からCBSがシリーズにしたいと持ちかけていましたが、「ブレイキング・バッド」が完了して、ギリガンに心の余裕ができ、やっと実現した作品です。
ギリガンは、既にAMC局で「ブレイキング・バッド」のスピンオフ「Better Call Saul」に没頭しており、手直しや制作はショアに一任することになって、一件落着しました。「ブレイキング・バッド」と「HOUSE」は作柄もジャンルも全く違いますが、昨夏のプレツアーのパネルインタビューで、「感性がよく似てるんだ!」と声を揃え、ギリガンがショアなら任せても安心とバトンタッチしたことが明らかでした。
ミシガン州バトル・クリークは、人口5万のいわゆる中西部の町です。自動車の首都だったデトロイトが衰退し、その煽りを受けて犯罪は増加の一途をたどっていますが、市警察の予算は減る一方です。市警察のラス・アグニュー刑事(ディーン・ウィンタース)は、長年のデカ生活から、何もかも疑ってかかる性悪説派人間になってしまいました。仕事をしようにも、捜査に必要な人手も器具も、自ら捻出しなければならず、苦労の割には報われない叩き上げデカです。
ウィンタースは、「30 ROCK/サーティー・ロック」のダメ男デニス役が印象に残っているが、演技の幅は極めて広い。ラス役で登板するにあたって、「LAに越して来ることが、最大の挑戦だった」と述べたほどの生粋のNYっ子である。 WENN.com
そこへ鳴り物入りで登場するのが、モナコ育ちのミルトン・チェンバレンFBI捜査官(ジョシュ・デュアメル)です。貧相な警察署内に、ガラス張りのハイテクFBI駐在事務所を施工し、オーダーメイドの背広や靴を身にまとい、性善説を信じて止まない、貴公子のようなミルトが、まるで掃き溜めに鶴のように舞い降りたから堪りません。ミルトの英国紳士風の身なりや素振り、ハイテクを駆使する捜査班に目がくらみ、上司も部下もラスの言うことなど、どこ吹く風!と無視。
デュアメルは、「ラスベガス」のダニー役がまだ記憶に新しいほど、テレビ復帰は久々だ。モデルから俳優に転身しただけあって、いつもカッコ良い役が回って来るが、今回のミルト役を演じるにあたって、バトル・クリークに出向き、「地元警察とFBIの力関係を身を以て体験したことが功を奏した」と述べた。 WENN.com
ミルトのたっての所望で、コンビを組んで地元の事件を捜査する羽目になったラスですが、二人はいつまでも「陰」と「陽」の平行線を辿るのでしょうか?それとも、意外にもお互いを必要とする「二個一」だと認め合うようになるでしょうか?相棒になる経緯や展開が大いに楽しみです。4話あたりまでは、ミルトがFBIデトロイト支局から何故左遷されたか?を聞き出そうと必死になるラスの姿と、のらりくらりと交わすミルトが面白おかしく描かれています。
「中西部には根っからの善人がいっぱいいるから、『HOUSE』とは正反対の希望に満ちたドラマにした」とショアが語っています。「Backstrom」に引き続き、コメディーを盛り込んだ、軽いノリの「Battle Creek」は、雨上がりの虹のような作品と言えます。
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スキャンダル満載!英国王室一族を描く「The Royals」
1月15日、NBC系列ケーブル局が早朝からパネルインタビューを実施しました。NBCスポーツ部からスーパーボウルについて話を聞きながら、宴会場でお昼を頂戴し、プレスツアー会場に戻ってみると….何と入口には、英国王室の衛兵が立っていました。中に入ってみると、各席には「午後の紅茶」が用意されているではありませんか!午後1時30分から始まるE!局初のオリジナルドラマ「The Royals」の制作発表の雰囲気作りです。こんなおもてなしは初めて!と喜んでいると….
格式高いアフタヌーン・ティー一式が、テーブルに用意されていた。但し、ティーバッグもケーキ類も、毎日ホテルが提供しているものと同一で、がっかり。 (c) Meg Mimura
「The Royals」のキャストが、王室にふさわしい吹奏楽をバックに登場しました。エリザベス・ハーリーが王座に着くと、まだパイロットも観ていないと言うのに(シーズン1のプレミアは3月15日)、のっけから編成局長がシーズン2の確約を発表する物々しさです。初のオリジナルドラマへの意気込みと自信を感じました。小さな部屋に押し込まれて、秘密裡(?)に開催された感がある「MAD MEN マッドメン」の制作発表とは月とスッポンです。AMC局は自信がなかったのでしょうか?
国王より強いワンマン王妃ヘレナを演じるハーリー。元モデルだけあって、「邪悪な心をさりげなく衣装で表現した」と言うから、本作を観る楽しみが増えた。 (c) Paul Blandell/E!
クリエイターのマーク・シュワーンは「ある王室一族が見せる公の顔と、舞台裏の素顔のギャップを見せたかった」と言います。愛憎と欲望が渦巻く、スキャンダル好きには堪らないメロドラマです。
サイモン国王(ヴィンセント・レーガン)とヘレナ王妃(ハーリー)の悩みの種は、箸にも棒にもかからないリアム王子(ウィリアム・モーズリー)とプレイガール/アルコール&薬物依存性のエレノア王女(アレクザンドラ・パーク)。世継ぎのロバート王子を亡くし、突然、リアム王子にお鉢が回ってきて、金と暇に任せた遊び人生活を諦めなければなりませんが、国王は王室の存在自体を疑い始めています。
エレノア王女(パーク)とリアム王子(モーズリー)は、世継ぎの責任感がないので、毎晩ご乱行が絶えない。モーズリーは、「反逆児ハリー王子に、王座が回ってきたら?と想像して、役作りしました」と明かした。 (c) Stuart Wilson/E!
ヘレナ王妃は、手段を選ばず王室を守り、維持して行くと頑なに決めています。油断は禁物!国王の弟サイラス(ジェイク・マスコール)を初め、王座を虎視眈々と狙っている人間は山ほどいます。果たして、目に余る乱行が毎日のようにゴシップ誌を飾るリアムとエレノアは、王室に相応しい後継者の道を歩み始めるのでしょうか?
ロバート王子の葬儀に向かう、(左奥から)サイラスの娘マリベル王女(ハティー・プレストン)、国王の弟サイラス(マスコール)、サイラスの娘ペネロペ王女(リディア・ローズ・ビューリー)、サイモン国王(レーガン)、ヘレナ王妃(ハーリー)、エレノア王女(パーク)、リアム王子(モーズリー)。
(c) Paul Blundell 2013
ハーリーは、「ヘレナは王妃だけど、権力の濫用も厭わない、したたかな王妃よ!エリザベス女王とは何の関係もないことだけは、今から言っておくわね(笑)」と牽制します。何でも、「故ダイアナ王妃が生きていれば、こんな風になったかな?と想像した」とか。更に、ハーリーは「百一匹わんちゃん」の悪役キャラ、クルエラ・デヴィル要素も取り入れたと明かしました。逆に、レーガンが演じるサイモンは、長男を亡くし、21世紀に王室を存続するべきかどうかを熟慮する、当たりの柔らかい国王として描かれています。
王室の内幕を暴くメロドラマは、平民には’他人事’なので、十分楽しめます。
【動画】 ドラマ「The Royals」トレーラー
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「12モンキーズ」ヒロインがアマンダ・シュルだから目が離せない
日本でも、3月6日からHuluが配信を開始した「12モンキーズ」は、テレビシリーズです。テリー・ギリアム監督、ブルース・ウィリスとマデリーン・ストー主演の映画が公開されたのは今から20年前!テレビ化の企画は、映画公開直後からあったと言いますから、ギリアム監督カルトの存在は明らかです。熱狂的なファンだと明言するテリー・マタラスとトラヴィス・フィケットが、SyFy局が開催したパネルインタビューで、20年に渡る「12モンキーズ」テレビ化企画の紆余曲折を語りました。
米SyFy局では、本年1月から放送開始された「12モンキーズ」。日本ではHuluで3月6日から配信されている。 (C)2015 NBCUniversal All Rights Reserved.
