「フレンズ」や「となりのサインフェルド」などの人気コメディーで一世を風靡したNBCも、最近では嘗ての栄光を取り戻すことを諦めたかのように、並以下のコメディーを下手な鉄砲も数打てば当たる式に排出するのみです。今秋も「Truth be told」は、出鼻をくじかれたままで、最早話題にもならず、ドラマ「Blindspot」「ブラックリスト」と「ザ・ヴォイス」に社運を賭けているかのようです。
この様な状況下、NBCコメディー・プレス・ジャンケットへの招待状が舞い込み、勇んで出かけて行きました。ユニバーサル・スタジオの敷地内のビルに、50人余りの評論家、ジャーナリストやブロガー(主にスペイン語圏の)が集まりました。
この日、紹介されたのは、来年1月4日から放送開始の「Telenovela」と「Superstore」の2作で、いずれもラテン系女優が主人公の職場コメディーです。
11月16日のNBCコメディー・プレス・ジャンケットのスケジュール
午後1時30分~2時 「Telenovela」パネルインタビュー
午後2時~2時15分 個別インタビュー
午後2時15分~3時30分 レッドカーベット
午後3時30分~4時 「Superstore」パネルインタビュー
午後4時~4時15分 個別インタビュー
「Telenovela」の主演/制作は、エヴァ・ロンゴリアです。「デスパレートな妻たち」(2004~2012年)のガブリエル・ソリース役で活躍後、テレビ番組制作や政治活動(オバマ大統領と直結していることで有名)に忙しく、画面から姿を消して3年余りになります。
パネル後、個別インタビューを受けるロンゴリア。相変わらず、スリムなボディーにドレスが吸い付いているようだ。レストラン経営が失敗に終わった分、体型は維持できたのか?(c) Meg Mimura
「クーガータウン」や「マイ・ネーム・イズ・アール」の放送作家コンビ(クリッシー・ピートロッシュとジェシカ・ゴールドスタイン)が持ち込んだ企画より、ロンゴリアが長年温めていたテレノベラ(メキシコやラテンアメリカのメロドラマ)の舞台裏コメディーの方が面白い!と急遽乗り換えたと言う曰く付きです。コンビが書き下ろした「Telenovela」の第一稿を読んだロンゴリアが主役を務めると決まって、トントン拍子に進んだと制作の裏話が披露されました。
アナ・ソフィア(ロンゴリア)は、テレノベラ界の女王を自負していますが、実はスペイン語が喋れないことが、本作の味噌!それでなくても、嫉妬渦巻く四面楚歌の職場だというのに、新任のVivavision局長がアナ・ソフィアの相手役に元亭主ハヴィエル(ジェンカルロス・カネラ)を配役してしまったから大変!スペイン語が喋れないにも関わらず、劇中劇の主役パシオンの座を維持し、とにかく主役を狙っている共演者をいかに蹴落とすか、衣装担当の親友ミミ(ディアナ・マリア・リヴア)と結託して、守備を巡らすアナ・ソフィアです。
左からリヴア、ロンゴリア、カネラ。この3キャラの絡みが絶妙だ。(c) Meg Mimura
ロンゴリアの’笑いをとるためなら何でもやります!’精神が漲っている上、共演者にも強者が勢揃いしていて、「他人事!」と大いに笑えるドタバタ風刺劇に仕上がっています。パネルインタビューでロンゴリアが指摘したように、「悪役しか回って来ない」と嘆いていたアマウリー・ノラスコ(オバマ支持者)の繊細な面を生かそうと、ノラスコのために作った役がロドリゴ。確かに、これまで観たことのない面を披露しています。
「プリズンブレイク」のスクレ役で日本でも人気の高いノラスコ。「チェイス」の役もなかなか良かったので、悪役しかできない訳ではない。他の悪役専門俳優より、取っ付きは良く、近寄るのも怖い!とは思わなかった。(c) Meg Mimura
【動画】「Telenovela」トレーラー
一方、「Superstore」は、「アグリー・ベティ」(2006~2010年)で全世界の注目を浴びたアメリカ・フェレーラのTV復帰作です。大型量販店クラウド・ナインを舞台に、店長以下’負け組’軍団の生き様を描く職場コメディーです。
フェレーラは、9年前の初々しさを失い、すっかり見違えるほどです。思えば、21世紀に入って、「デスパ」でロンゴリアが、「ベティ」でフェレーラが、ラテン系女優の走りとして名を馳せました。あの頃は、ラテン系がLAの多数派民族になると宣告され、テレビ界でもラテン系を主役級にせざるを得ない状況だったと記憶しています。2人が画面から姿を消して、毎年黒人、インド人、アジア人など取っ替え引っ替えで人種多様性に対応していますが、ここに来てラテン系女優2人が同時に復帰するのは、何か意味があるのでしょうか?考え過ぎでしょうか?
「ベティー」で初めて見た時は、何と初々しい!と思ったが、化粧も濃くなって生活感を感じるようになったフェレーラ。(c) Meg Mimura
フェレーラが演じる大型量販店のフロア主任エイミーは、19歳で子供を産んで人生が狂ったアラサー主婦。店で唯一の常識と責任感のあるエイミーは、夢も希望も失った10年選手なのです。知ってか知らずか、新入りジョナ(ベン・フェルドマン)をからかったり、過酷な新入りテストをしたり、揚げ足をとったりします。ジョナの無邪気さやゴマ擦りが癇に障るのか、それとも夢も希望もない毎日に嫌気が差して八つ当たりしているのか....とにかく、こんな環境で仕事したくな~い!と思ったのは私だけでしょうか?それとも、これが現実なのでしょうか?私には未知の世界ですが、笑えないどころかイジメ体験者としては、4話で十分!です。
【動画】「Superstore」トレーラー
↧
エヴァ・ロンゴリア、アメリカ・フェレーラのTV復帰作は、いずれも職場コメディー
↧
悲喜交々?2016年冬のTCAプレスツアー
1月5日から19日まで、恒例のTCAプレスツアーがパサデナ市のランガムホテルで開催されました。
1月5日 ケーブル局
Ovation、Outdoor Channel、ESPN、UP
1月6日 ケーブル局
Viacom、A+E Networks、ナショナジオ、ナショナジオ主催イベント
1月7日 ケーブル局
Cartoon Network、Turner Networks、ディスカバリー、HBO、HBOカクテル・パーティー、AMC新作「Preacher」試写会
1月8日 ケーブル局
Starz、WGN America、BBC America、AMC Networks、AXS TVカクテル・パーティー、Crown Media Networks晩餐会
1月9日 Hulu、ABC
1月10日 The CW
1月11日 Amazon、「スーパーガール」スタジオ見学、「ザ・レイト・レイト・ショー・ウィズ・ジェームズ・コーデン」公開録画参加とレセプション
1月12日 CBS/Showtime
1月13日 NBC
1月14日 NBCユニバーサル
1月15日 Fox
1月16日 FX
1月17日 Netflix
1月18日 PBS
1月19日 PBS
初日から大雨に見舞われ、出鼻をくじかれました。豪雨は5日以降、毎日続き、8日の昼食をランガムホテルの庭で開催できるのかと懸念するほどでした。幸い、お天道様の下で、BBCの昼食会が開催され、再三豪雨の再来!の予報に脅かされましたが、9日以降は、傘要らずに終わり、ツアーは19日の午後6時に無事終了しました。
8日に、パサデナ市のランガムホテルまでゴールデングローブの受賞者予想を聞きに、TVグルーヴの社長と山咲こむぎさんが足を運んでくださいました。動画でご覧になったかもしれませんが、レイチェル・ブルームがコメディー/ミュージカル部門の最優秀女優賞を獲得したことは、喜ばしいことです。もっとも、これしか予想は当たりませんでしたが...
日本でも放送されている「ジェームズ・コーデン」の公開録画にTCA会員が招待された。コーデンの机で写真撮影。手にしているコーヒーカップは、コーヒー豆と一緒にお土産に配られた。 (c) Meg Mimura
昨今の予算削減で、地上波局の夜のパーティーは、ホテルのロビーラウンジか宴会場で開催されたので、バスに揺られて遠方まで出かける必要がなく、楽と言えば楽なのですが...難は、狭い所に押し込められて、音楽をガンガン流されるので、インタビューで喉をやられる前に、這々の態で退散せざるを得ず、評論家がたかる「スター」のインタビューは諦めました。
ABCの春の新番組を紹介する1月9日の昼食会には、ディズニーランド開園60周年を記念して(それって、去年じゃないの?)お馴染みのキャラが多数登場した。ミッキーとミニー・マウスと撮った記念写真。 (c) Meg Mimura
今回も「これ!」と太鼓判を押してお薦めする作品は無く、敢えて選ぶなら...の消極的な推薦となりますが、追い追いご紹介して行きたいと思います。吉報は、「The Royals」(昨年3月11日のブログでご紹介)「Playing House」(2014年5月14日のブログ)、「Tyrant」(2015年6月11日のブログ)等、ケーブル局の目星い作品の更新が発表されたことです。日本でも放送された「12モンキーズ」(昨年3月16日のブログ)のシーズン2は、米国では4月18日から放送されます。また、PBSのヒット作「風の勇士 ポルダーク」(昨年6月22日のブログでお伝えしました)のシーズン2は、出演者のスケジュール調整がつかず、クランクインしたのが昨年より遅れたため、再開は今夏以降になると判明しました。待ち遠しい限りです。
シーズン1の反響に応えたインタビューで、エイダン・ターナーは、ポルダークを英雄だと思っておらず、「複雑なキャラには違いない」と語っているのが興味深い。私は飽くまでも英雄だと信じている。 Courtesy of Robert Vigiasky/Mammoth Screen for MASTERPIECE
冬のプレスツアーは、基本的に春の新番組を紹介するのが地上波局の目的なので、既存の作品の更新発表はありません。とは言え、前途が危ぶまれる「スリーピーホロウ」と「グッドワイフ」については、質問が出ました。フォックス・テレビジョン・グループのデイナ・ウォルデン会長兼CEOからは、「シーズン3には、大いに満足している。創作チームは良くやっていると思うが、毎シーズン『からくり』を考案するのに苦労している。今日更新発表はできないが、2~3ヶ月中には決める」と、どちらとも解釈できる政治家並の答えでした。シーズン3の『からくり』は評判が悪いですよ!と反論したかったのですが...触らぬ神に祟り無しを信じて、口を噤んでいました。
「スリーピーホロウ」シーズン2で、コンサルティング・プロデューサーを務めたドナルド・トッド氏に、他局のイベントで出くわしました。私は、シーズン2が大好きだったので、毛色が変わってしまってがっかりだと伝えたところ、「トム・マイソンの人柄、魅力を十分に引き出せたので、悔いはない」と述べました。トッドの作風が昔から好きだっただけに、マイソンの実力と魅力を十二分発揮したシーズンを維持してもらったことに大いに感謝したいと思います。もっと、話を聞きたかったのですが、パーティーの席では見かけませんでした。
トム・マイソンの人柄と実力が十分に発揮されていたシーズン2に比べ、今シーズンは不要なキャラが増えた。Foxはどの作品でも、手を替え品を替えて「Xファイル」風の捜査コンビを再生しようと試みてきた。「Xファイル」のリメイクがある年だけに、他の作品は同じパターンでなくても良いと思うのだが... WENN.com
「グッドワイフ」は、シーズン7後半が始まったばかりですが、CBSエンターテインメント社長グレン・ゲラーは、「キング夫妻(番組クリエイター)は、今シーズン限り。但し、シーズン1から関与しているライターが控えているので、引き継ぎはスムーズに行く筈。まだ1月だから、更新するかどうかは決めていない」と発表しました。CBSは伝統的に更新発表を伸ばし伸ばしにする悪癖があるので、当然の答えと言えるでしょう。私は、アリシア(ジュリアナ・マルグリーズ)が大統領に就任して、幕を閉じるのではないか?と思います。
ジュリアナ・マルグリースの祝辞で、「グッドワイフ」完了の秘密が漏れたように報道されているが、ウィル(ジョシュ・チャールズ)の死を1年極秘にしていたチームだけに、そんなポカは考えられない。 WENN.com
今回は、ここで終了しようと思っていましたが、マルグリーズが既に次のプロジェクトを探すべく、動き出したような(?)報道が目に入ってきました。先週の木曜日(1月21日)に開催されたCasting Society of America主催の授賞式に姿を現し、「キング夫妻は、私がお祝いに駆けつけたと思ってるみたいね。内緒にしてたから...でも私は、4月には失業するから、長年ご無沙汰してたキャスティング・ディレクターに直にご挨拶に来たのよ!」と、祝辞(?)を述べました。マルグリーズ無しの「グッドワイフ」などあり得ないので、潔く諦めるしかないようです。
↧
↧
16年冬のプレスツアーで読み取った今春の傾向
無数のパイロットを観て参加したTCAプレスツアーでしたが、169回に及ぶパネルインタビューで得た情報を基に今春の傾向を分析してみました。
1)数が多い割には、例によって例の如く「続きが早く観たい!待てない!」と思う作品は皆無です。下手な鉄砲も数打てば当たる式に登場するのは、アメコミドラマ(「Lucifer」「レジェンド・オブ・トゥモロー」「Preacher」など)、世の終わりに地球人がどう対処するかを描くSFモノ(「Colony」「You, Me and The Apocalypse」など)ばかりです。吸血鬼が減少の一途をたどっていることは、喜ばしいことではありますが...アメコミドラマ蔓延に辟易としているのは私だけなのか、The CWやNetflixのお偉方は「蔓延からは程遠い!必ずファンが付いてくる」と言います。
謎の力を持つ牧師のアメコミドラマ「Preacher」の試写会への招待状がメールで送られてきたが、血生臭い内容だったので遠慮した。
1月14日から始まった「Colony」は、ジョシュ・ホロウェイ(右端)主演のSFサバイバル・ドラマ。何者かに占領されたLAで捕虜になった次男を救出するために、占領パトロール軍に侵入したウィル・ボウマン(ホロウェイ)と、レジスタンス軍の妻ケイティ(サラ・ウェイン・キャリーズ)を描く。 Courtesy of USA Network
2)どの番組にも必ずと言って良いほど、イギリス人俳優が配役されています。イギリス人でなければ、オーストラリアかニュージーランド人で、ヒュー・ローリー(「HOUSE」)が配役された頃に比べると、イギリス人俳優は完全に米国テレビ界に浸透、今では当たり前になってしまいました。
英国人トム・エリス(左)は、Foxの新作「Lucifer」でチャーミングな悪魔ルシファー・モーニングスターを演じる。マーティン・ヘンダーソン(右)は、「グレイズ・アナトミー」シーズン12の6話からネイサン・リッグス医師を演じるニュージーランド人。メレディス(エレン・ポンペオ)の相手役ではないか?と噂されている。 WENN.com
3)相変わらず続くリメイクの数々。「Xファイル」「プリズン・ブレイク」「スタートレック」など。「24:レガシー」や「フラーハウス」など、オリジナルを一捻りしたものは視聴率を獲得できるかもしれませんが、「HEROES Reborn/ヒーローズ・リボーン」のように過去の栄光を追いかけても、時代や業界がすっかり様変わりした今、成功する確率は低いのではないでしょうか?
「Xファイル」は、13年振りに画面に復帰。記念すべきプレミアだと言うのに、プロモ用に配られたのはパクパク占い。SFに似つかわしくないローテクだ。 (c) Meg Mimura
4)一気觀に対抗するため、NBCが始めたミュージカルのライブ放送に見習って、Foxは今春「グリース」とイースターを祝う「The Passion」を予定しています。スポーツの生中継かミュージカルのライブ放送ミュージカルのライブ放送しかないと、地上波局は気が付いたようです。
ジュリアン・ハフは、映画「グリース」でオリヴィア・ニュートン・ジョンが演じたサンディ役を見事にこなした。1月31日、3時間に及ぶライブ放送で日曜日の視聴率戦争に勝ったFox。昨年12月に放送されたNBCの「The Wiz」に僅かに劣る視聴率で、この傾向は今後当分続きそうだ。WENN.com
5)暗~~いドラマは、増え続ける一方で、青空シリーズで名を馳せたUSA、お偉方が変わって自分色に塗り替えようとする余り、暗さ度を上げているターナー系列局(TNTとTBS)にまで魔の手が伸びています。
USAは、先日ゴールデン・グローブ賞を受賞した「MR. ROBOT/ミスター・ロボット」が好例です。TNTは「MAJOR CRIMES ~重大犯罪課」と「The Librarians」は打ち切りを免れたものの、「リゾーリ&アイルズ」は今シーズンを以って完了と発表がありました。今夏放送開始予定の「Animal Kingdom」や「Good Behavior」は女が仕切る犯罪者一家を描きます。TNTのカラーは、正に今塗り替えられようとしています。
USAの暗いドラマの中で、ゴールデングローブ賞を獲得した「MR. ROBOT/ミスター・ロボット」のプロモ用カード。裏面は、1月14日に実施されたパネルインタビューの座席表。 (c) Meg Mimura
6)アンチヒーローにとって代わる、アンチヒロインの相次ぐ登場も顕著な傾向と言えます。男女平等を謳っている以上、仕方がありませんが、極悪人は男の専門特許ではない!と言わんばかりに、次々とアンチヒロインが生まれています。前出TNT局の「Animal Kingdom」と「Good Behavior」、Starz局から「The Girlfriend Experience」、更にPBS(公共放送)からも「Dark Angel」が控えています。
今夏のプレミアを控える究極のアンチヒロイン。エレン・バーキン(左)は、無法一家を仕切る極悪非道な母親を演じる。一方、ミシェル・ドッカリー(右)は、「ダウントン・アビー」の高飛車メアリーから、出獄したばかりの詐欺師に変身する。WENN.com
↧
16年冬のセット訪問ー「スーパーガール」
1月11日は、午前中9時から11時まで、Amazonが「BOSCH / ボッシュ」「Catastrophe」シーズン2と新作「Mad Dogs」と「The New Yorker Presents」の4作のパネルインタビューを実施しました。
その後、大型バスに揺られて、バーバンクにあるワーナー・ブラザースの撮影所に向かいました。先ず、給水塔に最近掲げられたワーナーのスーパーヒーロー4作のビルボードについて、物々しいファイルが配られました。遠足に出かける小学生を引率する先生のように、「給水塔が見えて来ました!」「ほらほら、前方右手をご覧ください!」とワーナーの広報がはしゃぎます。我々は何がそんなにおお事なのか訳が分からず、首を傾げるのみ。バスを降りて、給水塔に掲げられたビルボードを撮影しろと言うことだったのです。はー???逆光で、どう逆立ちしても、目的のビルボードは撮れません。ワーナーの撮影所内を走るツアー用のトラムに乗り換えて、やっと「SUPERGIRL / スーパーガール」のセットに向かうのかと思いきや、給水塔の真下に横付けにされ、「はい、写真をどうぞ!」と又もや催促される始末です。こんなに手間暇かけて、ビルボードにこだわるなんて....余程の宣伝効果を期待しているのでしょう。
真下から撮影したので、余り良い写真とは言えないが、「ARROW/アロー」のビルボード。左手が「GOTHAM / ゴッサム」で、角度が悪くて撮れなかったのは「SUPERGIRL / スーパーガール」と「THE FLASH / フラッシュ」だった。 (c) Meg Mimura
やっと、辿り着いたのは、「SUPERGIRL / スーパーガール」でレストランやバーのシーンとして使用されるセット。ここで待たされること、30分余り。一体、何に手間取っていたのかは、全く不明です。ようやく、姿を現したのは、番組のセット・デザイナー!但し、参加者が60人余りいるので、側にぴったりくっついていなければ、説明は聞こえてきません。
最初に案内されたのは、カーラ=スーパーガール(メリッサ・ブノワ)とアレックス(カイラー・リー)のアパートです。薄給の新入社員がこんなアパートに住める筈がない!と思いつつ、キッチン、ダイニング兼リビングルーム、寝室、アパートの窓から見える外の景色や装飾品を見て回ります。アレックスが高給取りなのでしょうか?
アパートのセットの中で、最も高価なのがこのシャンデリア。自分でも作れそう(?)だが、何でも骨董品とか。 (c) Meg Mimura
都会のブティックを思わせる、カーラの洋服収納法。黒っぽいものばかりだった。 (c) Meg Mimura
Catco Worldwide Mediaの受付。ホットピンクの巨大なパンサー像が印象的だ。 (c) Meg Mimura
二番目に案内されたのは、カーラの職場、Catco社内のセットです。受付の巨大なホットピンクのパンサーが度肝を抜きます。とにかく、大きい!とにかく、ピンク!なのです。Catco社長キャット(キャリスタ・フロックハート)の事務所は、テレビの大小画面が30ほど、壁に集められていて、天井の高さと言い、家具調度品と言い、一大企業を仕切る社長に見合うスケールです。
メディア関係やテレビ局の事務所は他局の番組を監視(?)する為に、何十台の画面が設置されている。女社長であることは、シャンデリアやクッション、ピンクの花など、家具調度品で表現されている。 (c) Meg Mimura
カーラのデスクは、黄色ですっきりまとめられている。働いている感じがしないのは、故意なのか? (c) Meg Mimura
アレックスが働くDEOのセットで、パネルインタビューが実施されました。参加者は、制作陣からサラ・シェクター、アンドリュー・クライスバーグ、グレッグ・バーランティ、アリ・アドラーの4人、キャストはデヴィッド・ヘアウッド、リー、ブノワ、フロックハート、メカード・ブルックス、ジェレミー・ジョーダンの6人です。
フロックハートが瞬く間に姿を消した後、制作陣や俳優に個別インタビューする評論家たち。右端にリーの姿が見える。 (c) Meg Mimura
「アシスタントがスーパーガールだと気付かないのは、現実的ではないと思いませんか?」という質問に答えて、フロックハートは「しょっちゅう聞かれるわ。視聴者は、とっても気になるみたい。キャットは自己チューのナルシストだから、職場でさえカーラの存在を無視してるでしょ?だけど、スーパーガールには、キャットでさえドキドキ、ソワソワするの。上手に隠してはいるけど!」と、自分より下の人間は人間だとも思わない、嫌な女を想像して演じていると説明しました。但し、例によって例の如く、パネルインタビューが終わるや否や、あっという間に姿を消してしまったフロックハート。インタビュー嫌いは、何年この業界にいても治る気配はありません。
DEOのセット内で、武器管理室などを見た後、カーラが地球にやって来た宇宙船の前で個々に記念撮影してもらい、セット訪問が終了しました。
宇宙船の前で、写真撮影してもらった。右枠に説明がないと、背景は何なの?と聞かれそうだ。 (c) Meg Mimura
↧
「レイトx2ショー with ジェームズ・コーデン」公開録画に参加
今回のプレスツアーで、最も楽しみにしていたのは、1月11日夕方に招待された「レイトx2ショー with ジェームズ・コーデン」の公開録画です。
日本でも放送されている「レイトx2ショー with ジェームズ・コーデン」の背景。コーデンの写真入りのビルボードが目につく。 (c) Meg Mimura
2015年1月12日、コーデンとプロデューサーのベン・ウィンストン、ロン・カリブの3人によるパネルインタビューが行われました。放送開始は3月末だったので、どのような番組になるか詳細は未定、数々の案を検討中と言う話でしたが、「レイトx2ショー」前代の司会者クレイグ・ファーガソンの制作チームと企画を練っていると発表されました。
米国では、舞台や映画でコーデンを知っている人はいても、お茶の間の’顔’ではありません。人柄を全く知らずに参加したパネルでしたが、「せちがらいご時世ですから、刺々しいものではなく、『ほんわか!』を合言葉にしたいで~~す。それで、笑えるならもっと良いな」と発言しました。深夜トーク番組と温かいと言う表現は、相容れないものがあります。時間が時間だけに、卑猥、下品、辛辣なジョークや皮肉がポンポンと飛び出すのが現状です。2008年9月から2シーズン続いた「The Bonnie Hunt Show」のような、トーク番組にして欲しいと、ウィンストンにお願いしました。もっとも、「The Bonnie Hunt Show」は、昼間、女優でもあるボニー・ハントが司会した番組ですから、比べても仕方ないのでしょうが、元気をくれる楽しい番組だったので、打ち切られてしょんぼりしていた私です。そこへ『ほんわか!』をモットーにしたいと言う制作陣が登場したので、すかさず提案しました。
先ず、プロデューサーが登場して挨拶。この日の段取りを説明するのは、ウィンストン(右)だ。 (c) Meg Mimura
3月25日に観たプレミア回は、3人の発言通りの微笑ましい場面満載!コーデンが昨夏のTCA賞授賞式の司会を務めてくれ、コーデンに会いたいばかりに、どうでも良かった授賞式に参加しました。『ほんわか!』を実行してくれてありがとうと、一言お礼を言いたかったのです。又、ウィンストンには、最初から一度公開録画に行きたい!とお願いしていたのですが、初対面から丸1年と1日後に、願いが叶ったと言う曰く付きです。
1月11日、「SUPERGIRL/スーパーガール」のセット訪問は、Smoke Houseと言う有名なレストランでの夕食(?)で終了しました。しかし、レストランの対応が異常に遅く、CBSスタジオで行われる「レイトx2ショー」の公開録画に間に合わなくなってしまいました。デザートを放棄して、ラッシュアワーのハリウッドに向かいました。
背景に作られたLAの名所。 (c) Meg Mimura
到着したのは午後5時半。何時間も列に並んで開場を待った一般視聴者は既に着席しており、TCA会員が天井桟敷に詰め込まれるや否や、プロデューサーが登場して、本日の段取りを説明しました。それから、コーデンやゲストが登場する際の、声援や拍手を繰り返し、繰り返し練習させられました。生中継ではないので、スキットや絵文字ゲームなどは、笑いが取れなければ、その場で、方向転換したり、撮り直しします。
LAダウンタウンの高層ビル。NYの摩天楼と違って、少々貧相? (c) Meg Mimura
11日のゲストは、モーガン・フリーマン、ズーイー・デシャネル、ティム・ロスの3人でした。皆、プレスツアーでインタビューしたことがある俳優で、ドキドキ、ワクワクする俳優ではなくて、がっかり!です。
(左から)フリーマン、デシャネル、ロスが1月11日のゲスト。WENN.com
数年前、ジェイ・レノが司会する、同様のトーク番組の公開録画に参加しましたが、レノが登場する時のみ、歓声を上げるように指示されましたが、その後は最後まで座りっぱなし。最後にジョシュ・グローバンがグランドピアノと共に登場して、私の大好きな曲を披露してくれた覚えがあります。しかし、この日の公開録画は、立ったり座ったり、拍手喝采のボリュームを上げたり、すっかり疲れ果ててしまいました。自宅で寝そべって観賞する方が楽で良いな...と思いました。
録画終了後、同ステージでレセプションが行われました。昨年、里帰りした際、日本で観たこと、期待通りの『ほんわか!』度に大いに満足していることをウィンストンに伝えました。英国人の視点と深夜トーク番組の既成概念がないことが、この番組を爽やかなそよ風にようにしています。最初に気付いた点は、司会者とゲストの目線が同一と言うことで、当然ながら「意図的」と言います。従来の司会者は一段高い位置からゲストに話かけるのが習わしでしたが、これもコーデンが客席を駆け回るのと同じく、セレブではなく、’庶民的’であることを表現しています。又、ゲスト一人ずつと対話する定番を廃止、グループでインタビューする方式をとっているので、ゲスト間の意外なやりとりが観られるのが醍醐味です。但し、米国では誰が’旬の人’か未だ掴み切れていないので、出演依頼をアドバイスしてくれるコンサルタントを雇ったことを明かしました。
ゲストが集うソファー。コーデンが座る椅子とソファーが同じ高さに置かれていて、’庶民的’を表現している。 (c) Meg Mimura
終了後、CBSからもらったお土産。左下のDVDは、同局の政界ドラマ「Madam Secretary」、真ん中上のコーヒー豆袋にはコーヒー豆と「レイトx2ショー with ジェームズ・コーデン」ロゴ入りのコーヒーカップが入っていた。この番組を有名にしたカープール・カラオケ・ハイライトのDVDとYouTubeでの視聴回数を表示した説明書。 (c) Meg Mimura
↧
↧
現在進行中の新作「Billions」と「The Circus」が面白い!