但し、開口一番「映画のリメイクに非ず」と牽制し、「キャラもルールも、何もかも完全に造り替えた」と発表したのは脚本を担当するマタラスです。元々、マタラスとフィケットが書いた第二次世界大戦を回避するためにタイムトラベラーが世界を股にかけて奔走するSFスリラーが、映画プロデューサーの一人リチャード・サックルの目に止まり、2人が書いたユニークな要素をそのまま残して「12モンキーズ」をテレビ化したいと持ちかけました。SyFy局がテレビ化を発表してから、今年1月16日のプレミアまで、何と1年半の月日が流れました。
人類が滅亡の危機に瀕する2043年から、壊滅を迎えた原因を根絶しようと2012年にタイムスリップしたコール(アーロン・スタンフォード。映画では、ウィリスが演じた役)と、事の始まりと推測される過去を生きたウィルス病学者ライリー博士(アマンダ・シュル。映画では、ストー)が、12モンキーズと呼ばれる謎の組織を探る、タイムトラベル、SFスリラーです。ブラッド・ピットが演じたゴインズ役は、本シリーズでは女優エミリー・ハンプシャーが演じています。
【動画】 「12モンキーズ」予告編
ご存知のように、私はSFモノが大の苦手。食わず嫌いでは、評論家の仕事が務まらないので、SyFy局から送られてきた「12モンキーズ」のパイロットを、昨夏、恐る恐る観ました。映画を観ていない私は内容も知らず、ロゴの猿が不気味なことも相まって、暗くて怖~い、血みどろSFモノを想像していたのですが...のっけから大好きな役者シュルが登場し、暗がりに一輪の白いバラのように画面がパッと明るくなり、どんどん引き込まれて行きました。
今年1月のプレスツアーで、女優になった経緯を尋ねました。元々、24年掛けてバレエを極めたシュルですが、「違う世界に挑戦してみたい!と選んだのが役者の道だったの」と、26歳当時の一大転機を語ります。サンフランシスコ・バレエ団に別れを告げて、ペット犬を連れて越した先がLAの超狭いアパートだったとか。「勿論、演劇学校に通ったわ!それほど、ナイーブじゃないもの」と、笑います。ほんの2年で、テレビのCFや「コールド・ケース」「ワン・ツリー・ヒル」「プリティー・リトル・ライヤーズ」などにゲスト出演できるようになったのは、主役ダンサーを務められるほどの苦行を積んだ、目標に向かってまっしぐら!経験が功を奏したからに違いありません。
元婚約者から狂人扱いされても信念を貫き通す、行動派の才色兼備ライリー博士を演じるシュル。バレエで鍛えた身心だけでなく、純粋培養環境を飛び出す勇気と冒険心をライリー博士で体現する。 WENN.com
「スーツ」のカトリーナ・ベネット役が、最も私の印象に残っていますが、バレエの道を極めた根性が役作りに生かされていたように思います。金髪の才色兼備が登場するとシーンが一際明るくなるのは当然ですが、シュルの演技には芯の強さを感じます。
同局が3年前に放送を開始した「Continuum」を観た時も、2077年から誤って2012年にタイムスリップしてしまい、未来に戻りたくても戻れないキラ・キャメロン刑事(レイチェル・ニコルズ)にすっかり惚れ込んでしまいました。主人公キャラに魅力があれば、苦手なジャンルものでも「観たい!」と思うもの!と言うお話でした。
コール(アーロン・スタンフォード)とライリー博士(シュル)が人類の危機を予防しようと奔走するSFアドベンチャー・スリラー。シーズン1のフィナーレ回放送(4月10日)を前に、3月12日SyFy局がシーズン2継続を発表した。 (C)2015 NBCUniversal All Rights Reserved.
■ 放送情報
「12モンキーズ」テレビシリーズ
Huluにて 3月6日(金)より第一話配信スタート
以降、毎週金曜日 1話ずつ配信予定
http://hulu-japan.jp/12monkeys/
©2015 NBCUniversal All Rights Reserved.
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エリック・メビウス、ジェイソン・ドーリングに再会!
去る1月8日、プレスツアーの一環として、Crown Media Familyの晩餐会がパサデナ・トーナメント・ハウスで開催されました。テーマは「Richness of Romance」で、Hallmark ChannelとHallmark Movies & Mysteries局の2015年の作品を紹介するイベントです。ロマンスがテーマとあって、今回は宴会場、メニュー、手土産にも、全てピンクのバラがあしらわれています。
晩餐会の各テーブルの中央を飾るピンクのバラ。持って帰りたいほど、綺麗だった。 (c) Meg Mimura
宴会場は仮設テントの中に設置されているが、シャンデリアをふんだんに使って、豪華な雰囲気を醸し出している。 (c) Meg Mimura
宴会場が余りにも美しいので、写真を撮っていると、「ヴェロニカ・マーズ」でローガンを演じたジェイソン・ドーリングに鉢合わせしました。最近、映画「ヴェロニカ・マーズ」を観たばかりで、海軍士官の制服姿が脳裏に焼き付いていたので、思わずその話に。通常、テレビシリーズから映画になると、水増し感があってがっかり!ですが、この映画はなかなか良くできていて、次作の話があるのかどうか聞いてしまいました。クリエイターのロブ・トーマスがCWの新作「iZombie」で忙しいので、当分お預けだそうです。
「ヴェロニカ・マーズ」でローガンを演じたドーリング。「初めて会ったのはいつだっけ?」の会話から、映画や最新作まで話題は尽きない。 WENN.com
ドーリングのHallmark Channelの新作は「Heart of the Matter」ですが、放送日は今の所未定。他には?と尋ねたところ、Foxの春の新番組「The Messengers」の2~4話に出ていることが判明しました。パイロットは観ましたが、余りにもスローテンポで、しかも西洋文明が信じて止まない黙示録なので、続けて観る必要はないと判断したばかりでした。ドーリングがどのような役なのかは不明ですが、少なくとも4話までは観てみよう!と思います。
メニュー(左)もバラで、ピンクのグラデーションが美しい。手土産は黒い箱入りのチョコレートだったが、バラをあしらったカードが付いていた。お見事! (c) Meg Mimura
この2局は、昔ながらのテレビ映画作りに専念しており、近年ディズニーABCがかなぐり捨てた家族全員が楽しめる健全な作品を放送しています。最近では、Hallmark Channelが毎週放送するテレビシリーズにも力を入れており、アンディー・マクダウエル主演の「Cedar Cove」に引き続き、キャサリン・ベル主演の「The Good Witch」(本年2月28日プレミア)も好評です。
また、昨年7月8日の豪邸で開催された真夏のクリスマス晩餐会に姿を現さなかった、私のお気に入りドラマ「Signed, Sealed, Delivered」チームも、今回は出席しました。2014年7月22日のブログで、エリック・メビウスの新作としてご紹介したこのドラマは、郵便探偵局員4人が配達不可の郵便物の受取人を探し当てる、心温まる物語です。郵便が届かなかったために、生まれる人間ドラマが繰り広げられ、特にお涙頂戴悲劇が私の好みです。