春の新番組とは言え、プレスツアー開催中、あるいは終了直後から始まった作品の中で、毎週楽しみにしているのは、Showtimeのドラマ「Billions」と新しいタイプのドキュメンタリー「The Circus」です。
「Billions」は、映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のテレビ化?と思うほど、類似していますが、このドラマでは、ヘッジファンドで富を築いた叩き上げボビー・アクセルロッド(デイミアン・ルイス)対、NY検事局の敗訴ゼロを誇るチャック・ローズ検事(ポール・ジアマッティ)の一騎打ちを描きます。金融業界対法曹界の飽くなき闘いは、他人事として達観できる上、専門用語が分からなくても、未知の世界を垣間見るのが大好きな視聴者の好奇心をくすぐります。「マッドメン」など足元にも及ばない、卑劣で尊大なキャラのオンパレードですし、女性キャラは刺身のつま扱いですが、何しろ金持ち(成金ではありますが)の世界が舞台なので、何もかもがキラキラ輝いていて、画像が美しいのも特徴です。
「財力で何を買収できるか?どこまで奔放な生き方ができるか?」対「権力で阿漕な輩をどこまで引きずり下ろせるか?」が、目前で繰り広げられ、どちらに肩入れすることなく楽しめるのがユニークな点でしょう。但し、チャレンジが大好きなボビーとチャックの対決を、何シーズン続けられるか?と言う疑問は湧いてきます。
ルイス(左)が演じるボビーは、ドン・ドレイパーなど目じゃないほど卑劣で傲慢なキャラだが、家族は大切にする21世紀の男。ジアマッティ(右)が演じるチャックは、公的には天下無敵の検事だが、私生活ではBDSMを楽しんでガス抜きする。 WENN.com
最近、ドキュメンタリーのヒットを打ち続けるShowtimeの「The Circus」も、早く続きが観たいと思う作品です。副題はInside the greatest political show on earthとなっており、世界最大級の国政見世物とされています。現在進行中の2016年米国大統領候補予備選を、アイオワ、ニューハンプシャー、サウス・カロライナ、ネバダ州、スーパー・チュースデーなどの要所要所で、「ゲーム・チェンジ」の原作者ジョン・ハルパリン、マーク・ハイレマンと政治アドバイザー(元43代大統領ブッシュのチーフ・メディア・アドバイザー)マーク・マッキノンの3人がレポートします。共和党と民主党の党大会までの長くて短い道のりを、各候補者、選挙事務所員、家族、政治記者、サポーター等、いわゆる舞台裏を取材する異色ドキュメンタリーです。
「The Circus」のパネルインタビューで配られた、候補者の選挙運動バッジ。最上列左共和党の象徴「ゾウ」以下、3列11人の候補者のバッジに対し、民主党の象徴「ロバ」の下には、クリントン、サンダース(大小)、オマリーの3候補しかいない。 (c) Meg Mimura
昨年は、オバマ大統領のように応援したくなる人格者が土壇場になって登場し、米国を救ってくれるだろうと、結構楽観的に構えていた私です。ところが2016年後半に入って、トランプ旋風が吹き始め、年末の里帰り時に、「ドナルド・トランプが、次期大統領になるのでしょうか?」の質問攻めに会いました。あの時点では、ヒラリーがトランプにお金を払って共和党候補指名争いに参加してもらい、トランプとの対決に持ち込めば、「トランプよりはマシ!」思う人の票が集まることを見越してのヒラリーの策略に違いないと私は信じていました。女性に大統領になってもらいたいとは思いますが、ヒラリーは適任者ではありません。クリントン夫婦に多大な不信感を抱いている私は、今回の選挙には全く興味がなく、故に2008年と同様、「ヒラリーが当選したら、日本に帰る!」と笑っていたのですが....
パネルインタビューの時点で、候補争いに残るのは、共和党はクルーズ上院議員、トランプ、民主党はクリントンとサンダース上院議員と予想された。 (c) Meg Mimura
「The Circus」のパネルインタビューで配られた共和党と民主党から候補に選ばれたいと予備選に出馬している候補者の選挙運動バッジを見て、ほとんどの名前を知らなかったので、評論家仲間から予想を聞いてみました。そして、1月17日に始まった本作を毎週観て、勉強しています。それにしても、3月1日のスーパー・チュースデーで、トランプとヒラリーが上位に躍り出て、益々私が書いたシナリオ通りに事が運んでいます。いよいよ、日本に帰国する(永久に)計画を練らなければならないような気配です。土壇場で颯爽とヒーローが登場しない限り、地味ではありますが、一番まともで、米国の将来を案じているバーニー・サンダース上院議員に肩入れするしかないと言う結論に達しました。
サンダース(74歳)は、米国の未来に夢も希望も見出せない若者から支持されている。自称社会主義者サンダースの誠実さと政治家の妻然としていないジェーン夫人は信頼できる。 WENN.com
継続番組ではありますが、ABC「American Crime」も続きが楽しみな作品です。昨年エミー賞限定シリーズにノミネートされた「American Crime」のシーズン2です。ABCから送られてきた4話は、シーズン1とは舞台も内容もすっかり様変わりしています。「アメリカン・ホラー・ストーリー」でライアン・マーフィーが復活させたシステムで、レパートリー劇場のように、演目毎に俳優が異なるキャラを演じます。
昨年5月14日の「2015年5月のエミー賞根回しイベント」で触れましたが、「American Crime」シーズン1は人種差別から発生した殺人事件を巡り、薬物常用者への偏見、階級、教育などに取り組んだ重厚なドラマでした。シーズン2は、インディアナポリスを舞台に、私立高校のバスケ・チームのパーティーで起きた暴行事件後の被害者、加害者と家族を描きます。背景に見え隠れするのは、私立対公立高校、階級/教養/貧富の差、陰湿化するいじめなどですが、被害者を少年にすることによって、ホモフォビアがドラマの核心になっています。また、終盤では被害者が加害者に変わる過程を、コロンバインの乱射事件を体験した教師や、カミングアウトした若者達の苦い体験談を交えながら、ドキュメンタリー仕立てに変え、赤裸々に描くのも面白い点です。現代の若者が直面する数限りない障壁は、見応えがあります。と同時に、現代の親が抱えているとてつもなく大きな問題が提示され、気が重くなるのも確かです。
シーズン1では、二人の息子を女手一つで育てたバツイチの母親を演じたフェリシティ・ハフマンですが、誰も信用しない心を閉ざした理由が描かれていたので、共感できるキャラだったと絶賛しています。しかし、ハフマンが今シーズン演じる、雇われ校長レスリーは、教育者ではなく、体裁のみを繕って成功してきた冷血なビジネスウーマンです。生徒は飽くまで資金を集めるための頭数でしかなく、人間としての温かさを全く感じさせません。レスリーの生い立ちや背景は、本筋には無関係ですし、そこまで描いている余裕がないとは思いますが、奥深いキャラではないので、全く共感できないのでしょう。
雇われ校長レスリーを演じるハフマン。「シーズン1の印象を完全に消したかった」と髪の色まで変えて熱演中。 WENN.com
又、シーズン1の活躍を認められて限定シリーズの助演女優でエミー賞を手に入れた、名優レジーナ・キングも、ハフマンと同様の変身振りを披露しています。今シーズンは、インディアナポリスの名士で、財力と権力を濫用して、事件の容疑者の筆頭にあがったバスケ部のキャプテンである息子を守ろうとします。結末や如何に?
エミー賞受賞女優キングは、地位と財力に物を言わせて、息子を守ろうと必死になるテリー役。 WENN.com
↧
キャリー・プレストンのファンに吉報!友達親子に物申す「Crowded」に主演
「グッドワイフ」に登場する数あるユニークなキャラの中で、スピンオフを制作して欲しいと願う視聴者数が最も多いのが、キャリー・プレストンが演じるエルズベス・タシオニ弁護士です。そのプレストンが主演する春の新番組「Crowded」が、いよいよ放送開始となります。
タシオニ弁護士ほど一瞬たりとも目が離せないキャラではありませんが、友達親子のジレンマを一身に引き受けるマーティーナを演じるプレストン。子供がいないプレストンは、「大学院に行く前の数ヶ月、母親と同居して友達親子になった」と明かした。 WENN.com
ぬくぬくと生活できた実家が恋しくて、巣立った筈の若者が舞い戻ることをブーメラン現象と呼びます。米国では、伝統的に18歳あるいは大学に進学する時点で親元から独立するのが常識でしたが、2010年のリーマンショック以来、実家に戻る若者の数は年々増加し、今や社会問題になっています。
去る1月13日に実施された「Crowded」のパネルインタビューで、番組を創作したスザンヌ・マーティンは、本コメディーは「正に私の現実よ!」と告白しました。「ミレニアル世代の31%が実家で親と同居してると言う統計が出てるわ。注目すべき点は、何と80%が負け組と恥じるどころか、ぬくぬくと生活しているってこと!友達親子が多いって証拠じゃない?」と2015年の統計を披露しました。
20年余り子育てを優先して生きてきたマイク(パトリック・ウォーバートン)とマーティーナ(プレストン)が、やっと夫婦二人で自由を謳歌しようとしている矢先に、思いがけない邪魔が入ります。女優志望の長女ステラ(ミア・セラフィノ)と、天体物理学者を目指す次女シェイ(ミランダ・コスグローブ)が舞い戻り、老後を楽しむためフロリダに引っ越しする予定だったマイクの父親ボブ(ステイシー・キーチ)と後妻アリス(カーリース・バーク)が離れに居座ることになります。ブーメラン現象で親子三代が一軒家に同居するマーティンの現状を風刺すると同時に、ミレニアル世代を世に送り出してしまった友達親子の功罪をコメディー・タッチで描きます。
マイク役のウォーバートンは、マーティーナよりは子離れしているが、愛娘なので過保護になりがち。「でも、我が家の現実より、まだ救いがある」と本作がいかに軽症であるかを指摘した。ブーメラン現象や友達親子の蔓延度が伺える発言だ。 WENN.com
ステラやシェイが代表するミレニアル世代とは、1980年~2000年代前半に生まれた若者層のことで、日本の氷河期世代の終末部+ゆとり世代に匹敵すると言えば、思考経路をご想像頂けるでしょう。子供に嫌な思いをさせないため、叱らない/諭さない/躾けない/過保護の’友達志望の親’に育てられた世代のことです。
また、マーティンはミレニアル世代は「アメアイ世代」とも括ります。才能も技術も身につけていないのに、容易に「アメアイ」でアイドルになって富、名声を手に入れられると確信して止まない人種だからです。躓くと周囲や環境の所為にし、反省は一切なく、何の躊躇もなく実家に転がり込み、「帰ってきてあげたんだから、面倒みるのが当たり前でしょ!」的態度をとります。
「アメアイ世代」を絵に描いたような歌手/女優志望のステラを演じるセラフィノ。長女は普通、責任感が強い筈では? WENN.com
自らの体験を顧みて、「友達親子は、子育てじゃない。独り立ちできない、大人になりたくない子を育てたら、後悔先に立たず!と注意されたけど、それを敢えてやってしまった我々の世代を描きたかった」とマーティンは創作の動機を明かしました。自業自得と知りつつ、スパルタ教育で叩き上げられた団塊の世代は、正反対の友達親子になってしまい、此の期に及んで友達と親の狭間に立っていると漸く気付いたのでしょうか?
マイク役のウォーバートンは、「僕は『Crowded Light』って呼びたいね。我が家には子供4人と犬が4頭同居してるから、もっと重症ってことだよ。去年は、がん末期の舅を引き取り、看病に姻戚が出たり入ったりだったし、子供の彼氏や彼女も居着いてるし....」と、本作が如何に軽症であるかを語りました。
コスグローブが演じるシェイは、頭が良い分、社交性ゼロの物理オタクだ。姉ステラからデート術を伝授してもらうほど正反対だが、出世の確率は完全に高い妹シェイ。 WENN.com
子供に嫌われることが何よりも怖い親が、煽て上げて育ったミレニアル世代を演じるコスグローブは、(ウォーバートン曰く「子役で稼いで12歳で購入した」)持ち家があるにも関わらず、「99%は実家にいるわ。喧嘩になったら、『帰る!』って脅すけど、実家で過ごす方が楽」と述べました。友達親子については、「お父さんもお母さんも大好き。大事にしてくれるし、実家の私の部屋はそのままにしてくれてるし...」と子供に戻れる実家が痛くお気に入りです。
甘やかして、居心地満点にすれば、依頼心の強いミレニアル世代のこと、いつまで経っても巣立つ訳がありません。私は他人事と笑っていられますが、友達親子の功罪を徹底的に分析して、米国の将来を担える若者に鍛え直して頂きたいものです。
↧
「トーマス・クラウン・アフェア」のテレビ化?華麗ないたちごっこドラマ「The Catch」いよいよ開始
ABCのヒットメーカーとして君臨するションダ・ライムズが放つ春の新作「The Catch」。初めてパイロット版を目にしたのは、2015年1月でした。2015年冬のTCAプレスツアーの準備のため、ABCのサイトでストリーミングを観て以来、いつかいつかと待ち続けていたドラマです。詐欺や横領を専門に調査する会社で働くアリス(「THE KILLING~闇に眠る美少女」のミレイユ・イーノス)が、若いツバメに騙され、沽券に関わる!と復讐に立ち上がると言う設定でした。映画「トーマス・クラウン・アフェア」をテレビシリーズ化しようと言う意図が読み取れ、のめり込む要素はたっぷり、続きが観たい!と思う数少ないドラマの1本だったのですが....
ションダランド三人目のヒロインは腕利の調査員アリス(イーノス)。「THE KILLING~闇に眠る美少女」のサラ・リンデンとは正反対の、華麗でオシャレなデキる女に変~身。リンデンが見せたことのない’微笑み’が「The Catch」の売りだ。 WENN.com
昨年1月のプレスツアーでは紹介されず、一体どうなってるのか?と案じていましたが、5月頃から幸先の悪い報道が流れ始めました。7月、アリスをカモにした詐欺師を演じたデイモン・ダユーブが三行半を突きつけられ、代わりに「シックス・フィート・アンダー」等で日本でもお馴染みのピーター・クラウスが配役されたと報道されました。特にダユーブが良かったからと言う訳ではないのですが、どのキャラを演じても代わり映えしないクラウスは適材ではないので、待ち侘びていた番組だけに、がっかりしました。更に、翌月にはクリエイター(創作+脚本)ジェニファー・シュール(「THE KILLING~闇に眠る美少女」のライター)と制作を担当するジョシュ・レイムズ(「ブラザーズ&シスターズ」「ダーティー・セクシー・マネー」他)が降板してしまったのです。代わりに「スキャンダル」でお馴染みのアラン・ハインバーグに白羽の矢が立っていると伝えられ、期待のドラマが次々と変貌を遂げていることが察知できました。キャストの変更は頻繁にありますが、クリエイターの入れ替え=番組のヴィジョンが貫けなかったと読み取れ、トラブルの前兆に他なりません。
実業家クリストファー(クラウス)の本性は?30代のダユーブから、50代のクラウスに乗り換えたのは、アリス(イーノス)と渡り合える詐欺師にしたかったからに違いないが、クラウスがトーマス・クラウンの器量を備えているとは思えない。 WENN.com
そして、今月に入って初めて流れた番組のトレーラーは、以前観たパイロットでは頭脳戦が示唆されましたが、180度転換して、イーノスとクラウスのアクション路線に乗ってしまったように見えました。益々クラウスは適材ではない!と確信、期待感で膨らんでいた風船に又々、穴が開いて、空気が抜けて行きます。
いよいよ3月24日にプレミアに漕ぎ着ける「The Catch」ですが、ABCは本年1月のプレスツアーで紹介するどころか、未だにパイロットを送ってきません。これも局がこの作品にどの程度期待を寄せているかの証拠です。これまでションダ・ライムズのお墨付きドラマ(「OFF THE MAP/オフ・ザ・マップ」と「殺人を無罪にする方法」)は、ライムズ王国の家来がクリエイターでしたが、本作はどのような経路で入手したのかは不明ですが、家来が創作したドラマではありません。故に、継子扱いされているのかしら?と勘ぐってしまう程、邪険に扱われています。
いかにパイロットを入手しようかと思案している矢先に、テレビアカデミー会員向けのサイトで、ストリーミングされているので、是非プレミア前にご視聴あれ!とメールが舞い込みました。ラッキー!と早速観たのですが....内容はボツになったパイロットから大幅に変わっている上、やはりジャンルは追いつ追われつの犯罪捜査アクションドラマに変身しています。もっとも、二話以降は頭脳戦にレールが敷き戻されている可能性は無きにしも非ずですが....
アリス・ヴォーン(イーノス)は親友ヴァレリー・アンダーソン(ローズ・ローリンズ)と富豪や法人の不法侵入/詐欺/知的財産窃盗対策や警備を請け負うアンダーソン・ヴォーン調査事務所(AVI)を共同経営しています。泣く子も黙る調査員アリスは、何度も挑戦状を送りつけてきた謎のミスターXにかまけて、1年前に巡り合った実業家クリストファー・ホール(クラウス)との結婚式の準備は二の次にしてきました。式前日、駆け落ちを提案したまま、クリストファーはアリスの全財産と共に忽然と姿を消してしまいます。敏腕調査員が結婚詐欺のカモに!?プライドを傷つけられたアリスは、ヴァレリーや部下の力を借りて、クリストファー狩りに乗り出すのですが....意外な事実を探り当てたアリスは、AVIの死活を賭けて、クリストファーと追いつ追われつ劇にのめり込んで行きます。
イーノスの笑顔を初めて目にした喜び(?)とは裏腹に、陰気臭いクラウスは本作の翳りと言えるでしょう。他に適材が山といるに違いない....私なら誰を配役するかな~と、パイロット版を観て以来、毎日考えました。あーでもない、こーでもないと候補を挙げた結果、私は「コンティニュアム」で好演したビクター・ウェブスターが適役かと....今更、遅いのは百も承知です。(笑)
ションダランド制作の「スキャンダル」や「殺人を無罪にする方法」とパターンは同一で、本作でも我らがヒロインは仕事に生きる親分格で、オリヴィアの「グラジエーター」、アナリーズのエリート生徒(未だに渾名がつきませんね~)のように、各分野に長けた子分に支えられて誰にも負けない仕事振りを発揮します。ところが、デキる女トリオに共通するのは、紺屋の白袴だと言う点です。こと私生活となると、からっきしダメ女なのです。救いは、いずれのヒロインも極上のファッションセンスの持ち主であることでしょうか?
ションダランドの三大ヒロインが勢揃い。左からアナリーズ・キーティング(ヴィオラ・デイビス)、オリヴィア・ポープ(ケリー・ワシントン)、アリス・ヴォーン(イーノス)。デイビス主演の「殺人を無罪にする方法」シーズン2が終了し、代わって「The Catch」が同時間枠を埋める。 WENN.com
本作は映像が実に美しく、工夫を凝らしたトランジションは格別です。舞台はLAですが、15年余りここに住んでいる私でさえ、「LAって、こんなに綺麗な町だっけ?」と惚れ直してしまいました。願わくは、目の保養になる美男子が入れ替わり立ち替わり登場して、クラウスの翳りを照らしだしてくれることです。
↧
2016年3月に開催されたエミー賞根回しイベント
3月から2016年エミー賞根回しイベントが始まっています。今年もATASの劇場が改築中のため、イベント会場は昨年同様LA中に拡散しており、夜運転したくない私は、どのイベントに敢えて参加するか?厳選せざるを得ません。
【3月のスケジュール】
3月22日「You Me Her」(Audience Networkで放送されている三角関係を描いた新コメディー)
3月24日「Crazy Ex-Girlfriend」(昨年9月7日「レイチェル・ブルーム、プリヤンカー・チョープラーの魅力でお薦め!」でご紹介した、CW局の一押しロマコメ・ミュージカル)
CWから送られてきた根回しイベントへの招待状。
3月初旬「Crazy Ex Girlfriend」への招待状が舞い込みました。待ってました!と、受け取るや否や即答しました。
入口に掲示された番組のポスター。レベッカの狂気の沙汰が巧みに表現されている見事なポスターだ。 (c) Meg Mimura
会場は、幸いATAS本部のはす向かいにあるEl Portalと言う360席の古い劇場です。ATASのレナード・H・ゴールデンソン劇場が600席余りだったので、席を確保しなければ入場することさえできないだろうと思い、早目に出たつもりだったのですが....
エル・ポータル劇場のマーキーには、本日の出し物「Crazy Ex-Girlfriend」とレイチェル・ブルームの名前が表示されている。 (c) Meg Mimura
到着した時には、劇場の前に長蛇の列ができており、開場と共に全席が埋まってしまうほどの人気です。幸い、入口近くに設けられたプレッツェルとボバ・カート(番組内でよく話題になる食べ物が振舞われました)を館内に持ち込んで食べようと参加者が並んでいる間に、会場に滑り込み、前から3列目中央に陣取ることに成功しました。
ブルームが舞台に登場し短い挨拶をした後、いきなり下着姿になり、パイロットで歌った「The Sexy Getting Ready Song」を共演者2人と歌って踊り、会場を大いに沸かせました。何しろ、この番組のファンのみが会場に詰めかけているので、他では見られない「スペシャル・ライブ・パフォーマンス」は格別です。
左からピート・ガードナー(レベッカの上司ダリル役)、ブルーム(レベッカ役)、ドナ・リン・チャンプリン(レベッカの同僚兼母親代わりポーラ役)が、下着姿でデートに出かける前のおめかしの様子を表現するスペシャル・ライブ・パフォーマンスを披露。 (c) Meg Mimura
このオリジナル曲はパイロットの目玉だったので、スペシャル・ライブ・パフォーマンスでレベッカ+他のキャラが参加したことに大いに意義がある。
ブルームは、本年1月ゴールデングローブ、コメディー部門女優賞を受賞した今一番売れっ子の’トリプル・スレット’(歌って、踊って、芝居ができる芸人)以上の才能の持ち主ですが、庶民的な気さくさが売りです。人間の’哀しさ’を熟知した上で、醜い面を敢えてさらけ出す自虐的ギャグが、他のコメディエンヌには真似できない点です。
パネルインタビューに参加した(左から)ガードナー、作詞作曲家アダム・スラセンジャー、クリエイター/プロデューサーのアライン・ブロッシュ・マッケンナ、自作自演のブルーム、ジョシュ役ヴィンセント・ロドリゲス3世、チャンプリン。 (c) Meg Mimura
ポーランド系アメリカ人のブルームは、「根暗だからポーランドは居心地が良いけど、太陽が燦々と降り注ぐカリフォルニアは、いつも陽気な’振り’をしていないと嫌われるから疲れる」と言います。確かに、いつも明るく、楽観的に=テンションを上げた状態を維持するほど、しんどいことはありません。
ジョークのはけ口、あるいは溢れる想いを表現するために、オリジナル曲が巧みに使われています。ファンの願いが叶って、シーズン1のサウンドトラックが発売されました。なかなかの名曲があり、私はミュージッックビデオを出して欲しいと希望していましたが、当座YouTubeにCW局が何曲もあげているので、興味ある方は是非ご覧ください。
私のお薦めは、
1位 Sex with a Stranger
2位 Settle for Me
3位 The Sexy Getting Ready Song
4位 I'm in a Sexy French Depression
5位 You Stupid Bitch
本作はロマコメ・ミュージカルではありますが、自らうつ病を患ったこともあるブルーム曰く、「恋愛って何なのか?自分を100%受け入れる前に、人を愛せるのか?がテーマよ」と述べ、人間としての奥深さを披露しました。是非、エミー賞をとって欲しい、一見軽いノリながら、底深い今時珍しいロマコメです。少なくとも、「トリプル・スレット+α」のブルームを認めてあげてください、ATAS俳優グループの皆々様。
↧
↧
2016年4月のエミー賞根回しイベント
4月15日の時点で、既に終了した根回しイベントと、今後実施されるもののスケジュールをお知らせします。
【4月のスケジュール】
4月3日「Catastrophe」
Amazon Primeでストリーミングされている英国製のロマコメ
4月4日「American Crime Story」
ライアン・マーフィー制作のO・J・シンプソン事件の容疑者シンプソンの陪審裁判の過程を描いた限定シリーズ
上の招待状とは異なり、パネルインタビューに参加したのは、ジョン・トラボルタ、サラ・ポールソン、キューバ・グッディング・ジュニア(シンプソン役)、コートニー・B・ヴァンス、スターリング・K・ブラウン、ネイサン・レイン、コニー・ブリトン+制作陣6名。
4月7日「The Night Manager」
4月19日開始のジョン・ル・カレ作「ナイト・マネージャー」のミニシリーズ化(6時間)
(左)ジョナサン・パイン/アンドリュー・バーチ(トム・ヒドルストン)対リチャード・ローパー(ヒュー・ローリー)の一騎打ちが面白い。
4月10日「The Contenders」
ハリウッド業界紙の老舗Deadlineが、38作を1日でインタビューしまくるイベント
HBO「Confirmation」インタビュー後、抽選会に参加する(左)ケリー・ワシントン。 (c) Meg Mimura
「新スタートレック」のピカード艦長とは、正反対の破廉恥ニュースキャスターを演じるパトリック・スチュアート。役作りについて話しが弾む。 (c) Meg Mimura
「American Crime」シーズン2の役所を語る(左から)フェリシティー・ハフマン、レジーナ・キング、リリー・テイラー。シーズン3の可能性も示唆された。 (c) Meg Mimura
カルト教団を描く暗くて不気味なドラマ「The Path」の主演は、(左から)ヒュー・ダンシー、ミシェル・モナハン、アーロン・ポール。 (c) Meg Mimura
4月11日「Odd Mom Out」
会場はNY。NYの富裕階級に馴染めないながら、どっぷり浸かっている三児の母/専業主婦ジルの葛藤を描くコメディー
「Watch What Happens Live」司会のアンディー・コーエン(左端、等身大)が、「Odd Mom Out」キャストのインタビューを務める。コーエンの右隣が本コメディーを自作自演するジル・カーグマン。
4月12日「The Mindy Project」
今シーズンからHuluに転居したミンディ・ケイリング自作自演のコメディー
番宣ポスターは常に明るくて楽しそうだが、コメディーと言うより、ブラック・ユーモア?と聞きたくなる。
4月15日「Younger」
2015年3月27日の「サットン・フォスターのTV復帰作」としてご紹介したアラフォーのバツイチママの職場復帰コメディー。シーズン2が終了したばかりだが、2の放送開始前にシーズン3更新が発表された。
イベント参加予定は、サットン・フォスター、ヒラリー・ダフ、デビー・マザール、ミリアム・ショア、ピーター・ハーマン+クリエイターのダーレン・スター。
4月14日「ベター・コール・ソウル」
「ブレイキング・バッド」のスピンオフ。シーズン1でソウル役のボブ・オデンカークがエミー賞主演男優賞にノミネートされた、実力派ドラマ
イベント参加は、ボブ・オデンカーク、ジョナサン・バンクス、マイケル・マッキーアン、リア・シーホーン、パトリック・フェイビアン、マイケル・マンド+制作陣2名。
4月17日「Underground」
WGN局で今春開始された、奴隷時代の米国を描くドラマ
4月18日「Blunt Talk」
Starz局で4月18日からシーズン2が始まる、破廉恥極まりないニュースキャスターのコメディー。
イベント参加予定は、パトリック・スチュアート、ジャッキー・ウィーバー、クリエイターのジョナサン・エイムズ。
4月18日「アフェア」
会場はNY。LAでもイベントを開催して欲しい、今一番面白い人間ドラマ
イベント参加予定は、ドミニク・ウエスト、ルース・ウィルソン、モーラ・ティアニー、ジョシュア・ジャクソン、+プロデューサー2名、キャスティング・ディレクター2名、衣装デザイナー。
4月19日「Jane the Virgin」
2014年10月1日「今秋の異色作」としてお知らせしたCW局のテレノベラ米国版コメディー。お決まりのラテン系アメリカ人の役は以ての外!と、ジーナ・ロドリゲスが選んだ作品もシーズン3進行中
イベント参加予定は、写真のキャスト全員+ナレーターと制作陣2名。但し、幼児は不参加!