「アグリーベティ」以来、温和な人柄に触れて、いつも応援しているメビウス。最近、地上波局の作品で見かけないので、「Signed, Sealed, Delivered」は大歓迎!この日も、メビウスの二人の幼い息子の話が尽きなかった。 WENN.com
久々に再会したメビウスは、カナダで撮影している同作が大いにお気に入りの様子で、どの逸話に最も感動したとか、オリバー・オツール役について熱く語ってくれました。オリバーは、「アグリーベティ」の遊び人ダニエルとは正反対で、オタク色が濃く、四角四面の官僚です。
そんなオリバーに密かに惹かれているのが、クリスティン・ブースが演じるシェーン・マッキナーニーです。二人のロマンスは?とブースに尋ねましたが、シーズン1最終話でオリバーの別れた奥さんホリーに連絡するよう勧めるのがシェーンの役所。本年6月に放送予定の「Signed, Sealed, Delivered from Paris with Love」(仮題)で、ホリー役にはポピー・モンゴメリーが登板、パリで再会する展開だと話してくれました。
黒い箱の中身は、番組タイトル入りのダークチョコレート!Crown Media Familyの細かい心遣いに、いつも感謝、感激、雨あられ。 (c) Meg Mimura
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国民的英雄コーチ・テイラーのTV復帰作「Bloodline」
暗~いドラマがお得意のNetflixが、3月20日新作「Bloodline」の配信を開始しました。「ダメージ」完了以来、ダニエル・ゼルマン、トッド・A・ケスラー、グレン・ケスラーが、いずれ作りたいと話し合ってきた、兄弟の役割や感情のもつれを描くドラマです。
【動画】「Bloodline」予告編
1月7日にTCAプレスツアーの制作発表会に登場したクリエイタートリオは、初っ端から「『ダメージ』とは全く違う家族ドラマ+スリラーだ」と強調しました。3話まで視聴しましたが、確かに従来の家族ドラマジャンルには収まらず、主人公ジョン・レイバーンの血縁のしがらみを描くスリラーと表現する方が相応しいのではないかと思いました。
左からトッド・A・ケスラー、ダニエル・ゼルマン、グレン・ケスラーのクリエイタートリオ。兄弟のしがらみを長年語り合った仲で、今回やっとドラマ化にこぎ着けた。グレンがアイデアだけで、カイル・チャンドラーに会いにテキサス州オースティンまで出向いた。 Marion Curtis/Star Pix for Netflix
フロリダキーズの名士ロバート・レイバーン(サム・シェパード)と妻サリー(シシー・スペイセク)は、ホテルやマリーナを経営して一大事業を築き上げましたが、一事が万事というわけではありません。一家の’面汚し’長男ダニー(ベン・メンデルソーン)が故郷を飛び出して以来、二男ジョン(カイル・チャンドラー)に一族の火消し役のお鉢が回って来た上、フロリダキーズ諸島を守る保安官の職責も担っています。三男ケヴィン(ノーバート・レオ・バッツ)は、船舶改修を片手間仕事にする遊び人、末っ子メグ(リンダ・カーデリーニ)は、ホテル経営にも関与する弁護士です。
保安官ジョン・レイバーン(チャンドラー)は、胡散臭いダニー(メンデルソーン)の行動に気が気でない。爆弾を抱えているような緊張感や暗い過去と地上の天国のような背景の対比が面白い。
Saeed Adejani (c) 2014 Netflix, Inc. All rights reserved.
親族が一同に集まるホテル設立45周年祝賀会に、ダニーが帰郷したことから、一族がひた隠しにする暗い過去が蒸し返され、更なる悲劇に発展して行く過程が描かれます。クリエイタートリオが「ダメージ」で使ったフラッシュフォワードが、本作でも用いられ、パイロットでダニーの死が示唆されています。
左から、メグの婚約者で保安官代理ディアスを演じるエンリケ・ムルシアーノ、ジョン役チャンドラー、ジョンの妻ダイアナ役のジャシンダ・バレット、ダニーの悪友エリック・オバノン役のジェイミー・マクシェーン。 Marion Curtis for Netflix
「ダメージ」以降初のゼルマンとケスラー兄弟創作のシリーズである、「一気見」可能なNetflixで配信する点が話題になっていますが、何よりも注目されているのは、主人公ジョン・レイバーンを演じるのが、カイル・チャンドラーだと言う点です。2006年から11年まで「Friday Night Lights (以下FNLと省略)」で、理想のアメフト・コーチ/良夫賢父(私の造語です)エリック・テイラーを好演し、この国民的英雄キャラで、2011年エミー賞主演男優賞を受賞したチャンドラーが、同作完了後4年余りかけて厳選したキャラなのです。
日本ではほとんど無名に近いチャンドラーですが、古くはドラマ「弁護士ジャック・ターナー」の悪役、最近の映画では「キング・コング」「SUPER8/スーパーエイト」「アルゴ」「ウルフ・オブ・ウォールストリート」などの脇役で登場しています。チャンドラーの代表作「Homefront」(1991~93年)、「Early Edition」(1996~2000年)、「FNL」(2006年~11年)が、いずれも日本には配給されていない悲しい事実も認めなければなりません。私が初めてチャンドラーを目にしたのは「Early Edition」で、きっと役者チャンドラーの地=キャラに違いない!と思うほどの律儀で、生真面目な好青年振りを観て、即座に「死ぬまでに会いたい人」のリストにあげたほどです。
1月7日、TCAプレスツアーの制作発表会に登場したメンデルソーン(左)とチャンドラー。デビュー以来、実直を絵に描いたようなキャラを演じてきたチャンドラーは、「この作品に心魂を傾けた」と言います。四人兄姉の末っ子の私的体験を「Bloodline」に盛り込もうと、レイバーン兄妹のキャラ設定に積極的に参加するほどの気の入れよう。 Marion Curtis for Netflix
’我らが’コーチを演じ、「FNL」が秀作であったことも相まって、チャンドラーは米国では押しも押されもせぬスターにのし上がりました。しかし、「HOMELAND/ホームランド」「パーソン・オブ・インタレスト」「Longmire」など、テレビ復帰役としてオファーされた40男の役を全て蹴って、辿り着いたのが「Bloodline」なのです。
実直な役ばかりを演じるのは、役者として面白くないのは重々承知の上で、敢えて「汚れ役」を選んだ理由を尋ねたところ、「今だに、町で『コーチ、元気?』と声をかけられます。番組が終了して5年近くになるのに...そろそろイメチェンが必要かな?と思いました」と苦笑いのチャンドラー。
いつまでも、’永遠の好青年’を維持して欲しいチャンドラーも、今年9月で50歳を迎えるからでしょうか?「実直なキャラでも、これだ!と感じるものがあったら、引き受けていたと思いますが...」と必ずしも、コーチのイメージをぶち壊すのが動機ではなかったことをチャンドラーの口から聞いて、ほっと安堵しました。アンチヒーローが横行する昨今、善良なキャラを探すのは至難の技なのです。例えタイプキャストと非難を浴びても、いつまでも、’品行方正、実直キャラ’の箱に収まっていて欲しいと思うのですが....