4月21日「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」
Amazon Primeでストリーミングされているクラッシック音楽の世界を描くドラメディー。シーズン3更新。
イベント参加予定は、ガエル・ガルシア・ベルナル、サフロン・バロウズ、ローラ・カーク、マルコム・マクダウェル、バーナデット・ピータース+制作陣3名。
4月25日 「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」
米国では、6月26日シーズン4が始まる
イベント参加予定は、リーヴ・シュレイバー、ジョン・ヴォイト、ポーラ・マルlコムソン、エディ・マーサン、ダッシュ・ミホク、スティーヴン・バウワー、キャサリン・メーニッヒ、プーチ・ホール、デヴォン・バグビー、ケリス・ドーシー、ケイティ・ホームズ+制作陣3名。
4月27日 「Billions」
3月7日「現在進行中の新作」記事でご紹介したShowtime局のドラマ。ヘッジファンドで富を築いた叩き上げボビー(デイミアン・ルイス)対NY検事局の敏腕検事チャック(ポール・ジアマッティ)の一騎打ちを描く。シーズン1は、4月10日放送の第12話で終了。
イベント参加予定は、ポール・ジアマッティ、デイミアン・ルイス、マギー・シフ、マリン・アッカーマン、デヴィッド・コスタービル、コンドラ・ラシャード+制作陣2名。
4月28日「ファーゴ」
FXのヒット作。米国では、2017年春にシーズン3開始予定
イベント参加予定は、パトリック・ウィルソン、ジーン・スマート、テッド・ダンソン、クリスティン・ミリオティ、ボキーム・ウッドバイン、アラン・ドブレスク、ブラッド・ギャレット、レイチェル・ケラー+制作陣3名。
4月30日 「ダウントン・アビー」
米国では、つい1ヶ月ほど前にシリーズを完了した大ヒット作
イベント参加予定は、ジム・カーター、レスリー・ニコル、+クリエイターのジュリアン・フェロウズ。
↧
「グッドワイフ」’完’への秒読み開始ー不死鳥アリシアの行く末は?
※「グッドワイフ」シーズン1~7(最終)までのネタバレ情報を含みます。
2008年、彗星の如く登場した「グッドワイフ」は、来たる5月8日でシリーズ完結となります。本サイトに執筆させていただくようになって以来、事あるごとに、「グッドワイフ」の秀作ぶりに言及してきましたので、もう耳にたこができているかもしれませんが、フィナーレを迎える前に、もう一度讃歌を歌わせてください。
赤いドレスが際立つ印象的なポスター。「グッドワイフ」と言うタイトルから、女性向けのメロドラマに違いないと男性視聴者は敬遠したと言うが、実は政界+法曹界+政治家家族のハイブリッド・ドラマだ。WENN.com
昨年、エミー賞スペシャル動画「私の選ぶベストドラマ(1)」で、21世紀に入ってからの秀作は?と聞かれ、NBCの「Friday Nights Light」(2006~11年)と「グッドワイフ」(2008~16年)を、甲乙付けがたい2作としてご紹介しました。「Friday Nights Light」はテキサスの田舎町で繰り広げられるアメフトコーチ一家の家族ドラマです。一方、「グッドワイフ」は良妻賢母アリシア・フローリック(ジュリアナ・マルグリーズ)が、社会(法曹界と政界)の荒波に揉まれて、人間として、弁護士として成長して行く過程を描きます。両作に共通するのは、「グッドワイフ」のクリエイターであるキング夫妻の信条「天と地がひっくり返った時こそ、人間が成長する又とない機会」が、あの手この手で描かれていることです。如何にユニークなキャラでも、シリーズ開始時と完了時とが同じでは、キャラの旅に同行する意味がありません。
クリエイターのキング夫妻は、本シリーズを「アリシアの鍛錬」と定義する。女が自立する為に歩まなければならない行程が描かれた、学ぶこと満載の希少なドラマ。WENN.com
昨年10月に開始されたシーズン7が余りにも毛色が変わってしまい、今年1月のプレスツアーで「グッドワイフ」の前途について質問が出ました。CBSエンターテインメント社長は「キング夫妻は、今シーズン限り」と答えたのみで、更新有無については完全にはぐらかしました。ところが、2週間後の1月21日に、マルグリーズが「4月には失業するから」とキャスティング・ディレクター軍団に挨拶したことが報道され、口を濁していたCBSの秘密が発覚してしまいました。マルグリーズの失言?CBSの手落ちか?と取り沙汰されましたが、この意味深発言で、遂に来るものが来た!と、覚悟を決めた私です。
アーチー・パンジャビ(左)とマルグリーズの不仲は、いつ頃から始まったのだろう?シーズンを遡って、二人の共演シーンを分析するのもファンの楽しみの一つ?WENN.com
最後通牒は、2月7日スーパーボウル放送中に流れたトレーラーです。「残り9話を以って、この秀作は画面から姿を消すことになりました」的御達しを、CBSがスポーツ中継の途中に流したのです。翌朝、CBSニュースでトレーラーが取り上げられ、ファンをバカにしてるじゃないか!と腹が立ちました。皆が皆、スーパーボウルを観ているとは限らないからです。
この日から、5月8日まで9話を引き延ばす必要があるため、CBSは1ヶ月に2話の割で「小出し」にしてきました。完結話から逆算して、一挙にフィナーレまで放送して欲しかったと思うのは、私だけでしょうか?漸く、4月17日から、完結に向かって秒読みが始まり、それなりにキング夫妻やキャストの声が報道され、盛り上がりを見せています。
2014年、ATASで「グッドワイフ」シーズン5について語るミシェル・キング(左)とロバート・キング。居心地が良くなると、人間はなまってしまうので、現代女性の鑑アリシアを不死鳥として蘇らす手段として、「毎シーズン、天と地がひっくり返るような’爆弾’を投下してきた」と夫妻は説明する。ウィルの死は前代未聞の大型爆弾だったが、以降色恋沙汰がなくなり、アリシアは人間として大きく飛躍した。
(c) Meg Mimura
但し、マスコミの関心は、
1)ゲスト出演者は誰なのか?
2)ウィル(ジョシュ・チャールズ)は最後にもう一度登場するか?
3)スピンオフの可能性、どのキャラを中心に制作すべきか?
に集中しています。
ウィル(チャールズ・左)とダイアン(クリスティーン・バランスキー)が、法律事務所を仕切ってきたが、ウィルの死後、ダイアンの理想と現実の差は広がる一方。事務所の内輪揉め、乗っ取り、合併吸収が相次ぎ、心休まる間がないものの、良き伴侶に恵まれる。ウィルが残り3話に登場する可能性は低いが、ダイアンをスピンオフのキャスト候補に上げる人は多い。WENN.com
アリシア(マルグリーズ・左)とケイリー(マット・ズークリー)の関係は複雑そのもの。シーズン6以降、ケイリーはどんどん存在感を失くして行くが、スピンオフの有力候補と噂されている。WENN.com
年貢の納め時!私は潔く諦めましたが、シリーズを如何に完結するか?は、制作陣にとって最大の難関です。「マッドメン」のずっこけエンディング(2015年5月21日の「えー、あり得ない!で終わった『マッドメン』」を参照)、未だに笑い種になっている「LOST」の死に落ち、「ソプラノズ」の腑に落ちない'完'など、「何それっ?!」の好例は数えだしたら切りがありません。2014年12月30日の「有終の美を飾った『ホワイトカラー』」で絶賛したように、心に響く’完’、忘れ難い最終回は、希少価値と言えるでしょう。
この秀作が始まった時から、キング夫妻が「グッドワイフ」の心髄は、「アリシア・フローリックの鍛錬」だと再三述べており、アリシアが行き着く最終目的地を常に心して書いていると公表してきました。150話余りを制作してきたキング夫妻のこと、有終の美を飾るものと確信していますが、最終目的地がどこなのか?が気掛かりです。シーズン1には、一体どのような終り方をするのか全く見当もつきませんでしたが、シーズン3辺りに、私はアリシアが米大統領に就任する姿を想像するようになりました。
シーズン6で政界に足を踏み入れかけたアリシアだけに、大統領就任への前兆と読んでいたのだが....政界の汚い駆け引きに辟易し、法律事務所にも戻れなくなったので、政界は鬼門なのか?WENN.com
大統領選に出馬した夫ピーター(クリス・ノース)が候補予備選で呆気なく引き下がり、今シーズン予想されていたフローリック一家のホワイトハウス入りの夢が無惨に破れました。この辺りから、私のアリシア大統領就任説が崩れ、軌道修正に入らざるを得なくなりました。更に、4月17日の逸話では、証拠隠滅や汚職容疑で州知事ピーター・フローリックが逮捕され、パイロットと類似したシーンが繰り広げられました。歴史は繰り返されると言うことですが、夫に付き添うアリシアが7年前とは異なり、自信に満ち満ちていたのが最大の相違点です。容疑は異なれど、夫ピーターは同じ状況に陥りましたが、嘗て夫の陰に潜んでいた、おっかなびっくりの良妻賢母アリシアは、酸いも甘いも噛み分け、人生を達観する大人の女に成長しました。
ピーター(ノース)は、目的の為には手段を選ばないからこそ州知事までのし上がった。政界向きと言えるかもしれないが、出世欲や負けず嫌いの性格と解釈すれば、ウィルとピーターは同じ穴の狢(ムジナ)と診る。WENN.com
残り3話となり、アリシアの大統領就任の可能性は毎回減少していますが、4月17日に開催されたNYトライベッカ映画祭のパネルインタビューで、マルグリーズが「納得のいく、心にしみる、切ない終末」と描写しました。何でも、完結話の脚本と赤ワインの瓶が届き、キング夫妻が添えたカードには「アリシア、飲みながら読んでください」と書かれていたそうです。マルグリーズは3回読み直し、読む度にご主人に感想を尋ねられ、1回目「何が何だか...混乱してしまった」、2回目「うーん。すっごく複雑!!」、3回目「哀しい」と答えたそうです。4回目、「読み終わってすぐ『さ・す・が!』と、キング夫妻にメールを送った」と、マルグリーズは語りました。
7年に渡り、心身ともにアリシアに成りきったマルグリーズが、4回読んで納得した結末とは、一体どんなものなのでしょう?楽しみであり、早く観たいけれど、観たくない....複雑な気持ちで、迎える5月8日です。
弁護士を続けるのか?何もかも捨てるのか?可能性は無限大ではあるが、浮世のしがらみが失くなった今、自分のことだけ考えて、生きて欲しい。不死鳥アリシア、大空へ羽ばたけ!WENN.com
↧
5月15日までに予定されているエミー賞根回しイベント
【5月のスケジュール】
5月2日「モダンファミリー」
昨年、「Veep」にエミー賞最優秀コメディー賞、主演女優賞、助演男優賞を譲ってしまったが、シーズン7で未だに健在。
パネルインタビュー参加予定は、エド・オニール、ソフィア・ヴァーガラ、ジュリー・ボーウェン、タイ・バーレル、エリック・ストーンストリート、アリエル・ウィンター、ノーラン・グールド、リコ・ロドリゲス、オーブリー・アンダーソン=エモンズ。
5月3日「ジェシカ・ジョーンズ」
最近人気のアンチヒロインが活躍するサイコスリラー。
参加予定は、クリステン・リッター、キャリー=アン・モス、メリッサ・ローゼンバーグ、マイク・コルター、レイチェル・テイラー。
5月5日「トランスペアレント」
アマゾンのオリジナル・シリーズの中で、時代の流れに上手に乗った、勢いのあるドラマ。但し、コアファンだけが観ている可能性は大。
参加予定者は、ジェフリー・タンバー、ジュディス・ライト、エイミー・ランデッカー、ギャビー・ホフマン、ジェイ・デュプラス、アレクサンドラ・ビリングス、キャスリン・ハーン、メロラ・ハーディン、チェリー・ジョーンズ+クリエイターのジル・ソロウェイ。
5月6日「American Crime」
舞台も内容もシーズン1とはすっかり異なるが、現代の米国社会が抱えている様々な問題を凝縮した重厚なドラマ。昨年に引き続き、エミー賞最優秀限定シリーズ候補にあがれるか?