しかし、クリエイタートリオの思惑は正に「国民的英雄コーチ・テイラーへの思い入れを逆手にとること」だったのです。シーズン1の頭では、コーチ同様の品行方正で、親孝行な二男として視聴者の目に映るジョンですが、ダニーと接している内に、次第に化けの皮が剥げて行きます。「翳りは、コーチ・テイラー/カイル・チャンドラーのファンへの挑戦!」と、グレン・ケスラーは手の内を明かしています。つまり、誰からも慕われる、尊敬されるお馴染みのキャラ=俳優が、心外な悪事を働いても、ファンはついて来るか?と言うことです。
クリエイタートリオの挑戦を受けて立ちましょう!ジョンは、根っからの卑劣な人間ではなく、環境と生い立ちが、救世主に仕立て上げてしまったからです。肉親、名声、秩序など、守らなければならないものが山とある人間の悲しい性が描かれている「Bloodline」は、「ダメージ」同様の秀作になりそうです。
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サットン・フォスターのTV復帰作は「Younger」
「Bunheads」(邦題:バレエ・ガールズ ~パラダイスへようこそ~)が冷酷に打ち切られて2年弱になりますが、ミシェルを好演し、テレビにも大勢のファンを作ったサットン・フォスターが、3月31日TV Land局の新コメディー「Younger」で復帰します。バンザーイと喜んだのは、私だけではありません。
左からジョシュ役ニコ・トートーレラ、ケルシー役ヒラリー・ダフ、(中央)ライザ役のサットン・フォスター、ダイアナ役ミリアム・ショア、マギー役デビー・マザー。 Photo Courtesy of TV Land
TV Land局は、全米の9千8百万世帯に、昔懐かしい古典番組(「ガンスモーク」「農園天国」「Murphy Brown」(邦題:TVキャスター マーフィー・ブラウン)「セックス・アンド・ザ・シティ」(以下「SATC」に省略)他)を放送してきましたが、ジェネレーションX(1961~81年生まれ)が視聴者ターゲットとなり、アラフォー向けの新作に力を入れる方針を発表しました。その第1作が、「Younger」と言う訳です。2010年から放送されたオリジナル番組「Hot in Cleveland」、11年の「Happily Divorced」、「The Exes」などのキャストと比べると、明らかに年齢が下がっています。
しっかり26歳に見えてしまうフォスターも、本年とって40歳!「SATC」の衣装も担当したパット・フィールド曰く、「衣装で若さを表現している訳ではなく、サットンの内から滲み出たもの」だとか。フォスターに秘訣を聞いてみたいものだ。 Photo Courtesy of TV Land
クリエイターは、「SATC」のダーレン・スターですが、舞台はマンハッタンではなく、今一番ホットなブルックリンです。ライザ(フォスター)は、アラフォーのバツイチママ。夫がギャンブルと不倫に走り、マイホームを抵当に入れたため、売りに出す羽目になります。しかも、高校生の娘はインドに留学していて、再就職しなければ食べて行くことができません。子育てに専念せざるを得なくなるまでは、バリバリのキャリアウーマンを自負していたので、15年振りに職場復帰を試みますが…第二の人生を歩き出さなければならないというのに、20代の面接官に「経験積み過ぎのおばさん」扱いされ、冷たい現実に直面するライザです。
親友マギー(マザー)に特訓を受けて、26歳のライザ(フォスター)が完成。14歳のギャップを埋める並々ならぬ努力が始まる。 Photo Courtesy of TV Land
たまたまバーで知り合った青年ジョシュ(トートーレラ)に同年輩と間違われたことに気を良くして、親友マギー(マザー)から26歳に戻る化粧、服装、知識など「鯖読み術」の特訓を受け、大手出版社のマーケティング部長ダイアナ・トラウト(ショア)のアシスタントとして再就職を果たします。
映画「プラダを着た悪魔」のアナ・ウィンター編集長を彷彿とさせるダイアナ(ショア)は、次々と入社して来るピチピチギャル勢をこき使う。ライザの「特別扱いなんか期待してません。子供じゃありませんから」宣言が気に入って、雇うことを即決したほど、ギャル達の特権階級意識にうんざりしている。
Photo Courtesy of TV Land
2年前にアシスタントとして雇われ、今や編集部員に出世したケルシー(ダフ)に助けられて、仕事に励むライザですが、母性本能を発揮する度にやばい事に...果たして、付焼刃はいつ剥げるのでしょうか?仕事も恋も、いつまでこんな綱渡り生活を続けられるのでしょう?
ケルシー(ダフ)は、一目でライザ(フォスター)を気に入って、あれこれアドバイスしてくれる職場の先輩。たった2歳鯖を読んでいるダイアナを嘲笑するライザとケルシーの会話があるが、人のこと言えた義理?と笑ってしまう。Photo Courtesy of TV Land
一つ気になるのは、「SUITS/スーツ」の似非弁護士マイク・ロスのように、秘密を抱えているキャラは、時限爆弾だと言う点です。ライザは歳をごまかしているだけと考えても、免許証を偽造する場面があるだけに、「歳だけ!」では済まない違法行為です。こんなお粗末な爆弾処理を目撃するために、5年余りハラハラしてきたの?と、「SUITS/スーツ」シーズン6に大いに失望した直後だけに、「Younger」も行き着く所は同じ?と懸念してしまいます。但し、コメディーだけに、ドラマより許される部分は多いのかも知れませんが…
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夢落ち?死に落ち?「マッドメン」完結間近
※この記事には「MAD MEN マッドメン」のネタバレが含まれます
2013年、シーズン7を以って「MAD MEN マッドメン」シリーズを完結すると発表がありました。2014年、4月13日からフィナーレ・シーズン前半7話が放送され、約1年後の去る4月5日、後半「The End of an Era」(=時代の終わり)が始まり、いよいよ佳境に入りました。「ブレイキング・バッド」の最終シーズン14話を2年に振り分けて、高視聴率を獲得したAMC局の二番煎じですが、私はエミー賞獲得のチャンスを二倍にする策略と読んでいます。あれだけ賞と言う賞を総なめにしてきた作品ですが、キャストが誰一人としてエミー賞を獲得していないので、「最後のチャンス!お願い、お願い!」の哀願が込められているように思います。
プレスツアー時に配られた、シリーズ最後の番宣品。フィナーレシーズンの副題「The End of an Era」が入ったコーヒーカップには、コーヒーとウィスキーのミニチュア瓶が入っていた。 (c) Meg Mimura
AMC局は、1月10日プレスツアーに、クリエイターのマシュー・ワイナー以下、オリジナル・キャスト6人(ジョン・ハム、ジョン・スラッテリー、ヴィンセント・カーシーザー、エリザベス・モス、ジャニュアリー・ジョーンズ、クリスティーナ・ヘンドリックス)を集めて、最後のパネルインタビューを開催しました。当然のことながら、どのような結末を迎えるかは、一切明かされず、しかも撮影は半年前に完了していて、キャストが顔を合わせるのは久し振りと言うこともあって、ハムが「キャストは仲が良い、良い!」と繰り返す割には、何ともぎこちないパネルインタビューでした。
ピート役のヴィンセント・カーシーザー。最初で最後の個別インタビューで、ピートはドンに悪者にされた犠牲者で、根は善良なキャラと私の解釈を述べたところ、「ピートの真の姿を読み取ってくれた視聴者は稀!」と大喜びだった。最終的には、長い物には巻かれろ!で、妻と別居し、愛人を囲うあの時代の典型的な男になってしまった。 WENN.com
3月末、ジョン・ハムは、アルコール依存治療施設に入院していたことを明かした。元々、ドンと同様の暗い過去を背負っているハムをワイナーが’見初め’て抜擢したことを考えると、長年「救いようのない卑劣な女たらし」を演じた故に、飲酒に走ったという言い訳はとってつけたようだ。広報の手では? WENN.com
次作についても、「スピンオフなど、考えたこともない」と言うワイナーに対して、ハムは「失業したから、カーディテイリングのアルバイトを始めたんだ。洗車から内装まで、とにかくピカピカにするよ。この後、ホテルに駐車している人でも引き受けるので、よろしく!」と、はぐらかします。これに応えて、寡黙なカーシーザーが「一緒に始める筈だったのに、独りで向かいに店を構えるんだもんな~。参ったよ」と茶々を入れます。
シーズン2までは、幸せを手に入れようと暗中模索する1960年代の広告マンを描く秀作!と絶賛し、声を大にして推薦していた私です。ところが、シーズン3に入って「マッドメン」の世界では、どのキャラも人間として成長しないこと、善良なキャラを次々と弾き飛ばす卑劣人間集団でしかないことに、嫌気が差し始めました。以降、酒と女遊びの合間に業界の「プリンス」振りを発揮していたドン(ハム)が、商才など欠片もないのに、広告代理店の吸収合併戦に巻き込まれ、自暴自棄になって行く過程が5シーズンも続いてきました。
嘘で固めた、見掛け倒しの生活は止まる所を知らず、タイトルバックのオープニング動画が示すように、ドン・ドレイパーは奈落の底へきりもみ降下して行きます。5月のフィナーレ回では、奈落の底を垣間見ることになるのでしょうか?
【動画】「マッドメン」タイトルバックのオープニング動画
「LOST」の死に落ちに憤慨する声は未だに健在で、笑い種にするマスコミは後を絶ちません。番組のジャンル上、「LOST」ほど謎解きをする必要も負担もない点を指摘した上で、ワイナーは「どんな終わり方をしても、視聴者全員に喜ばれることは先ずない。怒らせようとか、がっかりさせようとか、そんな悪意はない。唯、単にこれまで観たことのないドラマにしたいだけ!」と述べました。一方、パイロットとフィナーレ回を演出したスコット・ホーンバッカー監督/プロデューサーは、「物議を醸し出すことは間違いないが、ドンの生き様に相応しい締めくくり。満足感はある筈」と、意味深の発言をしています。
ハム(左)と、クリエイターのマシュー・ワイナー。自分のビジョンを最後まで貫き通した数少ない放送作家として、テレビ史に大きな足跡を残した。本作のDVDに録音されたワイナーのコメントは、正にドン・ドレイパーへのラブレターである。 WENN.com
昨年12月30日に掲載した記事「有終の美を飾った『ホワイトカラー』」にも書きましたが、シリーズの終わり方ほど難しいものはありません。4月5日に放送された第8話「Severance」は、夢なのか現実なのか不明のシーンが多々あり、夢落ちをほのめかしました。様々な憶測が飛び交っていますが、私が観たい結末は?いずれも、タイトルバックのオープニング動画からヒントを得ていますので、ドン・ドレイパーがきりもみ降下して行くところを想像してください。
第一案
無惨に見捨てたキャラの報復です。慕っていた異母兄ドンから手切れ金を渡されて、失意のあまり自殺したアダム・ホイットマン(ジェイ・ポールソン)か、首吊り自殺したレーン・プライス(ジャレッド・ハリス)財務責任者の「霊」に苛まれて、ドンが高層ビルから飛び降り自殺する最期。
シーズン5で、ドンに助けを求めたが、冷酷に切られたレーン・プライス(ジャレッド・ハリス)は、自ら命を絶つ。エミー賞助演男優賞を獲得できなかったのが、残念でならない。 WENN.com
第二案
女性視聴者に最も受けると思われるエンディングです。ドンの唯一の彼女(愛人や不倫相手ではなく)フェイ・ミラー博士(カーラ・ブオノ)の仕返しです。シーズン4で、公私共ドンが散々利用した挙げ句の果てに、若い秘書メーガン(ジェシカ・パレ)に乗り換えた、才色兼備のコンサルタントを覚えていらっしゃいますか?フェイの場合、父親のコネ(?)を利用して、自ら手を下すことなく、ドンを’消す’ことが可能です。
フェイ・ミラー博士(カーラ・ブオノ)は、誘惑されて捨てられた才色兼備の心理学博士。60年代には珍しい独立独歩の女性だが、父親が暗黒街のボスであることを、ドンは忘れたのか?フェイの間違いは、ドンの秘密を聞いてしまったことだ。 WENN.com
いずれも、「ドンの生き様に相応しい締めくくり」だと思いませんか?
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トム・マイソンに追いつけ、追い越せ!新星ジョー・ドイル
2015年も、トム・マイソン(「スリーピーホロウ」)に追いつけ、追い越せ!とばかりに、英国やアイルランドからニューフェースが続々と登場しています。1月のプレスツアーで紹介された作品に出演している数人の中から、今回は英国出身のジョー・ドイルをご紹介します。
1月7日、プレスツアーの初日に、ナショジオ局の特別番組「イエス・キリスト 磔刑の真相」(原題:「Killing Jesus」)の制作発表パネルインタビューに登場したジョー・ドイルが、総勢9人のキャストの中で、寡黙ながら最も輝いていました。この作品は、去る3月29日、復活祭に先駆けて、世界で放送されたと聞いていますが、ローマ皇帝ティベリウスやユダヤ属州のポンティウス・ピラトウス総督の地位を脅かす政治犯として処刑された史的イエスを描いたテレビ映画です。
私が会ったのは、星の王子様が大人になったような雰囲気の好青年だけに、ドイルが好んで演じる邪悪な暗〜いキャラに仰天。キャラ毎に変身する、将来が楽しみな役者だ。 Frederick M. Brown/Getty Images
ミッションスクールに通った私は、幼い頃からキリストの生涯を描いた映画をこれでもか!これでもか!と見せられ、その度に感想文を書かされました。いくら配役を代え、切り口を代えても、内容にそれ程大きな差がある訳ではなく、感想文の題材に困って「キリストを演じた役者の青い目が綺麗だった」と書いたら、その部分に朱筆で二重線が引かれていました。カトリック信者でもないのに、何をどう感じろと言うのだろう?と、子供心に納得の行かないもやもやを感じたことを今でも覚えています。以来、子供の素直な感想を押し殺すカトリック教育に反発し、大人になってからはこの手の映画は敬遠してきました。
パネルインタビュー後のパーティーの席で、ユダの裏切り行為はうろ覚えの私は、ドイルを質問攻めにしました。もっとも聞きたかったのは、裏切り者イスカリオテのユダを演じることに、抵抗はなかったのか?と言うことでした。「リサーチして、僕なりにユダという人間を解釈し、信仰心からナザレのイエスについて歩いている他の使徒とは違う、当時の社会事情や環境を読み取れる生身の人間として演じました」と、ドイルは説明。繊細で思慮深い印象だったドイルが、如何にユダを演じるのか、是非この目で確認しよう!と決めました。
裏切り者の代名詞とまでなったユダを演じたドイル。長年、この手の映画を敬遠していたからか、作品の切り口が新しいからか、新たな発見があり、ドイルの好演も印象的だった。 National Geographic Channels/Kent Eanes
「9歳で、父(アイルランド人俳優トニー・ドイル)の芝居を見て、変身ぶりに感動しました」と言うドイルの発言から、豹変振りの説明がつくと言うものです。とは言え、両親は放任主義だったらしく、「親は役者の辛さを知っているので、反対する訳でもなく、勧める訳でもなく….好きなように生きなさいと言われました」と語ります。
10歳でフランスに引っ越し、幼くして異文化体験をしたため、ロンドンに戻った時には、英国の学校教育に違和感を感じたそうです。17歳で父親を亡くし、高校を中途退学したドイルは、特に何かになろう!と決めていた訳ではなく、バイトしながら、音楽活動に力を入れました。ある日、演技の基礎がなくても良い端役を演じたことがきっかけとなり、25歳でエージェントに恵まれ、2007年初の英国テレビシリーズに出演し、芸能活動の第一歩を踏み出しました。
2014年、NYに拠点を移した直後、エージェントに勧められてユダ役に応募。テープを送って数日後には、皮肉なことにロンドンに呼び戻されてオーディションを受け、1週間後に登板が決まりました。「イエス・キリスト 磔刑の真相」は、モロッコで2ヶ月余りかけてロケ撮影し、現在はルイジアナ州シュリーブポートで、WGN局の「Salem」シーズン2に全力投球しています。