参加予定は、フェリシティ・ハフマン、ティモシー・ハットン、リリー・テイラー、レジーナ・キング、コナー・ジェサップ、ジョーイ・ポラーリ、エルヴィス・ノラスコ、トレヴァー・ジャクソン、アンジェリーク・リヴェラ+ジョン・リドリーを含む制作陣2名。
5月9日「Veep」
今年も是非エミー賞コメディー部門を総なめして欲しい。シーズン6更新の発表があったばかり。
参加予定は、ジュリア・ルイス・ドレイファス、トニー・ヘイル、アンナ・クラムスキー、リード・スコット、ティモシー・シモンズ、マット・ウォルシュ、ケヴィン・ダン、スーフィー・ブラッドショー、サム・リチャードソン+制作陣1名。
5月10日「Power」
クリエイターは元「グッドワイフ」のライターだったコートニー・A・ケンプ。NYを舞台に、ナイトクラブ経営と麻薬売買、妻と愛人の狭間で生きる黒人青年の葛藤を描くドラマ。
参加予定は、オマリ・ハードウィック、リーラ・ローレン、ナトリ・ノウトン、ジョーゼフ・シコーラ+制作陣2名。
5月10日「The Circus」(会場はNY)
3月7日「現在進行中の『Billions』と『The Circus』が面白い」でご紹介した、現在進行中の2016年米大統領選の候補予備選挙から11月の投票日までを記録する異色政治ドキュメンタリー。
参加予定は、マーク・ハルペリン、ジョン・ハイレマン、マーク・マッキノン、司会はニュース界の大御所チャーリー・ローズ。
5月11日「ナルコス」
ネットフリックスのオリジナル・シリーズ。麻薬で富と力を得たパブロ・エスコバル対コロンビアと米国政府の血みどろの闘いを描く。
参加予定は、ワグナー・モウラ+制作陣2名。
5月12日「レイトx2ショーwithジェームズ・コーデン」
2月16日「『レイトx2ショーwithジェームズ・コーデン』公開録画に参加」でご紹介した、日本でもお馴染みのジェームズ・コーデン司会の夜のトーク番組。
参加予定は、ジェームズ・コーデン+プロデューサー2名(ベン・ウィンストン、ロブ・カリブ)
5月13日「Documentary Now!」
IFC局で、シーズン3までが確約されたシリーズは、ドキュメンタリーの歴史に残る著名な作品のスタイルを模倣し、架空の題材でオリジナル作を茶化す。シーズン1は7話制作。
参加予定は、フレッド・アーミソン、ビル・ヘイダー、セス・マイヤーズ。
↧
シーズン3が待ちきれない「Younger」
4月15日、ハリウッドにあるロンドン・ホテルで開催された「Younger」は、大入り満員でした。ホテルの宴会場に400人以上が詰め込まれ、7時半開場。
TVLand局から送られてきたイベントへの招待状。全キャストが参加した訳ではないが、アラフォー向けの作品だけに、参加したATAS会員はいつもより若年層だった。
残念ながら、ホテルに到着したのが遅く、最前列は疎か、舞台の正面の席はほとんど埋まっていました。仕方なく、脇の5列目に陣取っていましたが、試写寸前に関係者のために指定されていた30席余りが解放されたので、前に移ることができました。とは言え、脇の3列目から斜めに撮ったので、余り良い写真が撮れませんでした。
左から、モデレーターのローラ・プルダム(ヴァラエティ誌)、ライザ役のサットン・フォスター、クリエイターのダーレン・スター、ケルシー役のヒラリー・ダフ。(c) Meg Mimura
シーズン2の最終回を試写して、このお洒落で楽しいコメディーを観たことがない参加者にアピールしました。過去の経験から、観たことがない、あるいは全く興味のない作品の根回しイベントに参加するのは無意味/時間の無駄と悟りました。我が家の近くのATAS本部の劇場で開催されていた頃は、興味半分で参加していましたが、劇場が完成するまでは、LA全域で開催されるので、去年から厳選して参加する方針に切り替えた次第です。よく「観たことない」と言う人にお目にかかるのですが、余程暇なのか?レセプションで振舞われる美味しいもの目当て?と勘ぐってしまいます。
左からダイアナ役のミリアム・ショア、チャールス役のピーター・ハーマン、マギー役デビー・マザール。キャストの頭上にピンク色のライトが設置されており、場末のバーでどさ回り興行風でがっかり!
(c) Meg Mimura
昨年3月27日「サットン・フォスターのTV復帰作」としてご紹介した「Younger」は、アラフォー、バツイチママのサバ読み再出発の苦労を面白おかしく描くコメディーです。クリエイターは、女の友情を描かせたら右に出る者がいないと言っても過言ではない、「SATC」のダーレン・スターです。「最近、テレビ界は暗〜〜い、悲観的な番組だらけ。是非、逆流してやろう!と思ったんだ」と制作の動機を明かしました。「早く続きが観たい!」「えー、もうシーズン終わりなの?!」と思わせるのは、その明るさ、楽観性にあると納得しました。この手のドラメディーがもっと増えると良いのですが....
ライザの親友マギーを演じるマザールは、「マギーは、何があっても非難せずに、ライザをサポートする真の友達。丸ごと受け入れる女の友情と、心機一転がこのドラマのテーマよ」と言うと、男は入れ替わり立ち替わりするが、「女友達は永遠!が心髄」だと、次々とキャストが付け加えます。
ライザの若いツバメ(ジョシュ)や、ケルシーの婚約者(サッド)を演じる俳優はいずれも不参加。この日参加したキャストの’黒一点’ハーマンは、「男は入れ替わり立ち替わりって、消耗品みたいな発言だなー」と遺憾の意を表しました。とは言うものの、チャールスはライザに気があって、上司と言う立場上、行動に移せない役所ですが、この日観たシーズン2の最終話は、ライザがジョシュとチャールス両方に惹かれる、さー大変!の崖っぷちで終りました。
レセプションで一際目立ったのは、背の高いハーマン。出版社の社長チャールス(ハーマン)もバツイチパパ。幼い娘二人の子守りをライザに頼んだことから、「若いのに(?)、大人の会話ができる」とチャールスは事ある毎に頼るようになる。(c) Meg Mimura
庶民的が売りのフォスターは、いつ見てもファンへのサービス精神に満ち満ちている。ホテル屋上で開催されたレセプションで、サインに応じるフォスター。(c) Meg Mimura
パネルインタビュー後、参加者はホテル屋上で開催されたレセプションに殺到しました。私は、今年1月のTCAプレスツアーでインタビューした、ショアにシーズン2終了の感想を聞きたくて、エレベーター近く、会場の入口で待機していました。
本作で私が最も共感できるダイアナを演じるショアは、どのように演じるべきか結構リサーチをしたと言います。映画「プラダを着た悪魔」のアナ・ウィンター編集長のような上司に仕えたことがあるかどうか、友達に聞いて回った結果がダイアナと言う訳です。実際に体験したことがなければ、嘘か誇張としか思えない’伝説の恐竜’的役所です。「実存することが証明されたから、何の躊躇もなく悪魔を演じられる」と手の内を明かしてくれました。
ダイアナは努力して手に入れた権限や出世欲を隠さない現代女性ですが、アキレス腱が上司チャールスで、シーズン2の終わりでは、ライザにとられた感があります。諦めて欲しくないので、確認したところ、「差し当たり....この先どうなるかは、お楽しみ」と、ショアの目がキラキラ輝いていました。シーズン3が待ち切れません。
「字が下手っぴで、ご免なさい!」と繰り返しながら、サインに応じるショア。この作品に登板するまでは、「出るもの出るものキャンセルされたけど、私の所為じゃないのよ!」と笑う。(c) Meg Mimura
↧
↧
4月18日、「Blunt Talk」に参加
4月18日、Starz局で初っ端から2シーズン制作が確約されていたコメディー「Blunt Talk」の根回しイベントがハリウッドで開催されました。
イベント参加予定は、パトリック・スチュアート、ジャッキー・ウィーバー、クリエイターのジョナサン・エイムズだったが、実際に舞台に登場したのは....
英国人ウォルター・ブラント(パトリック・スチュアート)がLAから発信する「Blunt Talk」は、米国文化を第三者の目で報道するケーブル・ニュース番組です。ウォルターのモデルとなったのは、CNNで3年ほど生中継のニュース番組を担当していた英国人ジャーナリスト/タレントのピアース・モーガンだとか。又、スチュアートが初めて出演したシェークスピアの劇中のキャラからウォルター・ブラントと命名しました。
「新スタートレック」のピカード艦長とは正反対の破廉恥ニュースキャスターを演じるスチュアート(左)。4月10日の「The Contenders」イベントで、名前や設定など、クリエイターととことん話し合って詳細を決めたと語った。 (c) Meg Mimura
ウォルターは、フォークランド紛争で戦った元英国海兵隊少佐だけに、何事も大真面目で取り組むべきと信じていますが、その生真面目さが災いして、職場のみならず、私生活でも酒/薬物/女に入れ込む悪い癖があります。
4月18日の根回しイベントには、先ずクリエイターのエイムズが登場。引き続き派手なピンクのドレスに身を包み、ラインストーンのポシェットを腕に吊って、しゃなりしゃなりと入場したのは....これ誰?と目を凝らしていると、金髪のカツラから覗いた顔は、何とスチュアートではありませんか!
パネリストが全員着席すると、スチュアートが立ち上がって、ピンクのドレスに相応しい声で挨拶。ロザリー役のウィーバー(左)、エイムズ(右)も笑いを噛み殺すのに必死である。「サンダーバード」に出てくるキャラに似ている。 (c) Meg Mimura
朝から何時間もかけて女装し、イベント終了後も撮影が続くため、スチュアートと、子分/相棒ハリー役のエイドリアン・スカボローは、セットからそのまま会場に駆けつけました。最初は女になりきっていたスチュアートも、「この格好で、シェークスピアを語るのは異様!」と本来のナレーター向きの声に戻ります。
(左から)スカボロー、ウィーバー、スチュアート。参加者が「スチュアートは、ケイト・ブランチェットにそっくり!」と指摘したが、スカボローの方が女装はお似合いだ。 (c) Meg Mimura
フォークランド紛争中、ウォルターに命を救われたハリーは、恩人の執事/子分/相棒として働いています。悪事の片棒を担ぐと同時に、ウォルターを窮地から救い出すのもハリーの仕事なのです。長年ウォルターの狂気の沙汰を許してきたロザリー(ウィーバー)は、局のプロデューサーですが、はちゃめちゃキャラが集う職場の母親と言っても過言ではありません。
シーズン2はどのような展開になるのか、特にこの女装場面が楽しみです。
(左から)ウィーバー、スチュアート、エイムズ。スチュアートは、如何にも座り心地が悪そうだったし、「付けまつげが重くて、目を開けていられない!」と悲鳴をあげた。 (c) Meg Mimura
↧
5月後半のエミー賞根回しイベント
【5月のスケジュール】
5月15日 「シリコンバレー」
1980年代、ハイテク・ゴールドラッシュのシリコンバレーで、一攫千金を夢見たベンチャー投資家とアスペルガー症候群風のコンピュータ・オタク達を描くコメディー。「Veep」と並んで、コメディーに弱かったHBOの名誉挽回作ではあるが、エミー賞は高嶺の花か?シーズン3進行中。
パネルインタビュー参加予定は、トーマス・ミドルディッチ、T.J.ミラー、ザック・ウッズ、アマンダ・クルー、ジョシュ・ブレナー、スザンヌ・クライヤー、スティーブン・トボロウスキー+制作陣2名。
5月16日 「マスターズ・オブ・セックス」
セント・ルイス市ワシントン大学で人間の性行動について共同研究し、報告書を発表した産婦人科医ウィリアム・マスターズと心理学者ヴァージニア・ジョンソンの公私を描く人間ドラマ。シーズン2までは、マスターズを取り囲む女性キャラ達が等身大で描かれていて面白かったが、シーズン3は安っぽいメロドラマに変身してしまい、悪評を買った。
イベント参加予定者から、今年はエミー賞ノミネートは全く期待していないように見受けるのだが....
参加予定は、マイケル・シーン、ボー・ブリッジス、サラ・シルバーマン+制作陣2名。
5月17日 「Diners, Drive-ins, and Dives」
Food Network局の売れっ子ガイ・フィエリの「Diners, Drive-ins, and Dives」は、全米食べ歩きシリーズ。吟味した新鮮な材料を手間隙かけて調理し、安くて美味しい料理を提供する’庶民の味方’ダイナーやドライブインを紹介して24シーズンを迎える長寿番組で、米国の食文化を塗り替えたと言っても過言ではない。
参加は、ホスト兼プロデューサーのガイ・フィエリ。
5月17日 「A Night Out」(会場はNY)
TBS局で放送中のトーク番組やコメディーのキャストを集めて、笑いを届ける4人をインタビュー。
参加予定は、コナン・オブライエン、ラシダ・ジョーンズ、サマンサ・ビー、ジェイソン・ジョーンズ。
5月18日 「The Jim Gaffigan Show」(会場はNY)
昨年、TVLand局で始まったジム・ギャフィガン自作自演のコメディー。2LDKで5人の幼い子供を育てるジムとジニー・ギャフィガン夫婦。ジムは、コメディアンとして出世を夢見ているが、現実はそう甘くない。シーズン2は6月19日に再開される。
参加予定は、ジム・ギャフィガン(キャスト兼プロデューサー兼ライター)、マイケル・イアン・ブラック、アダム・ゴールドバーグ、アッシュリー・ウィリアムズ。
5月19日 「Being Mary Jane」
BET局のオリジナル・ドラマ。独立独歩のメアリー・ジェーン(ガブリエル・ユニオン)は、アトランタのTV界で活躍するニュースキャスター。黒人女性で独り者=公私とも、イバラの道ではあるが、やるっきゃない!精神で真っしぐら。
参加予定は、ガブリエル・ユニオン、リサ・ヴィダル、ロレッタ・ディヴァイン。
5月19日 「Difficult People」(会場はNY)
売れないコメディアンのジュリーとビリーが、NY市民に八つ当たり!?辛辣さや自己中な振る舞いは、観るに耐えないが、NYでは当たり前なのか?