「Salem」シーズン2から登場する魔術師セバスチャン・マルバーグ男爵を演じるドイル。1日16時間ほど、暗〜い、怖〜い’マイナス汁’に漬かっているので、撮影が終わったらハワイにでも行って、心身とも清めてきて!とお願いしてしまった。 WGN America
俳優しかない!と確信して生きてきた訳ではないので、「高校中退したのはまずかったかな?って時々思います」とドイルは告白します。ユダ役を見事にこなし、「Salem」ではドイツから新大陸に乗り込んで来た、魔術師セバスチャン・マルバーグ男爵を演じています。シーズン2に初登場のキャラなので、まだ映像を観たことはありませんが、「今回も悪役なので、今後ずーっと悪役しか回って来ないかも?」とドイルは笑います。
テレビや映画を観て育ったと言うので、特にお気に入りがありますか?と尋ねると、何と「シャイニング」や「バットマン」など、次々と挙がるホラー映画や暗〜い映画の数々。その上、最近観たテレビ番組の中で「ハウス・オブ・カード 野望の階段」が好きだとか….本当に、暗いのが好きなんですね?
幼い頃に目撃した父親の’変身’の醍醐味を満喫しているように見受けました。私の好きなジャンルではないので、次は両目を開けて楽しめるコメディーに出演して欲しいものです。
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「ナース・ジャッキー」も完了。有終の美を飾れるか?
「MAD MEN マッドメン」が秒読みを開始した1週間後の4月12日に「ナース・ジャッキー」最終シーズンが始まりました。奇しくも、「ナース・ジャッキー」も7シーズンで完結します。
同時期に7シーズンで完結する「ナース・ジャッキー」(左)と「マッドメン」の番宣カップ。いずれも番組最後の記念品である。「ナース・ジャッキー」カップの中には、処方薬に見せかけたミントが入っていた。 (c) Meg Mimura
Showtime局のコメディ枠に入っているため、ジャッキーを演じるイーディ・ファルコも、ジャッキーに憧れるちょっとイカれた看護婦ゾーイ役のメリット・ウェバーもエミー賞のコメディ主演、助演女優賞を獲得しましたが、私は決してコメディだとは思いません。処方薬依存症は、どの角度から見ても、いかに軽いタッチで書いても、笑い事ではないからです。周囲に個性的なキャラを配置して、時々笑わせてくれるし、ジャッキーの反骨精神から出る発言や行動に失笑することもありますが、ジャッキーの依存症が波紋となって周囲に広がって行く過程と被害をシビアに描く人間ドラマです。
ジャッキー役イーディ・ファルコ(左)は、「これまで演じたキャラの中で、もっとも力の入った役」と言う。ゾーイ役メリット・ウェバーは、キャラのイメージと実物は必ずしも一致しないと証明。 WENN.com
御多分に洩れず、秀作を如何に完結するか?誰もが見守っている筈ですが. . .実は、Showtime局が最終シーズンの10話を既に届けてくれたので、一気に最終話まで観てしまったので、ネタバレどころか、一部始終をお知らせすることは可能なのですが. . .それではファンに申し訳ないので、得点で出来具合を評価します。
近年、私が満足度10点を付けたのは、「Friday Night Lights」です。日本では放送されていない作品なので、どこがどう良かったのか述べても無意味ですが、主人公が大きく変わったことが感動的でした。9点は「デスパレートな妻たち」でしょうか?これは日本でも放送された筈ですから、崖っぷちの妻たちの明るい将来を垣間見ることができ、希望に満ち満ちた感動的なエンディングを目撃した方も多いのではないでしょうか?そして、何度も言うようですが、昨年12月に有終の美を飾った「ホワイトカラー」と、2012年12月に5シーズンで潔く完結した「レバレッジ ~詐欺師たちの流儀」の2作にも9点を付けます。
逆に最もがっかり、こんな結末なら観ても観なくても同じだった!と全米のファンを怒らせたのが、ご存知「LOST」で、私は0点と評価しました。1点は、妻の死をきっかけに強迫性障害に苛まれ、それでも殺人事件を見事に解決する「名探偵モンク」の如何にも安っぽい、お涙頂戴の終わり方です。8シーズン、ずっと面白いミステリー解決ドラマだっただけに、あの終結はどう考えても時間切れの’付け焼刃’感があります。何の因果か、「ナース・ジャッキー」最終シーズン後半に、モンクを演じたトニー・シャルーブが出演していて、ジャッキーの反骨精神の火に油を注ぐバーナード・プリンス医師役を好演しています。
バーナード・プリンス医師役で、トニー・シャルーブは数話に出演。個人的な理由から、ジャッキーの反骨精神の火に油を注ぐ役所だった。 WENN.com
よく考えてみると、今春相次いで完結する「マッドメン」のドン・ドレイパーと、「ナース・ジャッキー」のジャッキーは、時代や依存の対象こそ違え、同様の虚偽で塗り固めたジャンキー(常習者)です。唯一の救いは、ドンが才能を発揮するのが、広告業界=虚偽の世界なら、看護婦ジャッキーの生き甲斐は人助けだと言う点です。自尊心を煽るために金や名声を追いかけるドンと異なり、ジャッキーは底辺で人助けに躍起になるロビン・フッドなのです。だから、ジャンキーでも、白々と手の込んだ嘘をつき続けても、転ぶ度に立ちあがれ!と応援してしまいます。ジャッキーの代償は、家族や救いの手を差し伸べる友達や職場の仲間を顧みないため、友達の輪がどんどん縮小して行くことです。
「マッドメン」のドン(ハム)も、「ナース・ジャッキー」のジャッキー(ファルコ)も、救いようのないジャンキー。但し、ジャッキーは人助けの血が脈々と流れていて、自堕落で自暴自棄のドンとは大違いだ。果たして、ドンの行く末は? WENN.com
エンディングの第一印象は、「えっ!あれで終わり?」でした。でも、ジャンキーならではの妥当な終わり方と言えますし、ジャッキーの人生を垣間見て、依存症を見る目が変わったので、私は8点と評価しました。
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新作「Happyish」は、期待外れも良いところ
Showtime局のデビッド・ニヴェン編成局長が、新作「Happyish」のトレーラーを紹介したのは、2014年1月のTCAプレスツアーでした。NYの広告代理店でクリエイティブ・ディレクターを務めるトム・ペインが、幸せとは何か?を探るブラックユーモア劇です。設定が設定だけに、「マッドメン」のコメディ版?と思ったのですが、フィリップ・シーモア・ホフマンが冴えないアラフォー男を演じるトレーラーは、プレスツアーの話題となりました。
「Happyish」は、オスカー受賞名優フィリップ・シーモア・ホフマンのTVデビュー作となる筈だった。クリエイターの著書「Hope: A Tragedy」の映像権を密かに買うほど、アウスランダーの世界が好きだったホフマン。パイロットの撮影現場にいた制作陣は、意外にもホフマンのパイロットは「超根暗だった」と告白している。 WENN.com
シャローム・アウスランダーが創作した本作は、自叙伝以外の何物でもありません。広告代理店でクリエイティブ・ディレクターを務める傍ら、アラフォーを年寄り扱いし、何の価値もないと見下す若者=デジタル志向の職場に嫌気が差して、執筆業に没頭していたと言いますから、正にトム・ペイン=アウスランダーです。
ご承知のように、この作品でテレビシリーズ・デビューを果たす筈だったホフマンの急逝が報道されたのは、2月2日でした。パイロットを撮影した直後だっただけに、2011年からShowtime局が温めてきた「Happyish」はお先真っ暗!と思ったのですが、14年夏にトム役のオーディションが再開されたと言う吉報が入って来ました。何でも、白羽の矢が立ったのは、スティーブ・カレル、ウィル・ファレル、エド・ノートン、ウッディー・ハレルソン、ケヴィン・クラインなど、錚々たる顔ぶれだったとか。
そして、今月26日、漸く「Happyish」のプレミアとなりました。トム役を射止めたのは、英国人俳優スティーヴ・クーガン(50歳)で、英国から移住してきたと言う設定。妻リー役のキャスリン・ハーン(「女検死医 ジョーダン」のリリー役)以外は、助演も撮影班も全て総入れ替えしたと言います。
スティーヴ・クーガンは、切ったり削ったりして、トムを「自分なりに解釈した」と言う。’代役’のレッテルを避けようと、「ホフマンのパイロットは本シリーズが完結するまで観ない!」と宣言し、新しい作品として取り組んだ。 WENN.com
キャスリン・ハーン(リー・ペイン役)は、「クーガンが登板して、本読みの初回が一番辛かった」と語る。ハーンの場合、ホフマンとクーガンが重なって、耐え難いのでは? WENN.com
「パイロットだけなら、諦めたかも知れないが、2話以降5本の脚本が完了していて、すっかりハマってしまった」と言うのは、ニヴェン編成局長です。4月26日の放送開始を前に、3話まで観ましたが、Showtime局がコメディ・ジャンルに押し込んだ「シェイムレス 俺たちに恥はない」と同様、どう逆立ちしてもコメディとは言えません。前回書いた「ナース・ジャッキー」や「キャシーのbig C」のような、主人公に感情移入して応援したくなる作品ではありません。デジタル世代に物申す場面のみ、そうだ!そうだ!と同感できますが、とにかくトムの公私は暗~い、夢も希望もありません。幸せの天井が低いトムは、Happyish(幸せっぽい)で我慢するしかないのでしょうか?私は、「幸せは選ぶもの」派人間なので、毎週この手の暗~いシリーズは遠慮します。
【動画】ドラマ「HAPPYish」トレーラー映像
ホフマン版「Happyish」より、クーガン版の方が明る目って....!?
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2015年3~4月に開催されたエミー賞根回しイベント
3月12日の「Empire 成功の代償」を皮切りに、今年もエミー賞根回しイベントの真っ最中です。通常この手のイベントを開催するATAS(テレビ芸術科学アカデミー)レナード・H・ゴールデンソン劇場が昨年8月以降改築中です。従って、2015年度のエミー賞根回しイベント会場は主催者側が決めるため、バーバンクからサンタモニカ、果てはLAのダウンタウンからカルバーシティーに散らばっていて、夕方のラッシュアワーを考えると、つい億劫になってパスしてしまいます。
【3月のスケジュール】
3月12日「Empire 成功の代償」
3月26日 「Better Call Saul」(「ブレイキング・バッド」のスピンオフ)
今年の根回しイベントの皮切りは、日本でも放送されている好調の「Empire 成功の代償」だった。根回しイベントが始まった2012年に比べると、招待状はハガキからメールに移行している。コピーしてここに貼り付けるのには、手間が省けて有難い。
【4月のスケジュール】
4月6日「Conan in Cuba」(トーク番組)
我が家から最短距離のワーナー撮影所内の劇場で開催された「Conan in Cuba」の根回しイベント。トーク番組の司会者コナン・オブライエンが、最近、米国と国交正常化に向かっているキューバでの異文化体験を綴るドキュメンタリー。どのカテゴリーに入るのだろう? (c) Meg Mimura
4月8日「Derek」(リッキー・ジャーヴェイス主演のNetflixコメディ)
4月13日「JUSTIFIED 俺の正義」
4月16日「Parenthood」(ロン・ハワード監督の映画「バックマン家の人々」21世紀版。視聴率低迷ながら、NBCで6シーズン(103話)を放送。イベントでは1月29日放送済みの最終話を観賞後、パネルインタビューが実施された。)
上段左からクリエイターのジェイソン・ケイティムズ、ピーター・クラウス、ローレン・グレアム、下段左からタイリー・ブラウン、マックス・バークホルダー、クレイグ・T・ネルソン (c) Meg Mimura
上段左からメイ・ホイットマン、エリカ・クリステンセン、サム・ジェーガー、下段左からボニー・バデリア、サヴァンナ・ペイジ・レイ、ショロ・マリデュエナ (c) Meg Mimura
4月17日「Black-ish」(昨秋始まったABCのコメディ)
4月20日「ウォーキング・デッド」
スピンオフの話で持ちきりだった「ウォーキング・デッド」のパネルインタビュー。もう1回だけ、エミー賞受賞のチャンスがある。
4月21日「Girlfriends' Guide to Divorce」
ユニバーサル・スタジオで開催されたBravo局の「Girlfriends' Guide to Divorce」。まだ夏休みに入っていないからか、テーマパークは比較的空いていた。 (c) Meg Mimura
上段左からデリア役ネカー・ザデガン、ジョー役アラナ・ユーバック、下段左からアビー役リサ・エデルシュタイン、クリエイターのマーティ・ノクソン。ノクソンは、「マッドメン」の脚本を書いた経験があり、6月からLifetime局で「UnReal」と題した風刺コメディが始まる売れっ子放送作家。 (c) Meg Mimura
上段フィービー役のボー・ギャレット、下段ジェイク役ポール・アデルスタイン。アデルスタインは、第4話を書き下ろし、放送作家としても実力を発揮。幸せな結婚生活を送っているアデルスタインに秘訣を尋ねたところ、「男女関係の破綻はどれも似たり寄ったり!」との答え。うーむ、そうかなぁ? (c) Meg Mimura
パネルインタビュー後の立食パーティーは、ミニオン・メイハムの館(昨年4月に設置された人気のライド)の真ん前、劇場の入り口で行われた。キャストは最後まで付き合ってくれて、番組への好感度をアップ! (c) Meg Mimura
4月23日「Operation Change」(ドキュメンタリー)
4月26日「The Book of Negroes」(TV映画)
4月27日「ハウス・オブ・カード 野望の階段」
番組自体は病み付きになるほど面白いとは思うが、キャストに会うのは怖い感じがする。私はこの日は見送ったが、参加した友人曰く「でっかい警備員が取り巻いていて、誰にも近づけなかった」とか。それでは根回しイベントを開催する意味がない!?