参加予定は、ジュリー・クラウスナー、ビリー・アイクナー、アンドレア・マーティン、ジェームズ・アーバニアク、コール・エスコーラ+制作1名。
5月20日 「EMPIRE 成功の代償」
大手レコード会社CEOの後継者選びを巡り、元妻と息子達の間で繰り広げられる醜い争いを描くドラマ。
参加予定は、キャスト+制作陣。
5月21日 「The Dresser」
同名の芝居を基に、英国人俳優と衣装方の人間関係を描くStarz局のテレビ映画。
参加予定は、アンソニー・ホプキンズ。
5月22日 「The Path」
カルト教団を描く暗くて、不気味なドラマ。この世界しか知らない妻サラ(ミシェル・モナハン)、妻に薦められて入団せざるを得なかった夫エディー(アーロン・ポール)と、サラが慕う教祖代理キャル(ヒュー•ダンシー)との三角関係が面白い。
参加予定は、アーロン・ポール、ミシェル・モナハン、ヒュー・ダンシー、ミシェル・リー+制作陣2名。
5月23日 「The Man in The High Castle」
第二次世界大戦で敗戦、ナチス・ドイツと大日本帝国に分割統治される米国を描くSFドラマ。アマゾンでしか観られないこと、日本人/日本文化が正しく描かれることは絶対に有り得ないので、どうしても敬遠してしまう。
参加予定は、ルーファス・シーウェル、ジョェル・デ・ラ・フエンテ、アレクサ・ダヴァロス+制作陣7名。
5月24日 「A Night Out」(LA)
TBS局で放送中のトーク番組やコメディーのキャストを集めて、笑いを届ける4人をインタビュー。
参加予定は、コナン・オブライエン、ラシダ・ジョーンズ、サマンサ・ビー、ジェイソン・ジョーンズ。
5月25日 「ホームランド」
CIA作戦担当官キャリー・マティソンの凄まじい公私を描くスパイ・アクション・ドラマ。シーズン5はドイツが舞台で、昨秋から12話を放送。シーズン6は、米国に舞台を移すと聞いている。
参加予定は、クレア・デインズ、ミランダ・オットー+制作陣2名。
↧
女性キャラの台頭が目覚ましい「Billions」に参加
4月26日、「Billions」に参加しました。会場は、ビバリーヒルズにあるWriters Guild Theaterで、今年参加したイベントの中で、我が家より最も遠い場所だったので、到着した頃には疲れ果てていました。
Showtime局が根回しに使用する番宣ポスター。左からマリン・アッカーマン(ララ・アクセルロッド役)、ダミアン・ルイス(ボビー・アクセルロッド役)、マギー・シフ(ウェンディ・ローズ役)、ポール・ジアマッティ(チャック・ローズ役)。
午後7時30分から、4月10日に既に放送済みのシーズン1最終話を試写。キャストの面々も客席で鑑賞した後、パネルインタビューの席に着きました。
左からモリーン・ライアン(Variety.com)、デヴィッド・ラヴィーン、ブライアン・コッペルマン、ジアマッティ、シフ、ルイス、アッカーマン、コンドラ・ラシャード。Photo by Eric Charbonneau/Invision for Showtime
リーマンショク以来、持つ者(1%)と持たざる者(99%)の間に存在する溝は広がる一方で、世界を動かしているのは、「1%の1%」とまで言われています。故に、富の偏りや階級、公平/不公平とは?などに、話題が集中してきました。本作は、チャック・ローズ検事(ジアマッティ)が代表する歴代の資産家(オールド・マネー)対、ヘッジファンドでぼろ儲けするボビー・’アックス'[=首切り斧と言う意味のボビーの渾名]・アクセルロッド(ルイス)が代表する成金(ニュー・マネー)の一騎打ちを描きます。
3月7日に「現在進行中の新作」でご紹介した時点では、1)権力対財力の飽くなき闘いを何シーズン維持できる?と、2)女性キャラは刺身のつま扱いだと指摘しましたが....シーズン1後半には、女性キャラの台頭が控えていました。シーズン1最終回、男の確執に巻き込まれたものの、チャックとアックスの間を巧みに泳ぎ、遂に大金を手にしたウェンディ(シフ)に軍配が上がりました。但し、アックスの相談役/応援団長として’敵陣’アックス・キャピタル社で、アックス以下社員を操ることに生き甲斐を感じていたセラピスト(=パフォーマンス・コーチと呼ばれる特別職)だけに、チャックとの夫婦関係には大きな亀裂が生じました。元々、仕事に生き甲斐を感じる余り、家庭を顧みないパワーカップルでしたから、当然と言えば当然の成り行きです。シーズン2では、あの大金を元手に、ウェンディが何をしているか?を想像するだけで楽しくなります。
レセプションの席で、番組の音楽担当者(左)と歓談するシフ。(c) Meg Mimura
一方、アックスとララ(アッカーマン)は、同様の貧しい環境で育ち、ここまでのし上がった成金パワーカップルです。今時の夫婦だからか、同じ穴の狢だからか、「この二人は完全に平等よ!」とアッカーマンが指摘しました。アックスは汚い手を使って金儲けに没頭し、ララは妹をシェフに迎えてレストランを経営すると同時に、二人の息子を’普通の子’に育てることに労力を注ぎます。又、いざと言う時には、二人で予め話し合った米国脱出作戦を実行するのも、ララの役目です。手段はどうであれ、社員も親戚も含め、身内を守ることが、叩き上げパワーカップルの生き甲斐なのです。
インタビュー終了後のレセプションで、気さくに歓談するアッカーマン(右)。(c) Meg Mimura
もう一人、ぐんぐんと力を見せ始めたのは、ラシャードが演じるケイト・サッカー検事補です。ケイトは、裕福な家庭で育ったお嬢様ですが、アックスを起訴しようと躍起になるチャックの下で働き、同僚ブライアン・コナティー(トービー・レナード・ムーア)に取り入って、出世の糸口を虎視眈々と狙っています。ケイトがシーズン2で何処まで出世するかも、楽しみです。
「SUITS/スーツ」のダニエル・ハードマンでお馴染みのデヴィッド・コスタビルは、本作ではアックスの右腕マイク・’ワグ'・ワグナー役で活躍しています。役所としては、ピアソン・ハードマン法律事務所の共同創設者で、事務所復帰や乗っ取りなど、様々な横槍を画策する悪徳弁護士ダニエルと、アックスの右腕ワグは同じ穴の狢と言えるでしょう。ワンパターンなのかなぁと思ってしまいますが、ワグの過去は本作では、まだほとんど明かされていないので、「もっとワグの事、知りたいよねー」と参加者を煽り、クリエイターに取り入るコスタビルでした。
左からコスタビル、ラシャード、ジアマッティ、アッカーマン、ルイス、シフ。Photo by Eric Charbonneau/Invision for Showtime
↧
無名の俳優が盛り上げる「ジェーン・ザ・ヴァージン」
去る2014年10月1日に「今秋の異色作『Jane the Virgin』が受ける理由」でご紹介しましたが、同作は2014年の期待のニューフェイス、ジーナ・ロドリゲス主演の「アグリー・ベティ」と「ギルモア・ガールズ」を掛け合わせたような、ベネズエラのテレノベラ「Juana la Virgen」の米国版です。マイアミを舞台に働き者で信心深い、ベネズエラ系三世23歳のジェーン(ロドリゲス)の生き様を描き、初年度にゴールデン・グローブやピーボディー賞など、多数の賞を受賞した異色コメディーです。
左からヤエル・グロブグラス(ペトラ役)、アンドレア・ナヴェド(シオマラ役)、ジャスティン・バルドーニ(ラファエル役)、ジーナ・ロドリゲス(ジェーン役)、イヴォンヌ・コル(アルバ役)、ハイメ・カミル(ロヘリオ役)、ブレット・ダイヤー(マイケル役)。
ジェーンの身に降り掛かった「あり得な~~い!」の発端は、結婚するまでは純潔を守り抜くと祖母アルバ(コル)に誓い、彼氏マイケル(ダイヤー)も了解していたのに、産婦人科の定期検診で誤って人工授精され、図らずもバージンで未婚の母になってしまったことです。更に、嘗てジェーンが恋い焦がれていたホテル王の御曹司ラファエル(バルドーニ)が’一粒種’を儲ける最後の頼みの綱だったと聞いてしまい、シーズン1ではマイケルとの婚約を解消して、ラファエルと暖かい家庭を....と夢見たジェーンです。
シーズン2進行中の4月19日、3月にCW局が開催した「Crazy Ex-Girlfriend」根回しイベントと同じく、ATASの向かいに位置するエル・ポータル劇場に向かいました。既に、開場を待つ会員が劇場を取り囲むように、長蛇の列ができ始めていました。まだまだ時間があるので、ぼーっと列に並んでいると、駐車場に向かうダイヤーが、携帯で長蛇の列を嬉しそうに運転席から撮影しているのを目撃してしまいました。他のキャストは、リムジンを横付けにしているのに、参加者と同じ駐車場に自家用車を駐めるなんて、何と庶民的ではありませんか!
CWは意欲作2本の根回しイベントを、エル・ポータル劇場で開催。(c) Meg Mimura
本読みがイベントの目玉であるかのように招待状には書かれていましたが、入り口で手渡された脚本は#201となっています。シーズン2の初回なら観たんだけど....と思いつつ、席に着きました。長テーブルが舞台ぎりぎりの所に設置され、次々とキャストが登場します。
数年前、「スキャンダル」シーズン2の最終回が放映されている時間に、根回しイベントが開催され、最終話をキャストが本読みしてくれたことがあります。そして、我が家に戻って録画を再生して、映像ではこうなっているんだ!と感心した経験があります。しかし、昨秋既に放映された逸話の本読みに、何の意味があるのだろう?きっと、最初の20ページくらいまでに違いない。それにしても、本読みに登場するキャストの数が多過ぎる?などと、考えている内に、どんどん先に進み、延々40分余りかけて#201を読み切りました。長すぎる~~!あくびが出たのは、私だけでしょうか?
本読みを披露する(左から)ジェーンの祖母アルバ役コル、初恋の人ラファエル役バルドーニ、ラファエルに未練たっぷりの元妻ペトラ役グロブグラス、ペトラの母マグダ役のプリシラ・バーンズ。(c) Meg Mimura
シーズン2は中盤以降に差し掛かり、話はどんどん進展しているので、今更初回を思い出しても何の意味もありません。ご存知のように、テレノベラは、所謂男女関係を綴る’昼メロ’で、英語圏の昼メロなど比べものにならないほど、芝居、仕草、台詞など何もかも極端に大袈裟で、筋や構想が破天荒なことで有名です。
本読み後、主要キャストがパネルインタビューに参加。裏話に興じる(左から)ジェーンの父親ロヘリオ役カミル、ジェーンの母親シオマラ役ナヴェド、ロドリゲス、バルドーニ。(c) Meg Mimura
故に、この日も、クリエイターのジェニー・スナイダー・アーマンは、5月16日放送のシーズン2最終回を明かすどころか、「ジェーンとマイケルが、本当に結婚するかどうか?それは、見てのお楽しみ!」と述べました。ジェーンが、又々ドタキャンするのか?とハラハラました。すったもんだが何話も続きましたが、結局挙式は滞りなく終わりましたが....三大崖っ淵が待ち構えていました。ハッピーエンドかと思いきや、其処此処に潜んでいる悲劇の数々。ジェーンの人生はどう変わるのでしょうか?
コル(左)とグロブグラス。グロブグラスは、「フランス人の父から学んだフランス語をもっと勉強して、世界で通用する俳優になるのが夢!」と目を輝かせる。(c) Meg Mimura
ヤエル・グロブグラス WENN.com
シーズン1では、夫ラファエルを引き止めようと、あの手この手を駆使する悪女ペトラを演じたグロブグラスでしたが....シーズン2ではラファエルの双子を出産、産後鬱病を患ったり、ジェーンに助けを求めたりして、本人の意思に反して弱味を披露し、私の最も好きなキャラになりました。タフなチェコスロバキア人の役ですが、グロブグラスはオーストリアとフランス人の両親の間に生まれ、イスラエルで育ち、ダンサー、モデルを経て、2013年のパイロット・シーズンにLAに移転した経歴の持ち主。「ヘブライ語で演技指導を受けていたので、英語の台詞にはまだ慣れません。それに、ペトラはチェコスロバキア出身だから、言葉も文化も一から勉強してます」とグロブグラスは述べました。又、シーズン2後半から、存在すら知らなかったペトラの双子の片割れアネスカの二役を見事にこなし、「こんなチャンスを頂いて、無駄にしないよう頑張ります」と意欲満々です。
シーズン3更新が3月に発表されましたが、1年目より視聴率は確実に低下しています。先週、CW局の今秋の編成が発表されましたが、「スーパーガール」がCBSから移転することもあって、マンガ本の実写化が益々増えて、「Crazy Ex-Girlfriend」と「Jane the Virgin」は少数派です。リメイクやリブート作品の蔓延で、創造力豊かなユニークなこの2本は、希少価値と言えるでしょう。
イベント終了後、サインと写真撮影に気軽に応じるバルドーニ(左)とダイヤー。若い女性ファンはラファエル派とマイケル派に二分される。(c) Meg Mimura
番組の中でも、テレノベラのスターを演じるカミル。歌手/俳優/トーク番組司会者は、メキシコでは知らない人はいないほどの有名人だが、アメリカではまだまだ知名度は低い。シーズン1に出演して、車のCFに出るようになった。(c) Meg Mimura
どの俳優もサービス精神旺盛で、最後の一人まで、実に丁寧に対応していました。無名の俳優を集めて始まった「コールドケース」同様、いつまでも高ビーにならず、ファンに感謝する集団でいて欲しいものです。
↧
↧
6月の根回しイベント
【6月のスケジュール】
6月1日 「The Wiz Live」
昨年12月3日にNBCで放送された「The Wiz」の生中継。1975年ブロードウェイで上演されたミュージカルをソウル/R&Bにアレンジしたもの。
参加予定は、クィーン・ラティファ、メアリー・J・ブライジ、デヴィッド・アラン・グリア、NE-YO、シャニース・ウィリアムズ、イライジャ・ケリー、アンバー・ライリー、+制作陣5名。
6月2日 「You're the Worst」
恋に失望した作家ジミーといちゃいちゃが大嫌いな広告代理店のやり手グレッチェンが同棲し始めたらどうなるか?を探るFXX局の暗~~い、ロマコメ。
参加予定は、クリス・ギアー、アヤ・キャッシュ、デスミン・ボージェス、ケサー・ドナヒュー+制作1名。
6月3日 「Fresh Off the Boat」
台湾系アメリカ人一家が住み慣れたワシントンDCを離れ、フロリダ州でレストラン経営にチャレンジするコメディー。シリーズの土台「Fresh Off the Boat」の原作者自身が、「僕は観てない、観たくない」とツイートしたほど、内容がアメリカ人向きに豹変しているらしいし、アジア人全般への偏見に満ち満ちていて、観るに耐えない。人種別に分析すれば、アジア系視聴者は少ない筈。
参加予定は、ランドール・パーク、コンスタンス・ウー、ハドソン・ヤン、イアン・チェン、フォレスト・ウィーラー、チェルシー・クリスプ、ルシール・スーン+制作1名。
6月4日 「UnReal」
昨年6月1日に、シリ・アップルビーの新作としてご紹介した「UnReal」は、嫁選び合戦リアリティー番組の醜い舞台裏を描くブラックユーモア劇。余りにもリアル過ぎて観るのが辛い?