4月29日「Mom」(「ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則」クリエイターの最新コメディ。2013年秋からはじまった本作は、5月4日にシーズン2を完了。)
主人公クリスティーを演じるのは、可愛くて面白いアンナ・ファリス。生い立ちも大人になってからの選択も間違いだらけのクリスティーが、バツイチママとしてどう生き延びるかが描かれている。時々ながら、良いことが起こって、人生まんざら捨てたものではない!と思わせるところが良い。 (c) Meg Mimura
共演のレジーナ役オクタヴィア・スペンサー(左)と、クリスティーの最悪の母親ボニーを演じるアリソン・ジャニー。ジャニーは、「これほど、私と正反対の役を演じるのは初めて!」と言う。受動的攻撃性人格はお手の物では? (c) Meg Mimura
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2015年5月のエミー賞根回しイベント
2015年5月には、下記の根回しイベントが開催されました。
【5月スケジュール】
5月1日「スキャンダル」
ABCから送られてきたイベントへの招待状。
この日、パネルインタビューにはキャスト10人が参加し、クリエイターのションダ・ライムズは幸い(?)不参加でした。バンザーイ。
ケリー・ワシントン(オリヴィア役)
トニー・ゴールドウィン(フィッツ)
ギレルモ・ディアス(ハック)
ダービー・スタンチフィールド(アビー)
ケイティ・ロウズ(クイン)
ジェフ・ペリー(サイラス)
ベラミー・ヤング(メリー)
ジョシュ・マリーナ(デイヴィッド)
スコット・フォーリー(ジェイク)
ポーシャ・デ・ロッシ(エリザベス)
レッドカーペットでインタビューに応じる(手前から)フォーリー、ディアス、スタンチフィールド、ヤングの4人。ここで時間を食ったため、パネル後ジェフ・ペリー以外は、そそくさと裏口から脱出し、レセプションには姿を見せなかった。 (c) Meg Mimura
左からロウズ、フォーリー、ワシントン。フォーリーは、当然のことながらジェイクの運命については口を閉ざす。そこが知りたかったのに.... (c) Meg Mimura
5月2日「Manhattan」(シーズン2継続が決まった、原爆を作った人達のドラマ。詳細は、2014年8月5日の記事を参照。)
5月3日「Silicon Valley」(シーズン2を迎えるコンピュータ業界のコメディ)
5月4日「Bloodline」
3月末にオンライン視聴のみで始まった「Bloodline」は、3月25日に「国民的英雄コーチ・テイラーのTV復帰作」として執筆しました。「ダメージ」のクリエイタートリオ(ダニエル・ゼルマン、トッド・A・ケスラー、グレン・ケスラー)の制作だけあって、レイバーン家のしがらみが見事に描かれています。この日は、シーズン1(全13話)の第10話を観賞後に、クリエイタートリオとキャスト4人でパネルインタビューが行われました。
Netflixから送られてきた招待状。
この日、登場したのは、
カイル・チャンドラー(ジョン役)
シシー・スペイセク(サリー)
ベン・メンデルソーン(ダニエル)
リンダ・カーデリーニ(メグ)
何故、今このドラマなのか?について説明する(左から)グレン・ケスラー、ゼルマン、トッド・ケスラー。一気見が可能なNetflixのフォーマットと、チャンドラーの人柄があったからこそ制作できた作品だと言う。 (c) Meg Mimura
サインや写真撮影を求めるファン一人一人に丁寧に対応するチャンドラー。「ハウス・オブ・カード」と異なり、警備員無しでキャストも制作陣もパーティーに参加。庶民的な雰囲気が参加者に大いに受けたので、エミー賞のドラマ部門候補は確実か? (c) Meg Mimura
5月5日「Masters of Sex」
昨夏、セット訪問したので、今回のイベントには参加しませんでした。
Showtime局から送られてきた招待状。
参加しなかったのに、翌日局から送られてきた写真の数々。Showtimeの広報は、本当に気前が良い!左からベッツィ・ブラント、ジョッコ・シムズ、マイケル・シーン、リジー・キャプラン、テディ・シアーズ、アナリー・アシュフォード、ケイトリン・フィッツジェラルド。 Eric Charbonneau/Invision for Showtime/AP Images
5月6日「The Affair」
私の大好きな作品ではありますが、会場が余りに遠いので、遠慮してしまいました。でも、上記の「Masters of Sex」同様、翌日写真とパネルインタビューの要約が送られてきて、もう一度V.O.D.で視聴し始めました。ノア(ドミニク・ウエスト)の視点対アリソン(ルース・ウィルソン)の視点で描かれ、面白い語り口になっています。男女の視点だけではなく、生い立ち、教養、階級など、あらゆるレンズを通して語られているので、一度さらっと観て筋を追うだけでは、詳細を見逃してしまいます。
Showtime局から送られてきた招待状。
左からジョシュア・ジャクソン、ルース・ウィルソン、モーラ・ティアニー、ジュリア・ゴルダニ・テレス。 Eric Charbonneau/Invision for Showtime/AP Images
5月8日「American Crime」
ジョン・リドリーが書き下ろした重~~いドラマです。この日、シーズン1の最終回を流すとは知らずに参加し、大型の銀幕では目を覆いたくなる場面が多々ありました。米国の現実を如実に描いていますが、やはり視聴率は低く、これで終わりかな?と思っていたのですが、試写の前にリドリーがシーズン2継続が決まったことを発表しました。
左からクリエイターのリドリー、プロデューサーのマイケル・J・マクドナルド、フェリシティ・ハフマン、ティモシー・ハットン。シーズン2は、「アメリカン・ホラー・ストーリー」同様、同じ俳優が新たなキャラ、設定、舞台のドラマを演じる。 (c) Meg Mimura
離婚して離れ離れになっていたバーバラ(ハフマン)とラス(ハットン)は、かつて一家が住んでいたモデストと言う田舎町に戻って来る。長男が惨殺され、女手一つで息子2人を育てたバーバラは復讐に燃え、ラスは良心の呵責に苛まれる。ハフマンは、何度も夫に裏切られ、誰も信用しない!と頑なに心を閉ざす中年女を見事に演じた。 (c) Meg Mimura
5月16日「The Honorable Woman」「Rectify」(Sundance局の2作)
5月17日「A Farewell to Mad Men」(このイベントは、ATASが主催)
5月18日「モダン・ファミリー」
5月19日「Transparent」(このイベントのみ、NYで開催される)
5月20日「Orange is the New Black」
Netflixから送られてきた招待状。
5月21日「The Ultimate Juggling Act: Television creators, writers & stars」
IFC/Fox/HBO3局で放送された、クリエイターの自作自演作品を共同で提示する。
5月27日「Besse」(HBOのテレビ映画。クィーン・ラティファ主演)
5月28日「殺人を無罪にする方法」
5月29日「エンパイア」野外コンサート
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