パネルインタビュー参加予定は、シリ・アップルビー、コンスタンス・ジマー、クレイグ・バーコ、フレディ・ストロマ+制作陣3名。
6月5日 「LEFTOVERS/残された世界」
ある日突然姿を消してしまった1億4千万人。3年後、ニューヨーク州メイプルタウンの住人達は、カルト宗団に入る者、武器を取る者、それぞれ心の処理を迫られる地球に残された者達を描くSFドラマ。
参加予定は、ジャスティン・セロー、キャリー・クーン、エイミー・ブレネマン、クリストファー・エクルストン、レジーナ・キング、ケヴィン・キャロル、アン・ダウド+デイモン・リンデロフ。
6月6日 「Casual」
フルで2015年10月から配信開始。良い歳をして未だ独身のアレックスの元に、離婚した妹ヴァレリーが、娘ローラと共に転がり込んで繰り広げる家族ドラメディー。
参加予定は、ミケーラ・ワトキンス、トミー・デューイ、タラ・リン・バー、ザンダー・ライトマン、ヴィンセント・カーシーザー、ケイティー・アセルトン、ニャシャ・ハテンディ、他。
6月6日 「MR. ROBOT/ミスター・ロボット」(会場はNY)
サイバーセキュリティ技術者/ハッカーが、世界を牛耳る「1%の1%」に挑戦するテクノ・スリラー。
参加予定は、ラミ・マレック、クリスチャン・スレイター、ポーシャ・ダブルデイ、カーリー・チェイキン。
6月12日 「Billy on the Street」
コメディアンのビリー・アイクナーがNYの街角に出没し、ポップカルチャーについて聞く、所謂街角インタビュー。2011年からFuse局で放送されていたが、15年10月からtruTV局に移転したお笑い番組。
参加は、ビリー・アイクナー。
6月13日 「アメリカン・ホラー・ストーリー:ホテル」
ライアン・マーフィー創作・制作の「アメリカン・ホラー・ストーリー」(AHS)の第5弾。1920年代に建てられたホテル・コルテスに居を構える不老不死の美女=吸血鬼’伯爵夫人’(ガガ)と恋人ドノヴァン(マット・ボマー)で人気を博したホテル版。
参加予定は、レディー・ガガ、アンジェラ・バセット、キャシー・ベイツ、サラ・ポールソン、エヴァン・ピータース、ウェス・ベントリー、マット・ボマー、デニス・オヘア、シャイアン・ジャクソン、フィン・ウィットロック+制作陣2名(ライアン・マーフィー他)。
6月15日 「Grease: Live!」
本年1月31日に、ワーナー・ブラザース撮影所から生中継された「グリース」。放送前日にガンで亡くなったヴァネッサ・ハジェンズのお父さんに献呈された曰くつき。ミュージカルの生中継で視聴率を上げたNBCに習って、Foxが開始した視聴率獲得作戦の一端。
参加予定は、ジュリアン・ハフ、ヴァネッサ・ハジェンズ、カーリー・レイ・ジェプセン、ケサー・ドナヒュー、ジョーダン・フィッシャー、デヴィッド・デル・リオ、アンドリュー・コール+制作陣6名。
6月15日 「The Daily Show with Trevor Noah」(会場はNY)
「The Daily Show」はComedy Central局の深夜トーク/ニュース風刺番組。2015年9月、ジョン・スチュアートが退き、トレヴァー・ノアが引き継いだ。74%の視聴者が18~49歳の年齢層で、極めて好調だ。
参加予定は、トレバー・ノア、+ライターチーム。
↧
「American Crime」は今年もエミー候補に挙がる?
5月2日、「American Crime」の根回しイベントに参加しました。シーズン1は、限定シリーズの候補には挙がったものの、エミー賞は逃したので、今年こそ!と言う、意気込みが感じられます。
(左から時計回り)コナー・ジェサップ(テイラー・ブレイン役)、ティモシー・ハットン(ダン・サリバン)、{奥}アンドレ・L・ベンジャミン(マイケル・ラクロワ)/{手前}トレヴァー・ジャクソン(ケヴィン・ラクロワ)、レジーナ・キング(テリー・ラクロワ)、フェリシティ・ハフマン(レスリー・グラハム)、リリー・テイラー(アン・ブレイン)。
昨年は、ABCの撮影所で開催されましたが、今年はハリウッドにあるDirectors Guild of America (DGA)の劇場で行われ、多数のATAS会員が参加しました。4月10日に、同劇場でDeadline社主催の「The Contenders」でもご紹介しましたが、「American Crime」シーズン2について主演女優3人が夫々の役所を語りました。
入り口に堂々と展示された今年の番宣ポスターの巨大版。 (c) Meg Mimura
参加者が劇場に入る前に、珍しく(?)ワインとおつまみのおもてなしが待ち受けていました。大型ポスターの裏側では、レッドカーペットが進行中だったので、私は裏側に回って写真を撮ることにしました。
珍しくドレスアップしたハフマン(左)とストレートヘアに戻したキング。本当に仲が良さそうだ。 (c) Meg Mimura
この日は、シーズン2最終回を試写後、パネルインタビューが始まりました。シーズン2は、「未だに口にし難いレイプを扱うと決まっていたものの、リサーチをしている内に男子高校生同士のレイプに急遽切り替えた」と語るのは、リドリーとマイケル・J・マクドナルドのクリエイターチームです。又、最終話でふんだんに使われたコロンバインの乱射事件体験者の言をいかに引き出したかをリドリーが説明、会場は神妙に聞き入りました。
左からリドリー、ハフマン、キング。劇団の公演のように、演題毎に団員の役所が変わることが特徴の「American Crime」。ご覧のように、ハフマンもキングもシーズン1とは別人に変身! (c) Meg Mimura
シーズン1では、リドリー曰く「(イスラム教徒なので)目だけで演技した」キングでしたが、それが認められたのか、エミー賞助演女優賞を受賞しました。シーズン2ではカーリーヘアに切り替え、製薬会社の重役/インディアナポリスの名士テリー・ラクロワに変身!しました。地位を濫用して独り息子ケヴィン(ジャクソン)を守ろうとする過保護な母親でしたが、数々の出来事から何かを学び成長したのは、このキャラだけでした。
左からキング、ジャクソン、ジョーイ・ポラーリ(エリック・タナー役)、アンジェリーク・リヴェラ(エヴィー・ドミンゲス役)。特にリヴェラは、ヒスパニック系の問題児を演じていたので、すっかり見違えてしまった。(c) Meg Mimura
左からジェサップ、テイラー、マクドナルド。ジェサップは、「フォーリング・スカイ」のベン・メイソン役から、すっかり大人になった。テイラーのみが、外見は余り変わらないが、息子テイラー(ジェサップ)をどう守れば良いのか悩むレストランの店長役。(c) Meg Mimura
昨秋の数々の番組の中で、続きが観たい!と思わせる唯一の地上波局の継続番組としてご紹介しましたが、(2016年3月7日の「現在進行中の新作『Billions』と『The Circus』が面白い」を参照)ホモフォビアがシーズン2の核心です。背景に見え隠れするのは、私立対公立高校、階級/教養/貧富の差、陰湿化するいじめなどです。
現代の親が抱えているとてつもなく大きな問題が提示されていると同時に、若者が直面する数限りない障壁が赤裸々に描かれています。
被害者テイラーから、加害者に移行する過程を見事に演じたジェサップ。将来は明るい!(c) Meg Mimura
この事件で、一番損をしたエリックを巧みに演じたポラーリ。ジョー・ジョナスにそっくり!と言うと、「ディズニーのタイプなのかも?」と笑う。(c) Meg Mimura
重厚で気が重くなりますが、見応えのある限定シリーズでした。現代の若者でなくて良かった!と思うと同時に、親にならなくて良かった!と胸を撫でおろしました。
シーズン3については、4月10日に同劇場で開催された「The Contenders」の一環「American Crime」のセッションで、リリー・テイラーが「もう脚本に取り掛かっているって聞いたんだけど....」と仄めかしたのに対し、この日は全く言及されませんでした。更新、危うし?
雇われ校長/冷血漢を演じたハフマンは、「政治家の気持ちが良く解ったわ!だって、レスリーは『全体を考えれば、数人の犠牲者は止むおえない派』ですもの。そんなに責めないで~!」と弁護。(c) Meg Mimura
↧
米国人目線、LAで撮影の「Veep」
5月9日、パラマウント撮影所内の劇場で開催された「Veep」に参加しました。
今年の番宣ポスターは、シーズン4の最終回でセリーナ・マイヤー(ジュリア・ルイス=ドレイファス)の大統領就任が危うくなったため、「多分!」になっている。何となく自信のなさそうな顔つきでは? (c) Meg Mimura
今年も、4月から新シーズンが始まっており、この日は5月15日に放送予定の第4話「Mother」が試写されました。この逸話で来年のエミー賞は、またドレイファスが獲得するだろうと思うほどの出来栄えで、お腹がよじれるほど笑いました。
試写の後、キャストと今シーズンから制作を引き継いだデビッド・マンデルが登場しました。今年のイベント会場はいずれも照明が悪く、この日も、舞台上のキャストの写真は極めてお恥ずかしいものばかり。
左からマンデル、ドレイファス、トニー・ヘイル(ゲーリー役)、ケヴィン・ダン(ベン役)。 (c) Meg Mimura
「Veep」のクリエイター、アルマンド・イアヌッチが、自ら「潮時!」とシーズン4を以って降板し、英国に帰国したため、先ずは制作を引き継いだマンデルの紹介から始まりました。「『隣のサインフェルド』や『ラリーのミッドライフ・クライシズ』など、長~~い付き合いよ」とドレイファス。2012年以来、東海岸のボルチモア市で撮影してきましたが、今シーズンからLAで撮影しています。お帰りなさい。大歓迎です。
イアヌッチが英国人目線で制作していたのに対し、マンデルは「米国人目線に切り替えた」と発表しました。シーズン5では、オバマ大統領就任以来再燃し、益々大火になり収拾がつかなくなった人種差別を含め、米国の’今’が描かれています。歴史は繰り返すと言いますが、米国で生まれ育ったマンデルにしか見えない歴史の流れは、イアヌッチには捉え切れる筈がありません。これも大歓迎です。
2013年、根回しイベントに参加して知った「Veep」ならではの手作り感たっぷりの制作過程(7週間前にリハーサルし、アドリブを脚本に反映して4回書き直して仕上げ、完璧な脚本で2度撮影して編集する)をご紹介しました。ドレイファスは、「リハーサルにかける時間?今シーズンは約5%ほどカットしたわ」と言いますが、キャストがほとんど変わっていないので、5%減は妥当と思われます。つまり、作品の質には何ら変わりが無いと言うことです。
ドレイファスが、12年から4年連続エミー賞コメディー部門の主演女優賞を受賞したのは、大人に受ける洗練された政界内幕暴露コメディーが、如何に希少価値かの証拠ではないでしょうか?人気は益々沸騰、今年はパネルインタビュー後、お目当の俳優に近づくこともできませんでした。
サインや写真撮影を求めて、舞台際では押し合いへし合いが繰り広げられた。ダン(中央メガネ)はサインに、リード(右端)はツーショットに応じている。 (c) Meg Mimura
’牛目’の渾名で呼ばれるエミー賞助演男優賞受賞者ヘイルは、とにかくギョロ目が特徴。NYタイムズ誌で、セリーナと鞄持ちゲーリーの上下関係でありながらな、戦友/片思い/将来は茶飲み友達的な、今テレビ画面上で最も摩訶不思議な関係が取り上げられた。ヘイルの頭上左には、’でくの坊’ジョナを演じるティモシー・C・サイモンズのヒゲ面が見える。最近、ヒゲはリバイバルを果たした。 (c) Meg Mimura
シーズン5の第5話で、どこでどう間違ったのか、あの’でくの坊’ジョナ(サイモンズ)がニューハンプシャー州の下院議員に立候補!!!!何の役にも立たない、’コウモリ’でも、長年ワシントンにしがみついていると、こんなチャンスに恵まれる....と言う、政界へのあてこすりだ。さ、す、が。
5月8日、「グッドワイフ」の最終回が放送され、ゲーリー・コールに感想を聞ける!と勇んで出かけたにも関わらず、コールは不参加でした。「Veep」の大統領付上級戦略家ケント役のコールは、ダイアン・ロックハート(クリスティーン・バランスキー)が、シーズン4で結婚した、’共和党バリバリ’のカート・マックヴェイを演じ、「グッドワイフ」終焉に意外などんでん返しをもたらした触媒的存在なので、突っ込んだ話をしたかったのに~。残念無念。
「となりのサインフェルド」のエレイン、「The Adventures of Old Christine」のクリスティーン、「Veep」のセリーナ。これがドレイファスのはまり役?と各ヒット作を分析するものの、エレインの中年バージョンがクリスティーンだと考えれば、セリーナが真のはまり役かもしれない。 (c) Meg Mimura
写真を何枚か撮った後、表に出ると、レセプションたけなわ!毎回、キャストは出席した試しがないので、いざ、食べよう!と思ったのですが、パネルインタビュー後小一時間は経っているのに、まだまだお腹を空かせて、長蛇の列に並んでいる参加者ばかりではありませんか。それとも、お代わりの列でしょうか?ウエイターが会場を持ち回っているおつまみで一時凌ぎするしか手はありません。
レセプション会場準備中。去年は暗くて写真が撮れなかったので、今年は入場する前にパチリ!大統領主催の晩餐会風? (c) Meg Mimura
今年は、何故か(?)スパイスたっぷりのメキシコ料理が振舞われました。金曜日の夜のこと、夜遊びにハリウッドに向かう人で渋滞する時間です。今、帰途に着くのは得策ではないと判断し、一番短い列に並ぶことにしました。それでも、割り込んで来る人、笑顔で厚かましい行為を平気でやってのける人、文句を言っても聞こえないふりをする人が後を絶ちません。腹は立つ、お腹は空く、ハリウッドの夜は更けていきます。
今年は、星を歩道に映し出す照明効果が抜群だった。 (c) Meg Mimura
↧